ワンタイムパスワード(OTP)は、会員登録、ログイン、取引確認などで本人確認を行うために、一時的に発行される認証コードです。企業はWhatsApp Business Platformを利用し、自社サービスのユーザーにOTPを送信できます。
ここで扱うWhatsApp認証コードは、企業がユーザー登録やログインなどで送信するOTPです。個人がWhatsAppアカウントを登録・再認証するときに、WhatsAppから受け取る電話番号確認用のコードとは用途が異なります。
この記事では、企業がWhatsAppで認証コードを送信する仕組み、SMS認証(SMS OTP)との違い、導入前に確認したい送信・検証・フォールバックの考え方を整理します。
先に結論: WhatsApp利用率が高い国・地域のユーザーには、WhatsApp OTPが認証チャネルの候補になります。ただし、すべてのユーザーがWhatsAppを利用しているとは限らないため、SMS OTPやメールOTPへ切り替えられる設計も必要です。
日本企業がWhatsApp認証コードを検討する理由
国内ではLINEが広く使われていますが、海外顧客や訪日客、越境ECユーザーが同じ連絡手段を利用しているとは限りません。WhatsApp認証コードは、LINEの代替というより、WhatsAppを日常的に利用するユーザーへOTPを届けるための補助チャネルとして検討します。
海外顧客、訪日客、越境ECユーザーなど、WhatsAppを日常的に利用する顧客との接点が多い場合に候補になります。具体的な活用場面は、後半の「WhatsApp認証コードの活用シーン」で紹介します。
導入前には、対象ユーザーがWhatsAppを利用しているかを確認します。アプリを利用していない場合や、通信環境によって受信できない場合に備え、SMS OTPやメールOTPへ切り替える方法も整理しておきましょう。
WhatsApp認証コード(WhatsApp OTP)の概要
WhatsApp認証コードとは
WhatsApp認証コード(WhatsApp OTP)とは、企業が会員登録、ログイン、アカウント復旧、取引確認などで本人確認を行うために、WhatsApp上でユーザーへ送る一時的な認証コードです。
WhatsApp OTPは認証コードの配信チャネルの一つであり、それだけで二要素認証になるわけではありません。パスワードなど別の認証要素と組み合わせる場合は、二要素認証(2FA)や多要素認証(MFA)の一部として利用されます。
企業がWhatsApp OTPを送信するには、WhatsAppの送信経路、認証用テンプレート、OTPを生成・照合する仕組みが必要です。自社WABAを利用する場合は、送信元番号と認証テンプレートを企業側で設定します。WhatsAppを日常的に利用するユーザーには確認しやすい一方、アプリを利用していない場合や通信できない場合に備えて、別チャネルも用意しておきます。
WhatsApp認証コードとSMS認証(SMS OTP)の違い
WhatsApp OTPとSMS OTPのメリット・デメリット
WhatsApp OTPとSMS OTPは、認証コードを届ける通信経路や受信条件が異なります。対象ユーザーの国・地域、利用端末、WhatsAppの利用状況を確認したうえで選びます。
| 比較項目 | WhatsApp OTP認証 | SMS OTP認証 |
|---|---|---|
| コスト | 国・地域、テンプレート種別、配信量によって変動する | 国・地域、キャリア、送信ルート、配信量によって変動する |
| 配信速度 | インターネット環境が安定していれば、スムーズに届きやすい | 携帯回線やキャリアの状況によって、遅延が発生する場合がある |
| グローバル対応 | WhatsApp利用率が高い国・地域では使いやすい | 携帯電話番号があれば幅広い国・地域で利用しやすい |
| セキュリティ・運用管理 | アプリ内メッセージとして認証コードを届けられる。運用時はテンプレート、番号、有効期限の管理が重要 | 電話番号宛てに認証コードを届けられる。SIMスワップや端末管理などのリスクも考慮が必要 |
| フォールバック | WhatsAppで未達の場合、SMS OTPやメールOTPへ切り替える設計が重要 | SMSが届かない場合に備え、メールOTPや音声通話などの代替手段を検討する |
| ユーザー体験 | WhatsAppアプリ上で確認できるため、対象ユーザーによっては認証コードを見つけやすい | SMSアプリで受信でき、追加アプリなしで利用しやすい |
| リーチ・対応端末 | WhatsAppを利用しているスマートフォンユーザーに向いている | SMSを受信できる携帯電話ユーザーに幅広く届けやすい |
企業が認証コード配信手段を選ぶ際のポイント
WhatsApp OTPとSMS OTPのどちらが適しているかは、対象ユーザーと認証フローによって異なります。単純な優劣ではなく、次の条件を確認して使い分けましょう。
