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佐藤 健一

更新日:2026-07-31

読了目安:6分

支払いリマインダーを自動化するには、送信日時を設定するだけでは不十分です。請求書、注文、決済システムなどで管理している支払期日と支払い状況を、通知を配信する仕組みに連携する必要があります。

支払い済みの顧客へ通知を続けないよう、送信前に最新の支払い状況を確認します。支払いが完了していない場合は通知へ進み、支払い済みの場合は終了し、データに不備がある場合は担当者確認へ分けます。EngageLabが銀行口座を直接確認して入金を判定するわけではありません。

この記事では、支払いリマインダーを自動化する主な場面、必要なデータ、ワークフローの設計、チャネルの使い分け、EngageLab Marketing Automationでの設定、誤送信を防ぐ運用ルールを解説します。

支払いリマインダーとは?自動化の仕組み

支払いリマインダーの自動化方法を示すイラスト

支払いリマインダーとは、支払期日が近づいたときや、期日後も支払いを確認できないときに、顧客へ確認を促す通知です。企業向けの自動化では、請求・注文・決済システムのデータを基に、対象者、送信時期、チャネル、後続の処理を制御します。

個人がスマートフォンのカレンダーで支払日を管理する機能とは異なり、本記事では企業が顧客へ送る通知を対象とします。また、支払いリマインダーの自動化は、銀行口座の入金消込や決済の再実行そのものを代替する仕組みではありません。

自動化の中心は、企業側の業務システムから受け取った支払い状況を使い、支払い状況に応じて通知と停止を分けることです。データが更新されなければ、支払い済みの相手へ誤って通知するおそれがあります。

支払いリマインダーを自動化する主な場面

自動化する場面によって、必要なデータと顧客に求める行動が異なります。まずは、自社の請求や決済フローが次のどれに当てはまるかを整理します。

請求書の支払期日前後

法人取引の請求書では、支払期日前の事前案内と、期日後の確認連絡を分けます。事前案内は支払期日と請求内容を確認してもらうための通知です。期日後は、企業側で入金状況を確認したうえで、未入金の対象だけに連絡します。

取引先ごとに締日や支払条件が異なる場合は、請求書単位で支払期日と支払い状況を管理できることが前提になります。メールの件名や本文の例は、入金催促メールの例文と書き方で確認できます。

未払い注文

ECや受発注システムでは、注文は作成されているものの、指定した期限までに支払いが完了していない場合があります。この場合は、注文ID、支払期日、支払い状況、支払いページへの導線を基に通知を設計します。

支払いが完了した注文は後続の通知対象から外し、注文取消や支払方法の変更が発生した場合も別の処理へ分けます。未払いという一つの状態だけで管理すると、取消済みの注文や確認中の注文へ誤送信するおそれがあります。

決済失敗・支払い方法の更新

クレジットカードや継続課金で決済が失敗した場合は、未入金の請求書とは異なる案内が必要です。決済失敗を検知したシステムから状態を連携し、顧客には支払い方法の確認や更新を案内します。

再決済やカード情報の更新処理は、決済サービスや自社の支払い画面で行います。Marketing Automationは、決済失敗という状態を基に通知と分岐を制御しますが、決済処理自体を実行する仕組みではありません。

自動化に必要なデータと連携条件

支払いリマインダーの誤送信を防ぐには、通知文面より先にデータの取得元と更新方法を決めます。最低限、誰の、どの請求または注文が、いつまでに、どの状態になっているかを判別できる必要があります。

データ 用途 主な取得元
顧客・取引先ID 通知対象と連絡先を識別する CRM、会員システム、業務システム
請求書・注文ID 支払い対象を一意に識別する 請求、受発注、ECシステム
支払期日 ワークフローの開始時期を判断する 請求、注文、決済システム
請求金額 通知内容と対象請求を確認する 請求、注文、決済システム
支払い状況 未払い、一部入金、支払い済み、決済失敗などを分ける 会計、入金管理、決済システム
連絡先・チャネル情報 メール、アプリ通知、SMSなどの送信可否を判断する CRM、会員情報、アプリ
最終更新時刻 古い支払い状況を使った誤送信を防ぐ 各業務システム

EngageLab Marketing Automationでは、モバイル、Web、REST APIからユーザーデータやイベントを連携できます。請求・会計・決済システムの状態を利用する場合は、APIデータソースを作成し、自社で定義した支払いイベントやユーザー属性として連携します。

支払い状況の値と更新タイミングは、自社の業務ルールに合わせて定義します。たとえば、「未払い」「一部入金」「支払い済み」「決済失敗」「取消」「返金」を同じ項目で区別できるようにしておくと、通知を送る対象と担当者が確認する対象を分けやすくなります。

