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高橋 ゆうこ

更新日:2026-02-27

3729 閲覧数, 5 min 読む

マッキンゼーの調査では、消費者の71%がパーソナライズを期待しています。一方で、76%はパーソナライズを見つけられないと不満を感じています。
多くの顧客が企業にパーソナライズされた体験を求めている今、従来の顧客セグメンテーションやマーケティング手法が通用しにくくなっているのも自然な流れです。

こうしたデータを踏まえると、従来のマスマーケティングの限界を乗り越えるためにも、企業がデジタルのスケール型パーソナライズの考え方を理解する重要性は、これまで以上に高まっています。

スケール型パーソナライズとは、実際に何を意味するのか?

まずは、スケール型パーソナライズの中核となる考え方を整理します。

スケール型パーソナライズとは?

スケール型パーソナライズとは、決済履歴や購買行動などの大量データを活用する取り組みです。
サイト内行動や顧客の反応も含めて分析し、全体像を把握します。
そのうえで、ニーズ・行動・好みに合わせた体験を、複数チャネルを通じて多数の顧客へ提供します。

スケール型パーソナライズの全体モデル

出典:パブリシスサピエント

スケール型パーソナライズの5つの要素

デジタルのスケール型パーソナライズは、次の5つの要素で構成されます。

  • データ収集と統合: データはスケール型パーソナライズ戦略の中核。信頼できるソースから収集する。統合し、一元的に把握できる状態にする。
  • 顧客セグメンテーション: 顧客は一様ではない。属性、購買履歴、エンゲージメントの度合いなどで区分する。適切なターゲット設計につなげる。
  • 動的コンテンツ: スケール型パーソナライズは氏名の差し込みだけではない。個別オファーや商品レコメンドの提示も含む。これを支えるのが動的コンテンツ。
  • 自動化とAI: 手作業のパーソナライズは小規模なら対応しやすい。スケール型パーソナライズには自動化とAIが不可欠。数千人規模へ届けられる体制を作る。
  • 継続的な最適化: スケール型パーソナライズは一度設定して終わりではない。継続的にテストする。改善を重ねて最適な成果を狙う。

スケール型のパーソナライズ施策のメリット

パーソナライズ施策と従来型マーケティングの最大の違いは、運用のしやすさにあります。従来型マーケティングは、多数の人に刺さるコンテンツを届けるために、多くの時間、労力、エネルギーが必要です。
一方で、パーソナライズ施策は、いったん設定すると、数千人の見込み顧客に向けて大規模に実行しやすくなります。

スケール型パーソナライズ施策の主なメリット

出典:ファスターキャピタル

スケール型パーソナライズには、従来型マーケティングを上回るメリットがあります。

  • コンバージョン率の向上: パーソナライズ施策はコンバージョン率が高くなりやすい。顧客が「自分向け」に最適化された商品・サービスを選びやすくなるため。
  • エンゲージメントの向上: エンゲージメントが高まると、継続率の改善やロイヤルティの向上につながる。
  • 利益の拡大:調査では、スケール型パーソナライズを活用する企業は、手動のマーケティング戦略を使う企業に比べ、売上が40%高いことが示されています。
  • ブランディング: パーソナライズされたメッセージは、競合との差別化につながる。独自のブランドイメージも作りやすい。
  • 顧客対応の改善: 個別に最適化したレコメンドにより、期待に沿った体験を提供できる。結果として顧客体験が向上する。

スケール型パーソナライズの実例

スケール型パーソナライズは決して新しい概念ではありません。多くのアプリ、ブランド、組織が、長年にわたり活用してきました。
日常の中でデジタルのスケール型パーソナライズを目にしている可能性は高いものの、意識していないケースもあります。

ここからは、代表的な実例を見ていきましょう。

例1:ネットフリックスのレコメンド

ネットフリックスのパーソナライズされたホーム画面

ネットフリックスのダッシュボードは、スケール型パーソナライズの代表例の1つです。
ユーザーごとにホーム画面が異なり、過去の視聴履歴や評価にもとづくおすすめコンテンツが表示されます。

さらに、過去に視聴した作品と関連づけてレコメンドが提示される点も特徴です。
こうした設計からも、ネットフリックスのスケール型パーソナライズ戦略の高度さがうかがえます。

例2:スポティファイの「お客様向け」プレイリスト

世界最大級の音楽配信プラットフォームであるスポティファイは、高度なパーソナライズで知られています。
ユーザーの再生履歴にもとづき、専用のプレイリストを作成します。

この「自分向け」に最適化された音楽体験は、スポティファイで特に人気の機能の1つです。

例3:アマゾンのレコメンド

アマゾンのパーソナライズされた商品レコメンド

EC業界は、クロスセルやアップセルのためにスケール型パーソナライズをいち早く取り入れた分野の1つです。
アマゾンでは、パーソナライズされたレコメンドからの売上が総売上の35%を占めています。

ECの巨大企業であるアマゾンが、成功するEC運営における「当たり前」として、パーソナライズを定着させました。

例4:フィットビット

フィットビットのアプリ画面例

出典:Sanity

ヘルスケアやフィットネス領域におけるパーソナライズは、健康改善だけでなく継続利用にも直結する重要要素です。
フィットビットは代表的なアプリの1つで、身体活動に応じてパーソナライズされたスコアを提供します。
さらに、個別に最適化した運動も提案します。