- ユーザーの利用状況: 対象国・地域でWhatsAppが日常的に使われているかを確認します。
- 受信条件: WhatsAppはアプリとインターネット接続、SMSはSMSを受信できる電話番号と携帯回線が前提です。
- 費用が変動する要因: 国・地域、送信量、テンプレート種別、キャリアや送信ルートを確認します。
- フォールバック: 最初のチャネルで受信できない場合に、SMS OTPやメールOTPへ切り替える条件を決めておきます。
EngageLabで国・地域別の料金条件を確認する場合は、料金シミュレーションを参照してください。
どちらか一方が常に優れているわけではありません。対象ユーザーの利用状況に応じてWhatsApp OTPとSMS OTPを使い分け、未達時の切り替え条件も決めておきましょう。
EngageLab OTPのテンプレート管理では、メインチャネルに加えて最大2つのフォールバックチャネルを設定できます。
WhatsAppで認証コードを送信する方法
EngageLab OTPからWhatsApp認証コードを送信する方法は、2つあります。EngageLab OTPで提供される固定WhatsApp経路を利用する方法と、EngageLab WhatsAppに自社のWABA(WhatsApp Business Account)を接続する方法です。どちらの場合も、OTPサービスを有効化し、アプリケーション、テンプレート、APIキーを準備します。
導入前に準備するもの
- OTPアプリケーション: OTPサブコンソールで、認証フローごとに利用するアプリケーションを作成します。
- WhatsAppの送信経路とテンプレート: 固定WhatsApp経路では、提供されるテンプレートを利用し、文面やボタン方式はカスタマイズできません。自社WABAをEngageLab WhatsAppに接続する場合は、Metaの要件に沿って自社で認証テンプレートを設定します。
- APIキー: OTPの送信と検証を自社システムから呼び出すため、OTPサブコンソールでAPIキーを作成します。
- OTPの処理方式: EngageLabにコードの生成と検証を任せる標準方式と、自社で生成したコードを送信するカスタムOTP方式のどちらを使うか決めます。
- フォールバック戦略: WhatsAppをメインチャネルにする場合は、送信失敗時に利用するSMSやVoiceなどの順序を設定します。メインチャネルに加えて最大2つのフォールバックチャネルを指定できます。
固定WhatsApp経路ではテンプレートをカスタマイズできないため、Copy Code、One-Tap Autofill、Zero-Tapを企業側で設定することはできません。これらの方式を利用する場合は、自社WABAをEngageLab WhatsAppに接続し、WABA側でMetaの認証テンプレートを設定します。利用できる方式、対象OS・アプリの条件、テンプレートの承認要件は、Metaの認証テンプレート仕様と自社WABAの設定内容を確認してください。
WhatsApp OTPを送信・確認する流れ
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1
ユーザーが認証を必要とする操作を行う
会員登録、ログイン、アカウント復旧、取引確認などをきっかけに、自社システムで認証フローを開始します。 -
2
OTP送信APIを呼び出す
送信先とテンプレートIDを指定してOTP送信APIを呼び出します。標準方式では、EngageLabがテンプレート設定に基づいてコードを生成し、メッセージIDと使用した送信チャネルを返します。 -
3
WhatsAppで認証コードを送信する
固定WhatsApp経路を利用する場合は、提供される固定テンプレートで送信します。自社WABAをEngageLab WhatsAppに接続する場合は、WABA側で設定した認証テンプレートにコードや有効期間を反映して送信します。 -
4
ユーザーが認証コードを入力する
ユーザーはWhatsAppで受信したコードを確認し、企業のアプリやWebサイトへ入力します。入力方法は、利用できるWhatsAppテンプレートの方式によって異なります。 -
5
OTP検証APIで結果を確認する
自社システムからメッセージIDとユーザーが入力したコードをOTP検証APIへ送信します。EngageLabはコードの一致、有効期限、検証済みかどうかを確認し、検証結果を返します。 -
6
送信失敗時に別チャネルへ切り替える
テンプレートにフォールバックチャネルを設定している場合、WhatsAppでの送信失敗を検知すると、EngageLabは設定した順序に従ってSMSやVoiceなどへ自動的に切り替えます。