データソースとAPI連携の条件は、データソース設定Marketing Automation REST APIの概要で確認できます。

支払いリマインダーのワークフローを設計する

ワークフローは、支払期日を迎えたらすぐ送信する単純な流れではなく、送信前の状態確認と終了条件を含めて設計します。支払い状況の更新が通知より遅れる業務では、待機時間と再確認の方法も決めておきます。

  • 1

    開始条件を決める

    支払期日前、支払期日到来、期日超過、未払い注文、決済失敗など、どの状態で対象者をワークフローへ入れるかを決めます。
  • 2

    待機時間を設定する

    業務上必要な間隔を設けます。すべての取引に同じ日数を当てはめず、支払条件やデータ更新のタイミングに合わせます。
  • 3

    最新の支払い状況を連携する

    送信前に、請求・会計・決済システムで確認した最新状態をイベントまたは属性として連携します。古い状態のまま分岐させないことが重要です。
  • 4

    支払い状況で分岐する

    支払いが完了していない場合は通知へ進み、支払い済みなら終了します。一部入金、取消、返金、データ欠損は、自動通知を続けず担当者確認へ分けます。
  • 5

    必要なチャネルで通知する

    連絡先、通知権限、重要度、説明量に応じてメール、アプリプッシュ通知、SMS、WhatsAppなどを選びます。
  • 6

    支払い後は後続通知を終了する

    支払い済みのイベントまたは属性を終了条件に使うか、支払い済みの分岐を終了コンポーネントへ接続します。
  • 7

    例外を担当者へ引き継ぐ

    複数回通知しても解決しない場合や、支払い状況を確認できない場合は、自動通知を止めて担当者が個別に確認します。
EngageLab Marketing Automationで支払い状況に応じて通知を分岐し、支払い後に終了するワークフロー例

図は、企業側の業務システムから支払い状況を連携し、その状態に応じて通知と終了を分ける設計例です。実際の支払期日、待機時間、分岐条件は、自社の契約条件と運用フローに合わせて設定します。

送信タイミング・回数・チャネルを決める

送信タイミングと回数

支払いリマインダーを送る回数に、すべての企業へ当てはまる固定値はありません。支払期日前の案内、期日後の確認、決済失敗の通知では目的が異なります。契約条件、支払方法、取引先との関係、支払い状況の更新頻度に合わせて決めます。

各通知の間には待機時間を設け、次の通知を送る前に支払い状況を再度連携します。頻度制御も設定し、同じ顧客へ複数のワークフローから短時間に通知が重ならないようにします。

メール

メールは、請求書番号、金額、支払期日、問い合わせ先など、説明する情報が多い場合に適しています。法人取引では、取引先の担当者が社内で確認しやすいよう、対象となる請求情報を本文にも記載します。

文面と件名の例は、入金催促メールの例文と書き方で確認できます。

アプリプッシュ通知

アプリプッシュ通知は、自社アプリを利用している顧客に、短い案内とアプリ内の支払い画面への導線を示したい場合に適しています。利用するには、アプリへのSDK連携とユーザーの通知許可が必要です。

通知だけで請求内容を説明しきれない場合は、アプリ内の明細画面や問い合わせ先へ遷移できるようにします。通知権限がない利用者には届かないため、メールなど別の連絡方法も含めて運用を設計します。

SMS・WhatsApp

SMSやWhatsAppは、連絡先が登録され、利用目的と社内ルールに照らして使用できる場合に選択します。短時間で確認してほしい連絡に向きますが、請求情報をすべて本文へ載せず、安全な確認画面や問い合わせ窓口へ案内します。

メールに反応がないことだけを理由に、自動的に別チャネルへ切り替える必要はありません。チャネルを変える条件、送信対象、連絡先の取得方法を事前に決めておきます。

EngageLab Marketing Automationで設定する流れ

EngageLab Marketing Automationでは、モバイル、Web、REST APIから連携したイベントや属性を、ジャーニーの参加条件や分岐条件に利用できます。ジャーニーには、開始、行動トリガー、待機、メッセージ、終了などのコンポーネントを配置します。

事前準備

  • データソース:請求・会計・決済システムから支払期日と支払い状況を連携できるようにします。
  • イベントと属性:未払い、支払い済み、決済失敗など、ワークフローで使用する状態を定義します。
  • ユーザー識別:業務システムの顧客IDと、通知先のユーザーを同じ対象として識別できるようにします。
  • 配信チャネル:使用するメール、SMS、WhatsApp、AppPushなどを事前に有効化します。
  • 例外対応:データ欠損や部分入金を誰が確認するか決めます。

