忙しい平日の朝、出社してすぐに緊急アラートを受け取るのは、決して気持ちのよいものではありません。
もし自社の機密情報が外部に漏えいしていたとしたら、それは企業にとって重大な事態です。調査を進める中で、攻撃者が脆弱なパスワードを悪用し、ユーザーアカウントの1つに不正アクセスしたことが判明しました。
データ漏えいが企業経営に深刻な影響を及ぼす現代において、データ保護は企業経営における重要な課題です。セキュリティ対策において、過剰ということはありません。
本記事では、ワンタイムパスワード(OTP)について解説します。
OTPは、シンプルで使いやすく、それでいて非常に強力なユーザー認証方式です。認証情報の盗難によるデータ漏えいを防ぐ仕組みと、ビジネス上のメリットもあわせて紹介します。
ワンタイムパスワード(OTP)とは?
ワンタイムパスワード(OTP)とは、ワンタイムパスワードやワンタイム認証コード、動的パスワードとも呼ばれる認証情報です。1回のログインや取引のためだけに生成され、ユーザーに送信される数字や文字の組み合わせを指します。
OTPは、その名のとおり一度しか使用できません。一定時間が経過すると自動的に無効になります。
また、新しいOTPが生成された時点で、以前のOTPは失効します。
代表例として、Google AuthenticatorはOTPを利用した認証機能を提供しています。
ワンタイムパスワード(OTP)の種類
OTPには大きく分けて2種類があります。時間を基準に生成されるTOTP(時間ベース型OTP)と、ハッシュベースで生成されるHOTP(イベントベース型OTP)です。
- HOTPは、カウンター値を基にハッシュアルゴリズムで生成されるOTPです。使用された時点で、または新しいHOTPが生成されると無効になります。
- TOTPは、現在時刻を基に生成されるOTPです。使用後、または短い有効時間が経過すると失効します。有効時間が限定されているため、HOTPより安全性が高く、現在は主流です。
詳しく知りたい場合は、OTP・HOTP・TOTPの違いを比較し、貴社に最適な方式を確認してみましょう。
ワンタイムパスワード(OTP)はどのような場面で使われるのか
企業の規模や業種を問わず、ワンタイムパスワード(OTP)はセキュリティ強化に大きく貢献します。
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ログインセキュリティ
ワンタイムパスワード(OTP)を活用することで、オンラインバンキングや企業向けシステム、ECサイト、ゲーム、SNSアカウントへのログインをより安全に保護できます。
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取引の承認
オンライン決済や資金移動、高額決済といった金融取引において、ワンタイムパスワード(OTP)による本人承認が行われています。
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アカウント復旧
電子メールや銀行サービス、メッセージング、SNSなどのオンラインアカウントで、固定パスワードの再設定時にワンタイムパスワード(OTP)が活用されています。
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データ・記録へのアクセス
医療記録や企業データ、行政文書など、機密性の高い電子情報へのアクセス時にもワンタイムパスワード(OTP)が使用されます。
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リモートアクセス
リモートデスクトップや仮想プライベートネットワーク(VPN)、在宅勤務時の社内システムへのアクセスをワンタイムパスワード(OTP)で保護します。
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デバイス認証
IoTデバイスやスマートホームシステムの認証にも、ワンタイムパスワード(OTP)が利用されています。
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旅行・ホスピタリティ分野
予約確認やチェックイン、チェックアウト時の本人確認に、ワンタイムパスワード(OTP)が使用されています。
企業と利用者にもたらすワンタイムパスワード(OTP)認証の主なメリット5選
ワンタイムパスワード(OTP)は、企業と利用者の双方に大きなメリットをもたらします。
企業側のセキュリティ体制を強化すると同時に、サービスに対する利用者の信頼感や安心感を高めることができます。
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アカウントのセキュリティを強化
固定パスワードと比べて、ワンタイムパスワード(OTP)の大きな特長は、毎回異なるコードが生成される点にあります。
そのためリプレイ攻撃に強く、アカウント全体のセキュリティレベルを高めることができます。
また、OTPは多要素認証・二要素認証(MFA/2FA)の仕組みとしても利用でき、ユーザーアカウントの保護強化に役立ちます。
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詐欺被害のリスクを低減
OTPは、不正利用や詐欺のリスクを抑えるうえで有効な認証手段です。特に金融取引などの重要な操作では、取引承認時にOTPを求めることで、不正アクセスの可能性を下げることができます。
仮に攻撃者がOTPを入手したとしても、実際に使用する時点ではすでに無効となっているケースがほとんどです。