自社で生成したコードを利用する場合は、カスタムOTP送信APIで事前生成したコードを送信できます。この方式ではEngageLabのOTP検証APIを使用せず、自社システム側でコードを照合します。
導入前に確認する項目
- コードの長さ・種別、有効期間、再送条件をどう設定するか
- WhatsAppをメインチャネルにする場合のフォールバック順序
- 送信履歴とライフサイクルステータスを、コンソールまたはコールバックでどう確認するか
- 自社WABAを利用する場合に設定する認証テンプレート方式と、対象OS・アプリの条件
EngageLab OTPは、標準方式でのOTP生成・検証、WhatsAppを含む複数チャネルへの配信、送信履歴の確認、ステータスコールバックに対応しています。カスタムOTP方式では、コードの生成と照合を自社システム側で行います。詳しい設定方法はOTPドキュメント、サービスの対応範囲はEngageLab OTP製品ページで確認できます。
WhatsApp認証コードの活用シーン
WhatsApp認証コードは、対象ユーザーがWhatsAppを日常的に利用している場合に候補になります。ここでは、企業が本人確認を必要とする代表的な場面を3つに整理します。
1. 会員登録・ログイン・アカウント復旧
会員登録やログイン、パスワード再設定では、入力された電話番号や操作を行っているユーザーを確認するためにOTPが使われます。WhatsAppを利用するユーザーには、普段使っているアプリ上で認証コードを確認できる方法が候補になります。
パスワードとOTPを組み合わせる場合は、二要素認証の一部として利用できます。OTPの有効期限、再送回数、使用済みコードの扱いもあわせて設計します。
2. 取引・決済・重要な設定変更
金融取引、高額商品の購入、支払い方法の更新、配送先変更などでは、操作を確定する前に追加の本人確認が必要になる場合があります。WhatsApp利用率が高い国・地域のユーザーには、WhatsApp OTPを確認手段の一つとして検討できます。
重要な操作では、配信チャネルだけで安全性を判断しません。OTPの有効期限、再送制限、取引内容とのひも付け、未達時の代替手段を含めて運用フローを整理します。
3. 海外顧客・訪日客向けの予約・越境EC
ホテル、ツアー、医療機関などの予約や、越境ECの注文確認では、予約変更、来店前確認、配送先変更などで本人確認が必要になることがあります。対象ユーザーがWhatsAppを利用している場合は、認証コードの送信先として検討できます。
ただし、国籍や渡航目的だけでWhatsAppの利用を判断することはできません。ユーザーが選択した連絡先や利用状況を基にチャネルを決め、受信できない場合はSMS OTPやメールOTPへ切り替えます。
まとめ
WhatsApp認証コードは、WhatsAppを日常的に利用する海外ユーザー、訪日客、越境ECユーザーへOTPを届ける手段の一つです。国内向けを含むすべての認証を置き換えるものではなく、対象ユーザーの利用状況に応じてSMS OTPやメールOTPと使い分けます。
EngageLab OTPを利用する場合は、WhatsAppの送信経路、テンプレートの設定方法、OTPの生成・検証方式、フォールバック順序を確認したうえで、自社システムとの連携方法を整理します。
WhatsApp認証コードに関するよくある質問
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1
企業がWhatsAppで認証コードを送信できますか?
企業はWhatsApp Business Platformや対応するOTPサービスを利用して、ユーザーに認証コードを送信できます。EngageLab OTPでは、固定WhatsApp経路または自社WABAを接続するEngageLab WhatsApp経路を選べます。 -
2
企業が送信するWhatsApp OTPと、WhatsApp登録用コードの違いは何ですか?
企業が送信するWhatsApp OTPは、企業のサービスにおける会員登録、ログイン、取引確認などで本人確認を行うためのコードです。一方、WhatsApp登録用コードは、個人がWhatsAppアカウントを登録・再認証するときに電話番号を確認するため、WhatsAppから送られるコードです。 -
3
WhatsApp認証とSMS認証の違いは何ですか?
SMS認証は携帯回線を通じて認証コードを送ります。WhatsApp認証はインターネット接続とWhatsAppアプリを利用してコードを受け取る方法です。対象ユーザーの国・地域、WhatsAppの利用状況、料金、未達時の切り替え方法を確認して選びます。 -
4
企業が送信したWhatsApp認証コードが届かない場合はどうしますか?
企業側では、SMSやVoiceなどの代替チャネルを用意します。EngageLab OTPでは、WhatsAppの送信に失敗した場合に、設定したフォールバックチャネルへ自動的に切り替えられます。







