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佐藤 健一

更新日:2026-07-15

読了目安:6分

ワンタイムパスワード(OTP)は、会員登録、ログイン、取引確認などで本人確認を行うために、一時的に発行される認証コードです。企業はWhatsApp Business Platformを利用し、自社サービスのユーザーにOTPを送信できます。

ここで扱うWhatsApp認証コードは、企業がユーザー登録やログインなどで送信するOTPです。個人がWhatsAppアカウントを登録・再認証するときに、WhatsAppから受け取る電話番号確認用のコードとは用途が異なります。

この記事では、企業がWhatsAppで認証コードを送信する仕組み、SMS認証(SMS OTP)との違い、導入前に確認したい送信・検証・フォールバックの考え方を整理します。

先に結論: WhatsApp利用率が高い国・地域のユーザーには、WhatsApp OTPが認証チャネルの候補になります。ただし、すべてのユーザーがWhatsAppを利用しているとは限らないため、SMS OTPやメールOTPへ切り替えられる設計も必要です。

WhatsApp認証コードとSMS認証の違い

日本企業がWhatsApp認証コードを検討する理由

国内ではLINEが広く使われていますが、海外顧客や訪日客、越境ECユーザーが同じ連絡手段を利用しているとは限りません。WhatsApp認証コードは、LINEの代替というより、WhatsAppを日常的に利用するユーザーへOTPを届けるための補助チャネルとして検討します。

海外顧客、訪日客、越境ECユーザーなど、WhatsAppを日常的に利用する顧客との接点が多い場合に候補になります。具体的な活用場面は、後半の「WhatsApp認証コードの活用シーン」で紹介します。

導入前には、対象ユーザーがWhatsAppを利用しているかを確認します。アプリを利用していない場合や、通信環境によって受信できない場合に備え、SMS OTPやメールOTPへ切り替える方法も整理しておきましょう。

WhatsApp認証コード(WhatsApp OTP)の概要

WhatsApp認証コードとは

WhatsApp認証コード(WhatsApp OTP)とは、企業が会員登録、ログイン、アカウント復旧、取引確認などで本人確認を行うために、WhatsApp上でユーザーへ送る一時的な認証コードです。

WhatsApp OTPは認証コードの配信チャネルの一つであり、それだけで二要素認証になるわけではありません。パスワードなど別の認証要素と組み合わせる場合は、二要素認証(2FA)や多要素認証(MFA)の一部として利用されます。

企業がWhatsApp OTPを送信するには、WhatsAppの送信経路、認証用テンプレート、OTPを生成・照合する仕組みが必要です。自社WABAを利用する場合は、送信元番号と認証テンプレートを企業側で設定します。WhatsAppを日常的に利用するユーザーには確認しやすい一方、アプリを利用していない場合や通信できない場合に備えて、別チャネルも用意しておきます。

WhatsApp認証コードとSMS認証(SMS OTP)の違い

WhatsApp OTPとSMS OTPのメリット・デメリット

WhatsApp OTPとSMS OTPは、認証コードを届ける通信経路や受信条件が異なります。対象ユーザーの国・地域、利用端末、WhatsAppの利用状況を確認したうえで選びます。

比較項目 WhatsApp OTP認証 SMS OTP認証
コスト 国・地域、テンプレート種別、配信量によって変動する 国・地域、キャリア、送信ルート、配信量によって変動する
配信速度 インターネット環境が安定していれば、スムーズに届きやすい 携帯回線やキャリアの状況によって、遅延が発生する場合がある
グローバル対応 WhatsApp利用率が高い国・地域では使いやすい 携帯電話番号があれば幅広い国・地域で利用しやすい
セキュリティ・運用管理 アプリ内メッセージとして認証コードを届けられる。運用時はテンプレート、番号、有効期限の管理が重要 電話番号宛てに認証コードを届けられる。SIMスワップや端末管理などのリスクも考慮が必要
フォールバック WhatsAppで未達の場合、SMS OTPやメールOTPへ切り替える設計が重要 SMSが届かない場合に備え、メールOTPや音声通話などの代替手段を検討する
ユーザー体験 WhatsAppアプリ上で確認できるため、対象ユーザーによっては認証コードを見つけやすい SMSアプリで受信でき、追加アプリなしで利用しやすい
リーチ・対応端末 WhatsAppを利用しているスマートフォンユーザーに向いている SMSを受信できる携帯電話ユーザーに幅広く届けやすい

企業が認証コード配信手段を選ぶ際のポイント

WhatsApp OTPとSMS OTPのどちらが適しているかは、対象ユーザーと認証フローによって異なります。単純な優劣ではなく、次の条件を確認して使い分けましょう。

