認証がいかに重要かは、多くの方が理解していることでしょう。ユーザー本人であることを確認し、システムを安全に保つために欠かせない仕組みです。しかし、時間がかかったり複雑すぎたりするログイン手順を望む人はほとんどいません。
そこで注目されているのがパスワードレス認証です。ワンタイムコードや生体認証、マジックリンクなどを活用し、ログインをよりスムーズにします。利便性を高めながら、セキュリティも同時に強化できる点が特長です。
パスワードレス認証の導入を検討するなら、まず仕組みや種類を理解することが大切です。なぜユーザーと企業の双方にとって有効な選択肢なのかも押さえておきましょう。本ガイドでは、そのポイントをわかりやすく解説します。
パート1:パスワードレス認証とは?
パスワードレス認証とは、パスワードを使わずにユーザーを認証する仕組みです。従来の文字列パスワードの代わりに、別の手段で本人確認を行います。これにより、より簡単で直感的なログイン体験を実現します。
従来のパスワードは覚えにくく、リセット対応が頻繁に発生しがちです。さらに、使い回しや推測されやすいパスワードは重大なセキュリティリスクになります。パスワードレス認証は、こうした課題を同時に解消します。
複雑な文字列を記憶する必要がなくなり、不正アクセスのリスクも大幅に低減できます。より安全な認証手段へ置き換えることで、手間を増やさずにアカウント保護を強化できるのです。
パート2:パスワードレス認証の種類
パスワードを使用せずに本人確認を行う方式は、すべてパスワードレス認証に分類されます。ここでは代表的な認証方法をご紹介します。
1 生体認証
生体認証は、身体的または行動的な特徴を利用して本人確認を行う方法です。指紋認証や顔認証、虹彩認証、音声認識などが代表例です。さらに、タイピングのリズムやスマートフォンの持ち方といった行動特性を活用するケースもあります。
これらの特徴は個人ごとに固有であり、高い安全性を確保できます。ユーザーは情報を覚える必要がなく、直感的に利用できます。たとえば指紋認証を使えば、第三者による不正ログインを強力に防ぐことが可能です。
2 ワンタイムパスコード(OTP)
ワンタイムパスワード(OTP)の詳細は、多くの企業に採用されている認証方式です。シンプルで利用者の受け入れやすさが高い点が特長です。一時的なコードをSMSや電子メール、認証アプリで受け取り、それを入力して本人確認を行います。
OTP認証は導入が比較的容易で、ユーザーにもなじみがあります。ログイン時の操作もわかりやすく、スムーズな体験を提供できます。手間を抑えながら、十分なセキュリティ水準を確保できる点が評価されています。
3 認証アプリ
認証アプリは、スマートフォンにインストールして使用する専用アプリを利用する認証方法です。アプリ上で一定時間ごとに生成されるコードを入力することで本人確認を行います。Google AuthenticatorやMicrosoft Authenticatorなどが代表例です。
認証アプリはインターネット接続が不安定な環境でも利用できる場合があります。SMSと比べてフィッシング攻撃に強い点もメリットです。セキュリティをより高めたい企業にとって、有力なパスワードレス認証の選択肢といえるでしょう。
認証アプリは、時間ベースのワンタイムパスワード(TOTP)を使用してユーザーを認証します。アプリ上にはワンタイムコードが一定時間のみ表示され、通常は30秒〜60秒ごとに自動で更新されます。これにより、不正アクセスやなりすましのリスクを大幅に低減できます。
さらに、このパスワードレス認証方式は、インターネット接続や携帯回線がなくても利用できる点も大きな特長です。
4 マジックリンク
マジックリンク は、パスワードを入力せずにアカウントへアクセスできる特別なURLです。ユーザーがログインを試みると、そのURLがメールまたはエスエムエスで送信されます。リンクをクリックするだけで認証が完了する、シンプルかつ利便性の高い認証方式です。
5 パスキー
パスキーは、従来のパスワードに代わる安全で使いやすい認証方式です。公開鍵暗号方式を基盤としており、ユーザーの端末内に秘密鍵を生成して安全に保存します。対応する公開鍵はサービス側に共有されますが、秘密鍵が端末外へ送信されることはありません。
この仕組みにより高いセキュリティが確保されます。ログイン時は、PINコードや指紋認証、顔認証で端末のロックを解除するだけで完了します。パスワードの入力は不要です。
| 認証方式 | 仕組み | 主な注意点 | 主な利用シーン |
|---|---|---|---|
| SMS OTP・メールリンク認証 | ログイン用のコードやリンクを、電話番号またはメールアドレス宛に送信する。 | SIMスワップやフィッシングの影響を受けやすく、メールアカウントが乗っ取られた場合に悪用される可能性がある。 | 基本的な二要素認証、セキュリティ要件が比較的低いアプリ、バックアップ用のアカウント復旧手段。 |
| TOTP(認証アプリ) | 認証アプリが一定時間ごとに変化するワンタイムコードを生成し、ユーザーがそれを入力する。 | パスワードと組み合わせて利用する方式のため、偽サイトに入力するとフィッシング被害につながる可能性がある。 | パスキーが利用できない環境における、より強固な二要素認証。 |
