ワンタイムパスワード(OTP)は、ユーザー登録、ログイン、取引確認などで本人確認を行うために使われる一時的な認証コードです。近年では、SMSだけでなく、WhatsApp上で認証コードを送信する方法も、海外ユーザー向けの認証手段として検討されています。
本記事では、企業がWhatsAppで認証コードを送信する場合を中心に、WhatsApp OTP認証の仕組み、SMS認証(SMS OTP)との違い、導入前に確認したいポイントを整理します。
先に結論: 日本企業がWhatsApp認証コードを検討する主な理由は、LINEの代替ではなく、海外顧客、訪日客、越境ECユーザーなど、LINEだけではカバーしにくい利用者への認証手段を補うためです。WhatsApp利用率が高い国・地域では有効ですが、SMS OTPやメールOTPへのフォールバック設計も重要です。
日本企業がWhatsApp認証コードを検討する理由
国内では、日常的な連絡手段としてLINEが広く使われています。そのため、WhatsApp認証コードを検討する理由は、LINEの代わりというより、海外顧客や訪日客、越境ECユーザーなど、LINEだけではカバーしにくい利用者への認証手段を補うためと考えるとわかりやすくなります。
たとえば、JNTOの公表資料では、2026年3月の訪日外客数は3,618,900人でした。こうした状況を踏まえると、訪日前後の予約確認、会員登録、ログイン、注文確認などで、海外顧客向けにWhatsAppで認証コードを送信するニーズが生まれやすくなります。
- 海外顧客の会員登録やログイン時に本人確認を行いたい場合
- 訪日客向けの予約確認や来店前確認で認証コードを送りたい場合
- 越境ECの注文確認、配送先変更、購入後サポートで本人確認を行いたい場合
- WhatsApp利用率が高い国・地域のユーザーに、普段使うアプリ上でOTPを届けたい場合
- ホテル、旅行、航空、免税小売、国際教育、海外SaaSなど、国際顧客との接点が多い場合
一方で、すべてのユーザーがWhatsAppを利用しているわけではありません。そのため、WhatsApp認証コードを導入する場合でも、SMS OTPやメールOTPへのフォールバックを用意しておくことが重要です。
WhatsApp認証コード(WhatsApp OTP)の概要
1. WhatsApp認証コードとは
WhatsApp OTPとは、二要素認証(2FA)において利用される、OTPの配信チャネルの一つです。アカウント登録やログイン、金融取引などの重要なオンライン操作時に、ユーザー本人であることを確認する目的で使用されます。
WhatsApp OTPの特長として、ユーザーが普段利用しているWhatsAppアプリ上で認証コードを確認できる点や、配信ステータスを把握しやすい点が挙げられます。また、インターネット通信を利用するため、特定の国・地域では安定して届けやすいケースもあります。
2. WhatsApp OTPを利用する理由
企業がWhatsApp OTPを検討する主な理由は以下のとおりです。
- 海外ユーザーに届けやすい: WhatsApp利用率が高い国・地域では、ユーザーが普段使っているアプリ上で認証コードを確認できます。
- 配信状況を確認しやすい: 配信ステータスや既読状況を確認できるため、認証フローの改善に活用しやすくなります。
- 認証体験をわかりやすくできる: SMSとは異なるアプリ内メッセージとして届くため、対象ユーザーによっては認証コードを見つけやすくなります。
- SMS OTPと併用しやすい: WhatsAppで届かない場合にSMS OTPやメールOTPへ切り替えることで、認証途中の離脱を抑えやすくなります。
- 海外向け運用の選択肢を増やせる: 訪日客、越境EC、海外会員など、国際顧客との接点が多いサービスで追加チャネルとして検討しやすくなります。
WhatsApp認証コードとSMS認証(SMS OTP)の違い
WhatsApp OTPとSMS OTPのメリット・デメリット
以下では、WhatsApp OTPとSMS OTPそれぞれの特性を比較します。
| 比較項目 | WhatsApp OTP認証 | SMS OTP認証 |
|---|---|---|
| コスト | 国・地域、テンプレート種別、配信量によって変動する | 国・地域、キャリア、送信ルート、配信量によって変動する |
| 配信速度 | インターネット環境が安定していれば、スムーズに届きやすい | 携帯回線やキャリアの状況によって、遅延が発生する場合がある |
| グローバル対応 | WhatsApp利用率が高い国・地域では使いやすい | 携帯電話番号があれば幅広い国・地域で利用しやすい |
| セキュリティ・運用管理 | アプリ内メッセージとして認証コードを届けられる。運用時はテンプレート、番号、有効期限の管理が重要 | 電話番号宛てに認証コードを届けられる。SIMスワップや端末管理などのリスクも考慮が必要 |
