プッシュ通知は、アプリやWebサイトのユーザーにすばやく情報を届けられる便利なチャネルです。ただし、導入前に気になるのが「プッシュ通知料金はいくらかかるのか」「無料で使えるのか」「どの課金方式が自社に合うのか」といった点ではないでしょうか。
この記事では、プッシュ通知料金の相場と主な課金方式に加え、アプリプッシュ通知とWebプッシュ通知で異なる費用の見方、自社の予算を見積もる際に整理しておきたい条件、代表的な料金モデルを解説します。
プッシュ通知料金の相場は?
公開されているプランでは、無料から月額数万円程度が一つの目安です。小規模な検証であれば、無料プランや低額プランから始められる場合があります。配信規模が大きい場合や、分析・自動化・権限管理・導入支援が必要な場合は、個別見積もりになることもあります。
- 小規模運用:無料プランや低額プランで始められることが多い
- 成長フェーズ:MAU、DAU、購読者数、配信通数などに応じて料金が変わる
- 大規模運用:機能要件やサポート内容に応じて個別見積もりになることがある
- 注意点:無料の配信基盤やプランでも、導入・分析・自動化・保守に別のコストがかかる場合がある
相場だけでは自社の費用を判断できません。配信先がアプリかWebかを確認し、課金基準、必要な機能、導入後の運用まで含めて比較することが重要です。
プッシュ通知料金は何で決まる?
プッシュ通知料金は、単純に「送る回数」だけで決まるわけではありません。最初に確認したいのは、通知の配信先です。アプリプッシュ通知とWebプッシュ通知では、料金の算定に使われる指標や、別途発生する導入・運用コストが異なります。
| 配信対象 | 主に確認する費用指標 | 別途確認したいコスト |
|---|---|---|
| アプリプッシュ通知 | MAU、DAU、登録端末数、配信通数など | SDKの導入、アプリ更新、開発・保守、iOS・Androidへの対応 |
| Webプッシュ通知 | 購読者数、登録ユーザー数、月間配信通数など | 初期設定、対応ブラウザの確認、タグ管理、運用支援 |
アプリとWebの両方に配信する場合は、チャネルごとに料金が発生するのか、同じ契約内で管理できるのかも確認しておきましょう。
- 利用規模:MAU、DAU、購読者数、登録端末数など、サービスごとに異なる指標で料金が変わります。
- 配信通数:送信数が増えるほど費用が上がる従量課金型もあります。
- 利用機能:セグメント配信、A/Bテスト、自動化、詳細分析などは上位プランで提供されることがあります。
- サポート体制:導入支援、オンボーディング、専任サポートなどを付けると費用が増える場合があります。
- 対応チャネル:プッシュ通知に加えて、メール、SMS、WhatsAppなども使う場合は料金体系が変わることがあります。
- 運用コスト:管理画面の設定、システム連携、開発・保守工数も実質的なコストです。
主な課金方式は3つ
プッシュ通知サービスの料金体系は、大きく分けると次の3つに整理できます。
1. フリーミアム・従量課金型
無料プランで始められる一方、配信数や利用機能が増えると課金されるタイプです。初期コストを抑えやすく、試験導入や小規模運用に向いています。ただし、利用規模が拡大した場合の料金も事前に確認する必要があります。
2. MAU・DAU・購読者数ベースの段階制
月間アクティブユーザー数、1日あたりのアクティブユーザー数、購読者数などに応じて料金が決まるモデルです。利用規模を把握できていれば予算を立てやすい一方、成長に伴う料金の上がり方を確認しておく必要があります。
3. 個別見積もり・エンタープライズ契約型
大規模運用や複雑な要件がある場合は、個別見積もり型になることがあります。高度な分析、権限管理、専任サポート、セキュリティ、データ連携など、必要な範囲を整理してから見積もりを依頼します。
プッシュ通知は無料で使える?有料になるケースは?