  • ユーザーの利用状況: 対象国・地域でWhatsAppが日常的に使われているかを確認します。
  • 受信条件: WhatsAppはアプリとインターネット接続、SMSはSMSを受信できる電話番号と携帯回線が前提です。
  • 費用が変動する要因: 国・地域、送信量、テンプレート種別、キャリアや送信ルートを確認します。
  • フォールバック: 最初のチャネルで受信できない場合に、SMS OTPやメールOTPへ切り替える条件を決めておきます。

EngageLabで国・地域別の料金条件を確認する場合は、料金シミュレーションを参照してください。

WhatsAppとSMSのOTP配信チャネルを選ぶ際の主な検討ポイント

どちらか一方が常に優れているわけではありません。対象ユーザーの利用状況に応じてWhatsApp OTPとSMS OTPを使い分け、未達時の切り替え条件も決めておきましょう。

EngageLab OTPのテンプレート管理では、メインチャネルに加えて最大2つのフォールバックチャネルを設定できます。

WhatsAppで認証コードを送信する方法

EngageLab OTPからWhatsApp認証コードを送信する方法は、2つあります。EngageLab OTPで提供される固定WhatsApp経路を利用する方法と、EngageLab WhatsAppに自社のWABA(WhatsApp Business Account)を接続する方法です。どちらの場合も、OTPサービスを有効化し、アプリケーション、テンプレート、APIキーを準備します。

EngageLabのOTP認証プロダクト

導入前に準備するもの

  • OTPアプリケーション: OTPサブコンソールで、認証フローごとに利用するアプリケーションを作成します。
  • WhatsAppの送信経路とテンプレート: 固定WhatsApp経路では、提供されるテンプレートを利用し、文面やボタン方式はカスタマイズできません。自社WABAをEngageLab WhatsAppに接続する場合は、Metaの要件に沿って自社で認証テンプレートを設定します。
  • APIキー: OTPの送信と検証を自社システムから呼び出すため、OTPサブコンソールでAPIキーを作成します。
  • OTPの処理方式: EngageLabにコードの生成と検証を任せる標準方式と、自社で生成したコードを送信するカスタムOTP方式のどちらを使うか決めます。
  • フォールバック戦略: WhatsAppをメインチャネルにする場合は、送信失敗時に利用するSMSやVoiceなどの順序を設定します。メインチャネルに加えて最大2つのフォールバックチャネルを指定できます。

固定WhatsApp経路ではテンプレートをカスタマイズできないため、Copy Code、One-Tap Autofill、Zero-Tapを企業側で設定することはできません。これらの方式を利用する場合は、自社WABAをEngageLab WhatsAppに接続し、WABA側でMetaの認証テンプレートを設定します。利用できる方式、対象OS・アプリの条件、テンプレートの承認要件は、Metaの認証テンプレート仕様と自社WABAの設定内容を確認してください。

WhatsApp OTPを送信・確認する流れ

  • 1

    ユーザーが認証を必要とする操作を行う

    会員登録、ログイン、アカウント復旧、取引確認などをきっかけに、自社システムで認証フローを開始します。
  • 2

    OTP送信APIを呼び出す

    送信先とテンプレートIDを指定してOTP送信APIを呼び出します。標準方式では、EngageLabがテンプレート設定に基づいてコードを生成し、メッセージIDと使用した送信チャネルを返します。
  • 3

    WhatsAppで認証コードを送信する

    固定WhatsApp経路を利用する場合は、提供される固定テンプレートで送信します。自社WABAをEngageLab WhatsAppに接続する場合は、WABA側で設定した認証テンプレートにコードや有効期間を反映して送信します。
  • 4

    ユーザーが認証コードを入力する

    ユーザーはWhatsAppで受信したコードを確認し、企業のアプリやWebサイトへ入力します。入力方法は、利用できるWhatsAppテンプレートの方式によって異なります。
  • 5

    OTP検証APIで結果を確認する

    自社システムからメッセージIDとユーザーが入力したコードをOTP検証APIへ送信します。EngageLabはコードの一致、有効期限、検証済みかどうかを確認し、検証結果を返します。
  • 6

    送信失敗時に別チャネルへ切り替える

    テンプレートにフォールバックチャネルを設定している場合、WhatsAppでの送信失敗を検知すると、EngageLabは設定した順序に従ってSMSやVoiceなどへ自動的に切り替えます。

自社で生成したコードを利用する場合は、カスタムOTP送信APIで事前生成したコードを送信できます。この方式ではEngageLabのOTP検証APIを使用せず、自社システム側でコードを照合します。