| フォールバック | WhatsAppで未達の場合、SMS OTPやメールOTPへ切り替える設計が重要 | SMSが届かない場合に備え、メールOTPや音声通話などの代替手段を検討する |
| ユーザー体験 | WhatsAppアプリ上で確認できるため、対象ユーザーによっては認証コードを見つけやすい | SMSアプリで受信でき、追加アプリなしで利用しやすい |
| リーチ・対応端末 | WhatsAppを利用しているスマートフォンユーザーに向いている | SMSを受信できる携帯電話ユーザーに幅広く届けやすい |
ビジネスでWhatsApp OTPとSMS OTPを使い分ける理由
統計によると、企業の93%が、OTP認証にSMS OTPを利用しています。
非常に高い割合ではあるものの、近年は新規事業やスタートアップを中心に、WhatsApp OTPを追加の認証手段として導入する企業も増えています。
自社に最適な認証・本人確認手段を選ぶためには、WhatsApp OTPとSMS OTPの違いを正しく理解しておくことが重要です。
1.スピード
WhatsAppとSMSはいずれも、認証コードの配信手段として広く利用されています。
その中でも、WhatsApp OTPは、インターネット通信を前提とするため、環境が整っていれば即時に近い形で認証コードを届けられるケースがあります。
一方、従来のSMS OTPでは、ネットワーク混雑などの影響を受け、想定外の遅延が発生する場合があります。
2.セキュリティと運用管理
WhatsApp OTPは、アプリ内メッセージとして認証コードを届けられる点が特長です。ただし、認証の安全性は配信チャネルだけで決まるものではありません。
実際の運用では、認証コードの有効期限、再送回数、テンプレート管理、送信番号の管理、未達時のフォールバックを含めて設計することが重要です。
3.操作性とインタラクション
WhatsAppでは、ボタンやクイック返信などのインタラクション要素を組み込むことが可能です。
これは従来のOTPメッセージにはない大きな特長といえます。
SMS OTPは手動入力が基本ですが、近年では自動入力に対応するアプリも登場し、利便性は徐々に向上しています。
4.リーチ
到達範囲という点では、SMS OTPはWhatsApp OTPよりも多くのユーザーに届けることができます。
SMSはすべての通信キャリアで利用でき、スマートフォンだけでなく、非スマートフォンにも配信できるためです。
一方、WhatsApp OTPを受信するには、WhatsAppアプリをインストールしたスマートフォンが必要となります。
5.コスト
認証コード配信のコストは、国・地域、配信量、テンプレート種別、送信ルートによって変わります。SMS OTPとWhatsApp OTPを比較する場合は、対象国ごとの料金と未達時のフォールバックも含めて確認することが重要です。
詳細は料金シミュレーションからご確認いただけます。
企業が認証コード配信手段を選ぶ際のポイント
WhatsApp認証コードとSMS認証のどちらを採用するかは、対象ユーザーやサービスの特性によって異なります。
- 対象国・地域:ユーザーがWhatsAppを日常的に利用しているか
- 認証の重要度:ログイン、決済、取引などリスクレベル
- 到達率とフォールバック:SMSやメールとの併用設計
- コスト構造:国別料金、送信量、テンプレート課金
- 運用管理:テンプレート、送信番号、ログ、分析
実際の運用では、1つのチャネルに依存するのではなく、複数チャネルを組み合わせた設計が一般的です。WhatsAppとSMSを組み合わせた認証フローを構築することで、到達率とユーザー体験のバランスを取りやすくなります。
こうしたWhatsApp認証コードの配信は、APIや配信プラットフォームを利用して実装されます。例えば、EngageLabのようなメッセージ配信サービスを使うことで、WhatsAppとSMSを組み合わせた認証フローをまとめて管理できます。
WhatsAppで認証コードを送信する方法
企業がWhatsAppで認証コードを送信するには、WhatsApp Businessアカウント、送信番号、メッセージテンプレート、配信プラットフォームの設定が必要です。
ここでは、EngageLabを利用する場合の基本的な設定フローを例に、WhatsApp OTP認証メッセージを送信するまでの流れを紹介します。
それでは、EngageLabを使ってWhatsApp OTPを送信する具体的な手順を見ていきましょう。
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ステップ1
まずはEngageLabを開き、プラットフォーム上でアカウントを作成します。無料で始める
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ステップ2
ログイン後、[はじめる]ボタンをクリックします。WhatsAppメッセージ配信やOTP認証キャンペーンの設定を開始できます。
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ステップ3