プッシュ通知は、無料の配信基盤や無料プランから始められる場合があります。ただし、配信基盤の利用料、SaaSの無料プラン、導入後の運用コストは、区別して考える必要があります。
- 無料で始めやすいケース:小規模な通知配信や、基本的な送信機能だけを試す場合
- 有料になりやすいケース:セグメント配信、自動化、A/Bテスト、詳細分析、複数チャネル連携、専任サポートが必要な場合
- 運用面の注意点:無料の配信基盤を使えても、サーバー、管理画面、設定、分析、開発・保守に社内工数がかかる場合があります。
たとえば、Firebase Cloud Messaging(FCM)はCloud Messaging本体の利用料がかからない通知基盤です。一方で、FCMには送信クォータやシステム上の制限があり、周辺のFirebase・Google Cloud機能、管理画面、分析、セグメント設計、開発・保守には別の費用や工数が発生する場合があります。
自社のプッシュ通知料金を見積もる方法
正確な費用を確認するには、公開されている月額料金だけでなく、自社の利用規模、必要な機能、導入後の運用まで含めて整理する必要があります。
プッシュ通知の概算費用は、基本料金に、利用規模、必要な機能、導入・連携、運用・サポート、追加チャネルの費用を加えて整理します。
- 基本料金:月額料金や契約プラン
- 規模・利用量:MAU、DAU、購読者数、登録端末数、配信通数
- 利用機能:セグメント配信、自動化、A/Bテスト、分析、権限管理
- 導入・連携:SDK導入、初期設定、データ連携、移行作業
- 運用・サポート:保守、導入支援、専任サポート、トラブル対応
- 追加チャネル:メール、SMS、WhatsAppなどを併用する場合の費用
見積もりを依頼する前に整理する項目
- 配信先はアプリ、Web、または両方か
- 現在または導入後に想定するMAU、DAU、購読者数
- 月間の配信回数と配信通数
- セグメント配信、自動化、分析など必要な機能
- SDK導入やシステム連携に社内で対応できるか
- 導入支援や日本語サポートが必要か
- 将来的にプッシュ通知以外のチャネルを追加する予定があるか
運用条件から料金モデルを絞り込む
- 小規模サイト・検証段階:無料枠や低額プランを候補にし、購読者数や配信量が増えた場合の料金を確認します。
- アプリ運営:MAU、DAU、登録端末数のどれを基準に課金されるかを確認します。
- EC・会員サービス:プッシュ通知だけでなく、メールやSMSとの連携費用も含めて比較します。
- 大規模運用:権限管理、セキュリティ、導入支援、移行作業まで含めて個別見積もりを確認します。
料金モデル別に代表サービスを比較
プッシュ通知サービスは、無料の配信基盤、自社で操作できるSaaS、個別見積もり型の企業向けプラットフォームなど、提供範囲が異なります。ここでは、代表的な5サービスを同じ項目で整理し、料金が増える条件と追加コストを比較します。
- 対応対象
- アプリプッシュ通知、Webプッシュ通知
- サービスの種類
- セルフサービス型の顧客メッセージングSaaS
- 主な課金基準
- OneSignalの公式料金ページでは、Growthは月額19米ドルからで、これにモバイルプッシュは1MAUあたり0.012米ドル、Webプッシュは購読者1件あたり0.004米ドルの利用料が加わります。ProfessionalとEnterpriseは個別見積もりです。
- 無料範囲/トライアル
- 月額0米ドルのFreeプランがあります。Freeではモバイルプッシュを利用でき、Webプッシュは1回の配信対象が最大10,000購読者です。
- 費用が増える条件
- モバイルプッシュのMAUやWebプッシュの購読者数が増える場合、または高度なセグメント配信、ジャーニー機能、上位サポートを利用する場合は、費用が増えます。
- 追加コスト
- メール、SMS/RCS、上位サポート、年次契約向け機能などは別途確認が必要です。
- 対応対象
- iOS・Androidアプリ向けプッシュ通知
- サービスの種類
- 国内のアプリ向けプッシュ通知ASP。プッシュ通知を許可した端末数に応じた月額定額型です。
- 主な課金基準
- CORE PUSHの公式料金ページでは、通知許可端末数に応じてプランが分かれます。101〜25,000端末は月額11,800円、25,001〜100,000端末は月額28,800円、100,001〜250,000端末は月額114,800円です。250,001端末以上の場合は個別に問い合わせが必要です。
- 無料範囲/トライアル
- 初期費用は0円で、100端末まではフリープランを月額0円で利用できます。
- 費用が増える条件
- 通知許可端末数が各プランの上限を超えると、次の月額プランへ移行します。
- 追加コスト
- SDKの導入・更新やアプリ側の保守工数は別に見積もります。公表料金は1OS・1サイト、年間契約、税別の条件です。複数OSや複数アプリで利用する場合は、契約単位と総額を確認しておきましょう。
- 対応対象
- iOS、Android、Webなど
- サービスの種類
- 開発者向けのプッシュ通知基盤
- 主な課金基準
- Firebase公式では、Cloud Messaging本体の利用料はかからないと案内されています。
- 無料範囲/トライアル
- FCM本体は無料で利用できます。ただし、送信クォータやシステム上の制限があります。
- 費用が増える条件
- Cloud Functions、Firestore、Cloud Storageなど、周辺のFirebase・Google Cloud機能を利用すると、別途料金が発生する場合があります。
- 追加コスト