その結果、不正取引や金銭的被害を防ぎやすくなります。
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導入・拡張が容易
OTPは、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じて、既存のシステムやアプリ、各種プロダクトに組み込むことが可能です。
大がかりな開発を必要とせず、導入にかかる工数を抑えられる点もメリットといえます。
さらに、OTPシステムは大量配信を前提に設計されているため、ユーザー数が増えても認証コードを安定して時間通りに届けられます。
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ユーザー体験を向上
固定パスワードと異なり、OTP認証では「パスワードを忘れる」といったユーザーの負担を軽減できます。
新規ユーザーでも使いやすく、メールや電話で受け取ったコードを入力するだけで認証が完了します。
このシンプルな仕組みが、初回利用時の離脱を防ぎ、ユーザー定着率の向上につながります。
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IT運用の負担を軽減
OTPを導入することで、パスワード再設定に関する問い合わせが減少します。
その結果、ITサポート部門の対応工数を抑え、運用負荷の軽減につなげることができます。
OTPはどのような仕組みで利用されるのか
まず、OTPサービスプロバイダーを選定し、システムやアプリ、各種プロダクトにOTP機能を連携します。
ログインや取引など、認証が必要な操作をユーザーが行うと、登録されたメールアドレスや電話番号宛てにOTPが送信されます。
ユーザーは受け取ったOTPを指定の入力欄に入力します。その後、サービスプロバイダーがコードを検証し、認証プロセスが完了します。
OTPサービスプロバイダーの選び方
OTPサービスを選定する際は、セキュリティとユーザー体験の両立を意識することが重要です。
以下のポイントを確認し、自社の要件に合ったサービスを選びましょう。
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配信チャネル
SMS、電子メール、音声、アプリなど、提供される配信手段の種類と信頼性を確認します。
ユーザーの利用環境や地域に適したチャネルが用意されているかが重要です。
海外ユーザーが多い場合は、各国の規制や通信事情を考慮したうえで、グローバルに安定配信できるかを確認しましょう。
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セキュリティとコンプライアンス
業界標準や関連法規に準拠しているかを確認します。
機密情報を適切に保護し、コンプライアンスを維持できる体制が整っているかを見極めましょう。
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コスト
OTP送信ごとの料金や初期費用、月額費用などの料金体系を把握します。
そのうえで、予算内で要件を満たせるかを検討します。
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サポート体制とSLA
サポートの提供範囲や対応方法を確認しましょう。
あわせて、サービス稼働率や応答時間を保証するSLAが整備されているかも重要な判断材料となります。
機能、メリット・デメリット、料金の観点から詳しく比較するために、 おすすめOTPサービスプロバイダー8選を厳選して紹介しています。
その中でも、EngageLab OTPは、有力な選択肢の一つといえるでしょう。
EngageLab OTPは、高いセキュリティ要件やスケーラビリティに対応するだけでなく、安定した品質を提供します。SMS、電子メール、音声通話、WhatsAppなど、複数チャネルでのワンタイムパスワード配信に対応しています。
なぜEngageLab OTPが選ばれるのか|信頼性の高い二要素認証ソリューション
ワンタイムパスワードが持つ一般的な利点を踏まえたうえで、EngageLab OTPならではの強みについて詳しく見ていきましょう。
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すぐに使い始められる設計
EngageLab OTPは、2つのAPIを連携するだけで導入でき、サインアップ認証やログイン認証、取引時の認証、情報更新時の認証など、幅広いシーンに対応します。
さらに、OTPの設定や管理はEngageLabコンソール上で一元的に行えます。
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コンバージョン率の向上
マルチチャネル配信に対応しているほか、OTPの再送ポリシーを柔軟に設定できます。
適切なタイミングで確実にOTPを届けることで、認証完了率の向上につながります。
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メッセージテンプレートと柔軟なカスタマイズ
EngageLabコンソールでは、言語や文体に応じたテンプレートを作成できます。
文字数、OTPの種類、有効期限といった条件も設定でき、ビジネス要件に合わせて再送ルールを個別に調整可能です。
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視覚化されたデータレポートを提供
EngageLabコンソールで生成される視覚化レポートにより、OTPの配信状況や認証完了率、地域別・チャネル別の分布を把握できます。