EngageLabへの登録には、Facebookアカウントを使用します。
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ステップ4
Facebookアカウントにビジネス情報を追加します。その内容をもとに、Meta上でビジネスプロフィールが作成されます。
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ステップ5
新しいWhatsApp Businessアカウントとプロフィールを作成します。既存のプロフィールがある場合は、プルダウンから選択します。
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ステップ6
WhatsApp Businessアカウント名や表示名などを入力します。入力内容を確認し、次へ進みます。
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ステップ7
WhatsApp Businessプロフィールで使用する電話番号を入力します。
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ステップ8
認証コードを入力すると、Facebookと連携したWhatsAppビジネスプロフィールを正常に作成できます。
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ステップ9
WhatsAppの電話番号が登録され、EngageLabとアカウントが連携されると、次に送信番号の認証を行います。
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ステップ10
送信番号セクションに移動します。該当画面で「番号を認証」を選択し、送信番号の認証を行います。
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ステップ11
メッセージ送信設定から「テンプレートメッセージ」を開きます。送信番号、送信時間、宛先、メッセージテンプレートを選択して、送信内容を設定します。
上記の手順に沿って進めることで、EngageLabを活用したWhatsAppによるOTP認証メッセージを、顧客へ安定して配信できます。
本プロセスで特に留意したいポイントは以下のとおりです。
- WhatsAppビジネスアカウント作成時は、適切なFacebookプロフィールを選択する。そのうえでEngageLabと連携する。連携時にエラーが発生した場合、数日後に再試行すると解消するケースがある。
- 正しい電話番号の登録は、WhatsAppによるOTP認証を確実に届けるために重要。他のWhatsAppサービスと未連携の番号を使用する。新規取得した電話番号の利用が望ましい。
- WhatsAppの電話番号登録後、名称の審査には最大1時間程度かかる。審査が完了するまで待機する。完了後に次の確認作業を行う。
- ビジネスモデルに適したテンプレートを選択する。必要に応じて独自テンプレートを作成する。WhatsApp経由でOTPを送信する。
WhatsAppによるOTP認証メッセージは、1回の送信で最大1,000件の番号へ配信可能です。
EngageLabを利用することで、WhatsAppによるOTP認証配信の設定や運用をまとめて進めやすくなります。無料登録から導入を検討できます。
WhatsApp認証コードの活用シーン
WhatsAppは、海外ユーザーや訪日客との接点が多い業種で、認証や通知チャネルの一つとして検討されることがあります。そのため、WhatsAppによるOTP認証は多様な業務シーンで活用されています。
以下では、代表的なユースケースを紹介します。
1. 海外ユーザーの会員登録・ログイン
WhatsAppによるOTP認証で最も一般的な用途が、ユーザー登録やログイン時の本人確認です。ログインフローにOTPを追加することで、パスワードのみの認証に比べ、セキュリティを強化できます。
ユーザーがIDとパスワードを入力すると、固有のOTPがWhatsApp経由で送信されます。正しいOTPを入力することでログインが完了します。認証されたユーザーのみがアカウントへアクセスできます。
2. 取引の確認
金融取引や高額商品の購入、配送先変更など、重要な取引操作では追加の本人確認が求められる場合があります。WhatsApp利用率が高い国・地域のユーザーに対しては、WhatsApp経由で認証コードを送信することで、確認フローを進めやすくなります。
例えば、オンラインバンキングやモバイルウォレットでは、セキュリティ強化と不正防止を目的として、OTP認証が活用されています。WhatsApp認証コードを使う場合も、SMS OTPやメールOTPへのフォールバックをあわせて設計することが重要です。
3. アカウント復旧
