avatar

高橋 ゆうこ

更新日:2026-05-25

8612 閲覧数, 8 min 読む
先に結論

リテンションマーケティングとは、既存顧客との関係を深め、継続購入・継続利用・再購入・休眠復帰につなげるマーケティング施策です。新規顧客の獲得だけに依存するのではなく、メール、プッシュ通知、SMS、アプリ内メッセージ、マーケティングオートメーションなどを組み合わせ、顧客の状態に応じて継続的な接点を作ることが重要です。

商品やサービスを一度利用してもらっても、その後のフォローが不十分だと、再購入や継続利用にはつながりにくくなります。 リテンションマーケティングでは、既存顧客の行動や関心に合わせてコミュニケーションを設計し、LTVの向上や解約防止を目指します。

本記事では、リテンションマーケティングの意味、主な施策、メールマーケティングでの活用、事例、KPI、始め方をわかりやすく整理します。

リテンションマーケティングの施策・事例・KPIを整理した図

リテンションマーケティングとは

リテンションマーケティングとは、既存顧客との関係を維持・強化し、継続購入、継続利用、再購入、アップセル、休眠復帰などにつなげるマーケティング活動です。

新規顧客を獲得する施策が「まだ接点のない顧客を増やす」活動であるのに対し、リテンションマーケティングは「すでに接点のある顧客との関係を深める」活動です。

なお、「リテンション」という言葉は人事領域で従業員の定着を意味する場合もありますが、本記事ではマーケティング領域における顧客維持・継続利用・再購入促進の意味で解説します。

項目 新規獲得マーケティング リテンションマーケティング
主な対象 まだ購入・登録していないユーザー 既存顧客、会員、利用中ユーザー、休眠ユーザー
目的 認知獲得、登録、初回購入 継続利用、再購入、アップセル、休眠復帰
主な施策 広告、SEO、LP、資料請求、初回キャンペーン メール、プッシュ通知、SMS、MAシナリオ、ロイヤルティ施策
リテンションマーケティングの全体像

リテンションマーケティングが重要な理由

リテンションマーケティングが重要な理由は、新規顧客を増やすだけでは事業成長が安定しにくいからです。獲得した顧客が短期間で離脱すると、広告費や営業コストをかけても、売上やLTVが伸びにくくなります。

新規獲得には広告費、営業工数、初回接点づくりのコストがかかります。一方で、既存顧客はすでに商品やサービスを理解しているため、適切なフォローができれば再購入や継続利用につながりやすい傾向があります。

ただし、単に配信回数を増やすだけでは逆効果になることもあります。リテンションマーケティングでは、顧客にとって必要な情報を、必要なタイミングで届けることが重要です。

  • LTVを高めやすい:継続購入やアップセルが増えると、1人あたりの顧客価値を高めやすくなります。
  • 獲得コストへの依存を下げられる:既存顧客との関係を深めることで、新規獲得だけに頼らない成長を目指せます。
  • 休眠・解約を防ぎやすい:利用状況に応じてフォローすることで、離脱前のサインに対応しやすくなります。
  • 顧客理解が深まる:購入履歴、閲覧履歴、反応データを分析することで、より適切な提案につなげられます。

リテンションマーケティングの主な施策

リテンションマーケティングでは、顧客の状態に合わせて施策を選ぶことが大切です。初回購入直後の顧客、継続利用中の顧客、一定期間反応がない休眠顧客では、必要なコミュニケーションが異なります。