- サーバーや管理画面の構築、分析、セグメント設計、開発・保守にかかる工数は、FCM本体とは分けて見積もります。
- 対応対象
- PC・スマートフォンのWebブラウザ向けプッシュ通知
- サービスの種類
- 国内の法人向けWebプッシュ通知サービス
- 主な課金基準
- Cuenote Pushの公式料金ページでは、初期費用0円、月額利用料20,000円からと案内されています。月額利用料に加え、プッシュ配信通数に応じた従量課金が発生します。
- 無料範囲/トライアル
- 公式サイトに無料トライアルの申込窓口があります。利用期間や対象機能などの条件は申込前に確認が必要です。
- 費用が増える条件
- プッシュ配信通数が増えると従量料金が上がります。具体的な料金テーブルや大規模配信の条件は見積もりで確認します。
- 追加コスト
- タグの設置、初期設定、運用ルールの整備にかかる社内工数も見込んでおきましょう。個別の導入・運用要件がある場合は、月額料金とあわせて見積もりを確認します。
- 対応対象
- AppPush、WebPush
- サービスの種類
- 企業向けのプッシュ通知・マルチチャネル配信プラットフォーム
- 主な課金基準
- EngageLabの公式料金ページでは、AppPushとWebPushはいずれも、DAU(1日当たりのアクティブユーザー数)に応じた課金方式として案内されています。料金ページでは「DAU Scale Payment」と表記されています。
- 無料範囲/トライアル
- AppPushは30日間、WebPushは15日間の無料トライアルがあります。AppPushとWebPushはプッシュ通知数と登録ユーザー数が無制限です。
- 費用が増える条件
- DAUの規模に加え、追加チャネルや個別の導入支援が必要な場合は、見積もり条件が変わります。
- 追加コスト
- メール、SMS、WhatsAppなどを追加する場合や、個別要件がある場合は料金計算ツールまたは見積もりで確認します。
※料金・提供条件は2026年7月15日時点の各社公式情報をもとに整理しています。CORE PUSHは通知許可端末数、Cuenote Pushは月額利用料とプッシュ配信通数によって費用が変わります。契約前に各社の公式料金ページまたは公式窓口で最新条件を確認してください。
機能、対応チャネル、導入条件まで含めて候補を比較したい場合は、プッシュ通知サービスの比較記事も参考にしてください。
見落としがちな追加費用
プッシュ通知は、月額料金だけで判断すると、導入後に想定外の費用が発生することがあります。特に、基本プランに含まれると思っていた機能や、導入後に必要となる作業は見落としやすいため、契約前に次の条件を確認しておきましょう。
- リッチメディア対応:画像や動画を使った通知を配信する場合、制作や運用の工数が増えることがあります。
- 分析・データ保存:詳細分析や長期保存が上位プランまたは追加機能になっている場合があります。
- A/Bテスト・自動化:テスト、シナリオ、配信タイミングの最適化などが上位プランに含まれることがあります。
- 導入・保守工数:SDK導入、タグ設定、権限設計、運用ルールの整備にも社内工数がかかります。
- 追加チャネル費用:メール、SMS、WhatsAppなどを追加する場合、別料金や個別見積もりになることがあります。
- 乗り換えコスト:既存ツールから移行する場合は、SDKやタグの入れ替え、データ移行、再テストが必要です。
プッシュ通知料金に関するFAQ
プッシュ通知料金の相場はどれくらいですか?
公開されているプランでは、無料から月額数万円程度が目安です。大規模運用や高度な機能、データ連携、導入支援が必要な場合は、個別見積もりになることもあります。
プッシュ通知料金は何で決まりますか?
主に、MAU、DAU、購読者数、配信通数などの利用規模、利用機能、対応チャネル、サポート、導入・保守の条件で決まります。
プッシュ通知は無料で使えますか?
無料の配信基盤や無料プランはあります。ただし、無料プランでは配信対象数や機能に制限がある場合があり、管理画面、分析、自動化、サポート、開発・保守には別の費用や工数がかかることがあります。
Webプッシュ通知料金とアプリプッシュ通知料金の違いは何ですか?
Webプッシュ通知は購読者数や配信通数、アプリプッシュ通知はMAU、DAU、登録端末数などが課金基準になりやすい点が異なります。アプリではSDK導入やアプリ更新、Webではブラウザ対応や初期設定の費用も確認しておきましょう。
FCMは本当に無料ですか?
Firebase Cloud Messaging本体の利用料はかかりません。ただし、送信クォータやシステム上の制限があり、周辺のクラウド機能、サーバー、管理画面、分析、開発・保守には別の費用や工数が発生する場合があります。
プッシュ通知サービスは何を基準に比較すればよいですか?
対応対象、課金基準、無料範囲、費用が増える条件、追加コストを同じ項目で比較し、自社の利用規模と運用体制に合うかを確認します。
料金の見通しを立てながらプッシュ通知を運用するならEngageLab
プッシュ通知料金を比較する際は、単に安いかどうかだけでなく、どの基準で課金されるのか、運用が拡大したときに費用を見通しやすいかを確認する必要があります。
EngageLabのAppPushとWebPushは、いずれもDAUに応じた料金体系です。AppPushは30日間、WebPushは15日間の無料トライアルがあり、料金ページの計算ツールで利用規模に応じた費用を確認できます。
将来的にメール、SMS、WhatsAppなども利用する場合は、追加チャネルと運用要件を整理してから見積もりを依頼すると、プッシュ通知単体の費用と全体の費用を分けて比較しやすくなります。