導入前に確認する項目

  • コードの長さ・種別、有効期間、再送条件をどう設定するか
  • WhatsAppをメインチャネルにする場合のフォールバック順序
  • 送信履歴とライフサイクルステータスを、コンソールまたはコールバックでどう確認するか
  • 自社WABAを利用する場合に設定する認証テンプレート方式と、対象OS・アプリの条件

EngageLab OTPは、標準方式でのOTP生成・検証、WhatsAppを含む複数チャネルへの配信、送信履歴の確認、ステータスコールバックに対応しています。カスタムOTP方式では、コードの生成と照合を自社システム側で行います。詳しい設定方法はOTPドキュメント、サービスの対応範囲はEngageLab OTP製品ページで確認できます。

WhatsApp認証コードの活用シーン

WhatsApp認証コードは、対象ユーザーがWhatsAppを日常的に利用している場合に候補になります。ここでは、企業が本人確認を必要とする代表的な場面を3つに整理します。

1. 会員登録・ログイン・アカウント復旧

会員登録やログイン、パスワード再設定では、入力された電話番号や操作を行っているユーザーを確認するためにOTPが使われます。WhatsAppを利用するユーザーには、普段使っているアプリ上で認証コードを確認できる方法が候補になります。

パスワードとOTPを組み合わせる場合は、二要素認証の一部として利用できます。OTPの有効期限、再送回数、使用済みコードの扱いもあわせて設計します。

海外ユーザーの会員登録・ログイン時に、WhatsAppで受信したOTPコードを入力して本人確認を行うイメージ

2. 取引・決済・重要な設定変更

金融取引、高額商品の購入、支払い方法の更新、配送先変更などでは、操作を確定する前に追加の本人確認が必要になる場合があります。WhatsApp利用率が高い国・地域のユーザーには、WhatsApp OTPを確認手段の一つとして検討できます。

重要な操作では、配信チャネルだけで安全性を判断しません。OTPの有効期限、再送制限、取引内容とのひも付け、未達時の代替手段を含めて運用フローを整理します。

WhatsAppによるOTP認証の活用例:取引確認

3. 海外顧客・訪日客向けの予約・越境EC

ホテル、ツアー、医療機関などの予約や、越境ECの注文確認では、予約変更、来店前確認、配送先変更などで本人確認が必要になることがあります。対象ユーザーがWhatsAppを利用している場合は、認証コードの送信先として検討できます。

ただし、国籍や渡航目的だけでWhatsAppの利用を判断することはできません。ユーザーが選択した連絡先や利用状況を基にチャネルを決め、受信できない場合はSMS OTPやメールOTPへ切り替えます。

WhatsAppによるOTP認証の活用例:訪日客向けの予約確認

まとめ

WhatsApp認証コードは、WhatsAppを日常的に利用する海外ユーザー、訪日客、越境ECユーザーへOTPを届ける手段の一つです。国内向けを含むすべての認証を置き換えるものではなく、対象ユーザーの利用状況に応じてSMS OTPやメールOTPと使い分けます。

EngageLab OTPを利用する場合は、WhatsAppの送信経路、テンプレートの設定方法、OTPの生成・検証方式、フォールバック順序を確認したうえで、自社システムとの連携方法を整理します。

WhatsApp認証コードに関するよくある質問

  • 1

    企業がWhatsAppで認証コードを送信できますか?

    企業はWhatsApp Business Platformや対応するOTPサービスを利用して、ユーザーに認証コードを送信できます。EngageLab OTPでは、固定WhatsApp経路または自社WABAを接続するEngageLab WhatsApp経路を選べます。
  • 2

    企業が送信するWhatsApp OTPと、WhatsApp登録用コードの違いは何ですか?

    企業が送信するWhatsApp OTPは、企業のサービスにおける会員登録、ログイン、取引確認などで本人確認を行うためのコードです。一方、WhatsApp登録用コードは、個人がWhatsAppアカウントを登録・再認証するときに電話番号を確認するため、WhatsAppから送られるコードです。
  • 3

    WhatsApp認証とSMS認証の違いは何ですか?

    SMS認証は携帯回線を通じて認証コードを送ります。WhatsApp認証はインターネット接続とWhatsAppアプリを利用してコードを受け取る方法です。対象ユーザーの国・地域、WhatsAppの利用状況、料金、未達時の切り替え方法を確認して選びます。
  • 4

    企業が送信したWhatsApp認証コードが届かない場合はどうしますか?

    企業側では、SMSやVoiceなどの代替チャネルを用意します。EngageLab OTPでは、WhatsAppの送信に失敗した場合に、設定したフォールバックチャネルへ自動的に切り替えられます。