これらのデータをもとにユーザー行動を深く分析し、施策の改善に活かせます。また、EngageLab OTPの高度なセキュリティ設計も、導入を検討する際の重要な判断材料となります。
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不正リスクの特定と対策
EngageLab OTPは、ユーザーアカウントおよび取引の安全性確保を支援します。
SMSポンピングや国際収益分配詐欺(IRSF)、不正登録といった詐欺手法を検知・監視し、事前対策を可能にします。
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攻撃の検知と遮断
認証頻度や地域アクセスの制限により、不審な挙動を検知します。
AI検知エンジンや電話番号のクロスチェックを活用し、攻撃を遮断します。
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高いサービス信頼性を確保
EngageLab OTPは、障害発生時に備えて複数のフェイルオーバーチャネルを備えています。
スムーズなチャネル切り替えにより、ダウンタイムを最小限に抑え、安定したサービス運用を支えます。
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法令・規制への準拠
EngageLab OTPは、データ管理や通信を含むすべての領域で国際基準に準拠しています。
各国・各地域の法令や規制に対応した、安全性の高いサービス提供を実現します。
EngageLab OTPの始め方:クイック導入ガイド
1. OTPアプリケーションを作成
EngageLab OTPサービスを有効化したら、EngageLabコンソールにアクセスし、セットアップを開始します。
OTPアプリケーションの作成画面が表示されるので、「OTP Name」欄に任意のサービス名を入力してください。この名称は後から変更することも可能です。
2. 概要ガイド
アプリケーションを作成すると、初めて利用する際に自動的に概要ページが表示されます。この画面では、OTPサービスの利用全体の流れを確認できます。あわせて、各ステップで注意すべきポイントも把握できます。
概要ガイドページを見ると分かるように、EngageLab OTPサービスを利用するには、まずOTPテンプレートの作成とAPIキーの設定が必要です。
3. テンプレートの設定
「OTPテンプレートを作成」のガイドに従い、EngageLab OTPのテンプレート名やテンプレートIDを設定します。あわせて、ブランド名、OTPの桁数、有効期限も指定します。
4. APIキーの作成
EngageLab OTP APIを利用してOTPの生成や検証を行う場合は、Basic認証用のAPIキーを作成する必要があります。作成手順の詳細は、「OTP APIキーの作成」ガイドで確認できます。
5. OTPの送信
EngageLab OTPの初回認証メッセージを送信する方法は、主に以下の2通りです。
5.1 管理画面から送信する
OTPを生成して送信:EngageLabの管理画面にログインし、[APIテスト] → [OTP送信]メニューを選択。作成済みのAPIキーを入力し、送信先の電話番号またはメールアドレスを指定します。続いて、テンプレートIDと言語を設定します。
必要な情報を入力後、[OTP送信リクエスト]をクリック。OTPが生成され、指定した電話番号またはメールアドレスに送信されます。
送信に失敗した場合は、画面下部の「Reply」欄にエラーコードとエラーメッセージが表示されます。
メッセージの送信が正常に完了すると、履歴レコード一覧から[メッセージ詳細]を確認できます。
画面上では、生成されたワンタイムパスワード(OTP)とmessage_idが表示されます。
5.2 OTP検証
次に、EngageLabの管理画面へログインし、[APIテスト]→[OTP検証]を開きます。
生成したAPIキー、message_id、ワンタイムパスワード(OTP)を入力してください。入力後は、[OTP検証リクエスト]を実行します。
- API連携: EngageLabのOTP APIを利用した連携方法については、以下のドキュメントを参照してください。EngageLab OTP送信、EngageLab OTP検証
- 履歴レコードの確認: 送信が成功すると、[履歴]ページに情報が反映されます。テンプレート名、送信時刻、送信先、メッセージ状態、想定コストを確認できます。
ワンタイムパスワード(OTP)に関するFAQ
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1
OTPは固定パスワードより安全ですか?
はい。OTPは一度限り有効なコードのため、仮に第三者に取得されても再利用できません。また、動的に生成される仕組みにより、総当たり攻撃への耐性も高まります。一般的には、2FA(二要素認証)と組み合わせて利用されます。 -
2
OTPはどのように不正アクセスを防ぎますか?
技術的には、SMS型OTPよりもTOTPの利用が推奨されます。あわせて、フィッシング対策として不審なページにOTPを入力しないことが重要です。
まとめ
OTPをスムーズかつ効率的に導入したい場合、EngageLabが提供する多彩な機能を活用する選択肢があります。EngageLab OTPは、導入プロセスを簡素化するとともに、ユーザーに対し高い安全性と信頼性を備えた認証環境を提供します。EngageLab OTPを活用することで、アプリケーションのセキュリティ強化を着実に進めることが可能です。