スケール型パーソナライズ戦略の作り方

ここまでの事例を見て、貴社でもデジタルのスケール型パーソナライズ戦略を作り、実行したいと感じたかもしれません。
その場合は、次のステップが参考になります。

ステップ1:顧客ニーズと事業目標を整理する

最初に、顧客が何を求めているのかを明確にします。
あわせて、貴社の事業目標も具体化します。
これにより、スケール型パーソナライズ戦略の土台ができます。

SMART目標のフレームワーク

たとえばECなら、より多くのユーザーへ届け、売上を伸ばすために、パーソナライズ施策を展開したいはずです。
事業に合わせて、エンゲージメント向上、顧客満足度向上、顧客生涯価値の向上など、目標を評価しましょう。

ステップ2:顧客データを統合する

データが散在している状態は、マーケティング施策の大きなリスク要因です。
とくにスケール型パーソナライズは、データの信頼性に強く依存します。
顧客データは複数の顧客管理、コンテンツ管理、マーケティングツール、基幹システムなどに分散していることが一般的です。

顧客データ統合のイメージ図

出典:Smarketingcloud

そのため、信頼できる顧客データ基盤で統合することが重要です。
もしくは、顧客データの統合とマーケティング施策の実行をあわせて扱えるオムニチャネルのマーケティング自動化ツールを検討するとよいでしょう。

ステップ3:パーソナライズされたコンテンツを配信する

ターゲットへパーソナライズされたコンテンツを届けるとき、氏名の差し込みは出発点になります。
ただし、それだけでは不十分です。
マーケティングコンテンツ、メッセージ、レコメンドを継続的に最適化していきます。

このステップでは、統合型マーケティング基盤が有効です。
メール、SMS、プッシュ通知など複数チャネルで動的コンテンツを使えるためです。
結果として、スケール型パーソナライズを実現しやすくなります。

ステップ4:スケール型パーソナライズにAIと機械学習を活用する

AIや機械学習といった新しい技術の活用を、過度に避ける必要はありません。
これらは急速に進化しており、ブランドのスケール型パーソナライズ戦略の改善にも役立っています。

パーソナライズ施策におけるAI活用

たとえばAIは、膨大な顧客データを短時間で分析できます。
顧客行動に関する実行可能な示唆も得られます。
さらに、マーケティングコンテンツの作成や改善にも活用でき、施策全体の成果を最適化しやすくなります。

ステップ5:適切なツールで継続改善する

スケール型パーソナライズ戦略の成功を左右する重要な要素は、適切な自動化ツールとパーソナライズツールの選定です。
これらのツールは施策の実行を支えるだけではなく、改善に使えるフィードバックや示唆も提供します。

マーケティングやユーザーとの接点づくりは、継続的なプロセスです。
そのため、固定的なスケール型パーソナライズ戦略を作るだけでは足りません。
効果を継続的に確認し、必要に応じて調整していきます。

EngageLabでパーソナライズ施策をスケールさせる

EngageLabは、AIを活用したオムニチャネルのマーケティング基盤です。
とくにパーソナライズに重点を置いています。
企業がターゲットに最適な形で関わるための設計です。

EngageLabの主要機能は次のとおりです。

EngageLabのマーケティング自動化機能
  • ユーザーセグメンテーション: 行動、好み、属性などに基づき、顧客と見込み顧客を分類できる。ターゲット施策をより正確に実行できる。
  • パーソナライズされたコンテンツ: メール、SMS、WhatsApp、プッシュ通知などの複数チャネルで、動的フィールドによりメッセージを個別最適化できる。ユーザーセグメントにもとづき調整可能。
  • AIによるコンテンツ生成: EngageLabは、GPTBots.aiによるAIコンテンツ生成に対応。コンテンツを素早く簡単にパーソナライズできる。
  • ビジュアルジャーニー作成: ドラッグ&ドロップのビルダーで、パーソナライズされた顧客体験のフローを作成できる。トリガー、配信タイミング、開始条件、終了条件も設定可能。テンプレートも豊富で、短時間でセットアップしやすい。
  • オムニチャネルのパーソナライズ: オムニチャネル基盤として、複数チャネルでのパーソナライズに対応。一貫性のあるスケール型パーソナライズを実現しやすい。
  • AIによるインサイト: リアルタイム分析に対応。AIによるインサイトも提供。スケール型パーソナライズ戦略の進捗を把握しやすい。
  • 多言語対応: 複数地域と多言語コンテンツに対応。世界中へパーソナライズ施策を展開しやすい。

総合すると、EngageLabは、スケール型パーソナライズ戦略を「作る」「回す」「分析する」まで一貫して支える統合基盤です。

EngageLabでROIを向上

よくある質問

1 スケール型パーソナライズとは?

スケール型パーソナライズとは、顧客に対してリアルタイムに最適化された体験を届けることです。
これは、ベクトルデータベースのような高度なツールによって可能になります。
スケール型パーソナライズ向けのベクトルデータベースは、複雑な顧客データの保存と検索に役立ちます。

2 アドビのスケール型パーソナライズはどう動く?

アドビのスケール型パーソナライズは、複数チャネルで一貫した最適化体験を提供するための有名なソリューションです。
ただし、料金は固定ではありません。
年間で数十万ドルかかる場合もあり、多くのブランドにとって高額になりがちです。

3 スケール型パーソナライズで企業が直面する課題は?

多くの企業にとって、膨大な顧客データを扱うことは大きな課題です。
さらに、リアルタイムで体験を個別最適化することも難易度が高い領域です。
あわせて、一貫性の担保も難しくなります。

適切な自動化ツールを使っていない場合は、特にハードルが上がります。

まとめ

スケール型パーソナライズは、顧客とつながり、関係を深め、ロイヤル顧客へつなげていくための包括的な仕組みです。
重要なのは接点の質を高め、コンバージョン率の向上につなげることです。

本記事で紹介した統計データと事例から、スケール型パーソナライズ戦略を一貫して実装する重要性が分かります。
マーケティング自動化ツールを活用することで、ブランドの強化と収益性の改善が期待できます。