ジャーニーを作成する

EngageLab Marketing Automationで未払い料金の支払いリマインダーテンプレートを選択する画面

支払いリマインダーに近いテンプレートを利用できる場合は、開始条件、待機時間、支払い状況の分岐、使用チャネルを自社の運用に合わせて見直します。テンプレートをそのまま公開せず、支払い済みの終了条件と例外処理を確認します。

  • 1

    テンプレートまたは新規作成を選ぶ

    既存テンプレートを確認し、目的に合わない場合は空のジャーニーから作成します。
  • 2

    参加条件を設定する

    対象者と、支払期日前、期日後、決済失敗などの開始条件を設定します。
  • 3

    待機コンポーネントと行動トリガーを設定する

    EngageLab Marketing Automationでリアルタイムまたは待機の行動トリガーを設定する画面
  • 4

    メッセージコンポーネントを追加する

    事前に有効化したチャネルとテンプレートを選び、送信内容を確認します。
  • 5

    終了条件と終了コンポーネントを設定する

    支払い済みの対象が後続通知へ進まないよう、終了する経路を設けます。

テストして公開する

公開前に、正常系だけでなく、支払い済み、部分入金、決済失敗、データ更新遅延、イベント未着のケースを確認します。EngageLabでは、行動トリガー、待機、メッセージ出力をテストし、公開時にコンポーネントの接続や設定の不備を確認できます。

一度公開したジャーニーは、下書きと同じようには編集できません。担当者間で条件、通知内容、停止条件、例外対応を確認してから公開します。詳しいコンポーネントと公開手順は、ジャーニーの作成で確認できます。

誤送信・重複配信を防ぐ運用ルール

自動化した後も、すべての請求を同じルールで処理できるわけではありません。支払い状況が曖昧なケースや、複数のワークフローが同じ顧客へ通知するケースを想定しておきます。

  • 送信前に最新状態を使う:業務システムから支払い状況を再連携し、古い状態のまま送らないようにします。
  • 一部入金を未払いと同じ扱いにしない:差額の確認が必要なため、自動通知を止めて担当者が確認します。
  • 取消・返金・異議申立てを除外する:支払いを求める対象ではない状態を、開始条件と分岐条件から外します。
  • 同じ請求の重複参加を防ぐ:請求書IDや注文IDを使い、同一対象が複数回ワークフローへ入らないようにします。
  • 複数の請求を区別する:一人の顧客に複数の請求がある場合は、顧客単位だけでなく請求単位で状態を管理します。
  • チャネル間の重複を抑える:メール、アプリ通知、SMSなどを同時に送る条件を限定し、頻度制御を設定します。
  • データやAPIの異常を自動送信しない:必要な項目が欠けている場合は、担当者確認へ切り替えます。
  • 解決しない対象を担当者へ引き継ぐ:複数回の連絡後も支払い状況を確認できない場合は、自動通知を止め、契約内容と連絡履歴を担当者が確認します。

導入前に確認するチェックリスト

  • データ元:支払期日と支払い状況を、どのシステムから取得するか決まっている
  • 更新頻度:入金や決済結果が、通知前に反映される時間を把握している
  • 開始条件:期日前、期日後、決済失敗など、ワークフローへ入る条件が明確になっている
  • 停止条件:支払い済み、取消、返金など、通知を終了する条件が設定されている
  • 通知対象:請求書、注文、顧客を一意に識別できる
  • チャネル:連絡先、通知許可、利用目的を確認し、必要なチャネルを有効化している
  • 例外処理:一部入金、データ欠損、複数回未解決の場合の担当者が決まっている
  • テスト:未払い、支払い済み、決済失敗、データ遅延、APIエラーを確認している
  • 運用担当:送信結果と異常を確認し、設定を見直す担当者が決まっている

まとめ

支払いリマインダーの自動化では、支払期日だけでなく、企業の請求・会計・決済システムで確認した支払い状況を使います。送信前に最新状態を連携し、支払いが完了していない対象に必要な通知だけを送ります。

支払い済みと確認した対象への後続通知は終了し、一部入金、データ欠損、複数回未解決などの例外は担当者へ引き継ぎます。この役割分担を決めておくことで、手作業を減らしながら誤送信を防ぎやすくなります。

EngageLab Marketing Automationで使用するイベント、属性、チャネル、ジャーニーの設計方法を確認したい場合は、現在の請求・決済フローとデータ連携方法を整理したうえでご相談ください。