| メールマジックリンク | 登録済みメールアドレスに、一度限り有効なログインリンクを送信する。 | メールアカウントの乗っ取りや、偽リンクを用いたフィッシングの影響を受ける可能性がある。 | 重要度の低いアプリやニュースレター向けの、利便性を重視したログイン方式。 |
| 生体認証 | 指紋や顔認証、PINを用いて、端末内に保存された秘密鍵を解除する。 | 端末ごとに管理されるため同期できない場合がある。端末の紛失や不正利用によるリスクも考慮が必要。 | 端末のロック解除やアプリ内認証(例:銀行アプリ)。 |
| パスキー | 端末の生体認証やPINで秘密鍵を解除し、暗号技術を用いて安全にログインする。 | 端末が適切に保護されていない場合、紛失や不正利用のリスクがある。安全なアカウント復旧設計も重要。 | パスワードに代わる、オンライン認証の新しい標準方式。 |
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パート3:パスワードレス認証の仕組み
パスワードレス認証を導入する主な目的は、ログイン手続きを簡素化し、セキュリティとユーザー体験を同時に高めることです。これにより、パスワード管理の負担を減らしつつ、安全性を向上できます。
まず最初に行うのはユーザーの識別です。ユーザーは一意の識別情報として、通常はユーザー名または電子メールアドレスを入力します。初回設定時のみ既存のパスワード入力が求められる場合もありますが、以降は不要です。
より強固な認証を行うために、事前に登録された信頼済みの認証要素で本人確認を実施します。具体的には、生体認証、プッシュ通知、登録済みスマートフォン、登録済み電話番号、マジックリンク、ワンタイムパスコード(OTP)などが利用されます。
ユーザーが認証を完了すると、サーバーがその結果を検証します。検証に成功すればアクセスが許可され、パスワードレス認証の設定は完了です。その後は同じ方法でログインできます。
ここからは、代表的なパスワードレス認証の方式とその仕組みを解説します。
ワンタイムパスコード(OTP)は、最も広く利用されている方式の一つです。設定時に電話番号または電子メールアドレスを登録します。ログイン時に登録先へOTPが送信され、入力されたコードをサービス側が検証してアクセス可否を判断します。
生体認証は、利便性の高い認証方式です。登録時に指紋や顔認証などの生体情報を登録します。ログイン時には同じ生体情報を用いて認証し、システムが保存済みテンプレートと照合して一致すればアクセスを許可します。
パスキーは、高いセキュリティと使いやすさから急速に普及しています。設定時に公開鍵と秘密鍵のペアを生成します。
公開鍵はサーバーに保存され、秘密鍵はユーザーのデバイス内に安全に保管されます。
ログイン時にはサーバーが暗号チャレンジを送信します。デバイスは秘密鍵で署名を行い、サーバーが公開鍵でその署名を検証します。一致が確認されると認証が完了します。
パスキーを複数のデバイス間で同期する場合、インターネット接続が必要になることがありますが、認証処理自体はユーザーのデバイス上で完結するため、ネットワーク接続は不要です。
パート4:パスワードレス認証は安全か?
パスワードレス認証は、従来のパスワードに依存せず、より安全な認証プロセスを実現するために設計されています。ただし、100%安全な認証方式は存在しません。それでも、不正に突破される可能性は極めて低いと言えます。
セキュリティレベルは実装方法によって異なります。OTP(ワンタイムパスコード)認証は、適切に実装すれば広く採用されている安全性の高い方式の1つです。
OTPは登録済みのメールアドレスや電話番号に一度限りのコードを送信します。通常、そのチャネルにアクセスできるのはユーザー本人のみです。
近年、OTPの仕組みは大きく進化しています。現在では時間ベースのコード(TOTP)や暗号化配信を採用し、盗聴や再利用を防止しています。
OTPはユーザーのメールや電話の安全性に依存する側面がありますが、利便性とセキュリティのバランスに優れた方式です。さらにデバイス認識や生体認証と組み合わせることで、非常に堅牢な認証フローの一部として機能します。
プッシュ通知も同様の仕組みに基づいています。信頼されたデバイスにログイン承認リクエストを送信します。
通常、そのデバイスにアクセスできるのはアカウント所有者のみです。そのため、この方式も高い安全性があるとされています。
マジックリンクも同様の仕組みに基づいています。一度限りのログイン用URLをユーザーのメールに送信します。
OTPと同様に、安全性はメールアカウント自体の保護状況に依存します。
パスキーは公開鍵と秘密鍵から成る暗号鍵ペアに基づく方式です。秘密鍵はユーザーのデバイス外に出ることがなく、フィッシング耐性も備えています。そのため、リモート攻撃のリスクを大幅に低減できます。
ただし、デバイスを紛失または盗難された場合は注意が必要です。PINや生体認証などで端末が保護されているかどうかが、アカウントの安全性を左右します。
パート5:パスワードレス認証のメリット