WhatsAppによるワンタイムパスワード認証は、アカウントのメールアドレスやパスワードを再設定する場面でもよく活用されています。WhatsApp経由で認証コードを送信することで、企業側は正しいアカウント所有者かどうかを確認しやすくなります。
4. サブスクリプションサービス
WhatsAppで認証コードを送信する仕組みは、ソフトウェア企業などのサブスクリプション型ビジネスでも活用されています。たとえば、新規登録、ログイン、プラン変更、支払い方法の更新といった場面では、追加の本人確認が求められることがあります。
WhatsApp利用率が高い国・地域のユーザーに対しては、普段使っているアプリ上で認証コードを受け取れるため、確認を短時間で完了しやすくなります。その結果、登録や設定変更のフローを進めやすくなり、不正利用対策やアカウント保護にもつながります。
5. 訪日客向けの予約確認
医療クリニック、ホテル、ツアー予約などの業種では、予約時や予約変更時、来店前確認の場面で追加の本人確認が必要になることがあります。WhatsApp利用率が高い国・地域の訪日客に対しては、WhatsApp経由で認証コードを送信することで、確認フローを進めやすくなります。
その結果、本人確認が必要な予約操作を進めやすくなり、誤入力や不正な変更の防止にもつながります。あわせて、SMS OTPやメールOTPへのフォールバックも用意しておくと、未達時にも対応しやすくなります。
まとめ
WhatsApp認証コードは、海外ユーザー、訪日客、越境ECユーザーなど、WhatsAppを日常的に利用している顧客にOTPを届ける手段として有効です。国内向けのすべての認証を置き換えるものではなく、SMS OTPやメールOTPと組み合わせて使うことで、認証完了率とユーザー体験を高めやすくなります。
導入時は、対象国・地域、WhatsApp利用状況、送信番号、テンプレート、未達時のフォールバック、配信レポートの確認方法を整理しておくことが重要です。
海外ユーザーや訪日客を対象とするサービスでは、WhatsApp認証コードとSMS OTPを組み合わせた設計が一般的です。EngageLabを活用すれば、複数チャネルの認証コード配信を一元管理しながら、到達率とユーザー体験の両立を図ることができます。
WhatsApp認証コードに関するよくある質問
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1
WhatsAppのOTP認証は安全ですか?
WhatsApp OTPは、アプリ内メッセージとして認証コードを届けられるため、対象ユーザーによっては使いやすい認証手段になります。ただし、安全性は配信チャネルだけでなく、認証コードの有効期限、再送制限、テンプレート管理、送信番号管理によっても左右されます。企業で導入する場合は、WhatsAppだけに依存せず、SMS OTPやメールOTPへのフォールバックも含めて設計することが重要です。 -
2
OTP認証情報を第三者に教えるとどうなりますか?
OTP認証情報を第三者に伝えてしまうと、不正ログインやなりすまし、さらには個人情報の盗用につながる恐れがあります。これは、オンライン上の本人情報へのアクセス権を相手に渡すのと同じ行為であり、アカウント乗っ取りや情報悪用のリスクを高めます。 -
3
WhatsApp認証コードとは何ですか?
WhatsApp認証コードとは、本人確認のために一時的に発行されるコードです。個人のWhatsAppアカウント登録時に使われる場合もありますが、企業が会員登録、ログイン、取引確認などでユーザーに送信するOTPとして使う場合もあります。なお、個人がWhatsAppアカウントを登録・再認証するときの認証コードと、企業がユーザーに送信するOTP認証コードは文脈が異なります。本記事では、主に企業がユーザー登録、ログイン、取引確認などで送信するWhatsApp認証コードを扱います。 -
4
WhatsApp認証とSMS認証の違いは何ですか?
SMS認証は携帯電話番号宛てにSMSで認証コードを送る方法です。一方、WhatsApp認証はWhatsAppアプリ上で認証コードを受け取る方法です。WhatsApp利用率が高い国・地域では使いやすい一方、SMSはより幅広い携帯電話ユーザーに届けやすいという違いがあります。 -
5
企業がWhatsAppで認証コードを送信できますか?
企業はWhatsApp Business APIや対応する配信プラットフォームを利用することで、ユーザー登録、ログイン、取引確認などの場面で認証コードを送信できます。導入時は送信番号、テンプレート、配信対象国、SMS OTPへのフォールバックを確認することが重要です。 -
6
WhatsAppで認証コードが届かない場合はどうすべきですか?
WhatsAppアプリの未利用、通信環境、電話番号の状態などにより、認証コードが届かない場合があります。企業側では、SMS OTPやメールOTPなど別チャネルへの切り替えを用意しておくと、認証途中の離脱を減らしやすくなります。