- 利便性:ログインが迅速かつスムーズになる。操作の手間を大幅に削減できる。
- ユーザー体験の向上:パスワード入力が不要になる。パスワード忘れや複雑な管理に悩まされない。
- 高いセキュリティ:フィッシングや総当たり攻撃、パスワード窃取などのリスクを抑制する。
- コスト削減:パスワードリセット対応の件数を削減できる。サイバー攻撃対応にかかる費用も抑えられる。
- コンプライアンス強化:GDPRやCCPAなど各種規制への対応を支援。顧客や取引先からの信頼向上にもつながる。
パート6:パスワードレス認証の実例
パスワードレス認証はさまざまな業界で広く活用されています。以下は代表的な実例です。
1 銀行アプリ
多くの銀行アプリでは、ログインの簡略化とセキュリティ強化のためにパスワードレス認証を採用しています。ユーザーは主にOTPで本人確認を行います。さらに利便性向上のため、Face IDやTouch IDなどの生体認証に対応する事例も増えています。
ログインに加え、取引承認やパスワードリセット、アカウント確認などの場面でもOTPが活用されています。
2 個人向けアカウント(GoogleやMicrosoftなど)
GoogleやMicrosoftなどの主要プラットフォームでは、複数のパスワードレス認証方式を提供しています。デバイスのPINや指紋認証、顔認証でログインでき、より迅速で使いやすい体験を実現します。さらにパスキーにも対応が進んでおり、パスワードなしで複数デバイス間の安全なログインが可能です。
また、プッシュ通知やTOTP(時間ベースのワンタイムパスコード)に対応した認証アプリと連携することも可能です。これにより、利便性とセキュリティを同時に高められます。
3 SaaSプラットフォーム
SaaS製品でも、セキュリティを維持しながらユーザーアクセスを簡素化するために、パスワードレス認証が広く導入されています。アカウント登録などの重要な操作では、マジックリンクやワンタイムパスコードによるメール確認を求めるケースが一般的です。
パート7:パスワードレス認証を始めるならOTPが最も簡単な理由(課題から実践へ)
パスワードレス認証導入における課題
技術的な互換性:パスワードレス認証を導入する際は、既存システムとの互換性を慎重に確認する必要があります。現在のインフラが選択した方式に対応できるかを評価します。場合によっては、バックエンド改修やIDプロバイダー連携、クライアントアプリの更新が必要です。
相互運用性:パスワードレス認証ソリューションは、さまざまなブラウザやデバイス、アプリケーションで安定して動作する必要があります。多様な環境でも一貫したユーザー体験を提供することが求められます。
ユーザーの受け入れ:導入において非常に重要な要素です。新しい認証方式を受け入れてもらうには、十分な説明と安心感の提供が欠かせません。明確な案内とサポートが移行を円滑にし、信頼構築につながります。
導入コスト:インフラ変更やソフトウェア開発、テスト、継続的な保守運用などの費用が発生します。そのため、事前に適切な予算計画を立てることが重要です。
法規制への対応:業界や地域ごとのコンプライアンスや規制基準を考慮する必要があります。要件を満たさない場合、事業リスクや罰則につながる可能性があります。
サポートとトラブル対応:初期設定や日常利用の中で問題が発生することもあります。迅速なサポートと適切なトラブル対応が、ユーザーの信頼維持と安定運用を支えます。
OTP:パスワードレス認証を導入する最も実用的な方法
ここまでさまざまなパスワードレス認証方式を紹介してきました。その中でも、現実的に最も導入しやすいのがOTPです。
まず、ユーザーにとって馴染みがある点が大きな強みです。多くのユーザーはSMSやメールでコードを受け取り入力する操作に慣れています。パスキーのような新しい方式と比べて抵抗が少なく、導入をスムーズに進められます。
次に、企業側にとってOTPは導入が容易です。既存インフラへの変更が少なく、現在のシステムにも比較的短期間で統合できます。信頼性の高いOTPサービスを活用すれば、開発負担も最小限に抑えられます。
OTPはログインやパスワードリセット、取引認証など幅広い用途に対応します。操作もシンプルで、コードを受け取り入力するだけです。パスワードレス認証を始める第一歩として、実用性の高い選択肢といえるでしょう。
OTP認証は、単独でも多要素認証の一部としても利用できる点が特長です。TOTPや認証アプリの普及により、セキュリティ強度もさらに高まっています。
シンプルかつ柔軟に導入できることから、OTPはパスワードレス認証への第一歩として選ばれることが少なくありません。OTPソリューションを検討する際に、注目したいサービスの一つがあります。
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まとめ
パスワードレス認証は、ユーザー体験を損なうことなく本人確認を実現できる仕組みです。セキュリティを強化しながら、認証プロセスをより簡単かつ迅速にします。さらに、コスト効率の向上にもつながります。
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