すべての施策を同時に行う必要はありません。まずは自社で離脱が起きやすいタイミングを確認し、優先度の高い施策から始めると運用しやすくなります。

顧客状態別のリテンション施策
  • 1

    購入後・登録後フォロー

    初回購入や登録の直後に、使い方、次に取るべき行動、関連コンテンツを案内します。
  • 2

    パーソナライズ配信

    購入履歴、閲覧履歴、利用状況に応じて、メールやプッシュ通知の内容を出し分けます。
  • 3

    再購入・継続利用のリマインド

    消耗品、定期利用サービス、サブスクリプションなどで、適切なタイミングに再利用を促します。
  • 4

    休眠ユーザーの再エンゲージメント

    一定期間アクセスや購入がないユーザーに対し、特典、更新情報、利用再開のきっかけを届けます。
  • 5

    アップセル・クロスセル提案

    既存顧客の課題や利用状況に合わせて、上位プランや関連商品を提案します。
  • 6

    フィードバック・満足度調査

    顧客の声を集め、サービス改善や解約防止につなげます。
  • 7

    サポート・オンボーディングの強化

    導入直後や初回利用時に、使い方、よくある疑問、次に試すべき機能を案内し、早期離脱を防ぎます。
  • 8

    ロイヤルティ施策

    継続利用者向けの特典、会員ランク、限定コンテンツなどを用意し、長く利用する理由を作ります。

メールマーケティングで行うリテンション施策

メールマーケティングは、リテンション施策と相性のよいチャネルです。購入後フォロー、休眠復帰、アップセル提案、満足度調査など、顧客の状態に合わせたコミュニケーションを設計しやすいからです。

リテンションメールの主な種類

  • 購入後フォローメール:購入直後に使い方や関連情報を案内する
  • 再購入リマインドメール:前回購入から一定期間後に再購入を促す
  • 定期フォロー・ニュースレター:新機能、活用ノウハウ、関連コンテンツを届け、顧客との接点を維持する
  • 休眠復帰メール:一定期間反応がない顧客に再訪や利用再開を促す
  • アップセル・クロスセルメール:利用状況に合わせて上位プランや関連商品を提案する
  • フィードバック依頼メール:満足度や改善要望を収集する

ただし、リテンションメールは一斉配信だけで成果が出るものではありません。顧客の購入履歴、利用状況、反応データに応じて、配信タイミングや内容を変えることが重要です。

メール内の行動を促すリンクやボタンも、できるだけ分かりやすくすることが大切です。ログイン、再購入、資料確認、サポートページへの移動など、読者に取ってほしい行動を1つに絞ると、次の行動につながりやすくなります。

休眠顧客向けのメールでは、すぐに割引を出すのではなく、まず休眠理由を想定することが大切です。価格が理由なのか、使い方が分からなかったのか、単にタイミングが合わなかったのかによって、届ける内容は変わります。

また、すべての連絡をメールだけで行う必要はありません。詳しい案内やコンテンツ配信はメール、すぐに気づいてほしい案内はプッシュ通知、重要度の高い通知はSMSやWhatsAppなど、目的に応じてチャネルを分けると運用しやすくなります。

リテンションマーケティングの事例

リテンションマーケティングは、業種やビジネスモデルによって実施内容が異なります。ここでは、EC、アプリ、SaaS、BtoBの4つのパターンで考え方を整理します。

事例を見るときは、有名企業の施策をそのまま真似るよりも、「どの顧客が、どのタイミングで離脱しやすいのか」「どの接点なら自然にフォローできるのか」を確認することが大切です。

業種・場面 よくある課題 施策例 見るKPI
EC 初回購入後に2回目購入へつながらない 購入後フォロー、再購入リマインド、関連商品の提案 再購入率、購入頻度、LTV
アプリ インストール後に利用頻度が下がる オンボーディング、プッシュ通知、休眠復帰通知 継続率、DAU/MAU、休眠復帰率
SaaS 無料トライアル後や初期利用で離脱する 利用ガイド、機能活用メール、アップセル提案 アクティブ率、解約率、アップグレード率
BtoB 資料請求後や商談後のフォローが途切れる ナーチャリングメール、セミナー案内、導入事例配信 メール反応率、商談化率、受注率

自社で事例を整理するときは、まず「どの顧客層が離脱しやすいか」「どのタイミングで接点を作れるか」「改善したいKPIは何か」を決めると、施策の優先順位を付けやすくなります。

たとえばアプリでは初回体験やプッシュ通知のタイミング、SaaSでは導入初期のオンボーディングや契約更新前のフォローが重要になりやすいです。業種ごとの細かい施策は異なりますが、まずは離脱が起きやすい場面を見つけることから始めると整理しやすくなります。

リテンションマーケティングで見るべきKPI

リテンションマーケティングでは、施策を実行する前にKPIを決めておくことが重要です。メールの開封率だけを見るのではなく、継続利用や売上への影響まで確認します。

最初からすべての指標を追う必要はありません。たとえばECなら再購入率、アプリなら継続率、SaaSなら解約率やアクティブ率のように、改善したい目的に近いKPIから確認すると判断しやすくなります。

KPI 見る目的 主な利用場面
リテンション率 一定期間後も顧客が継続しているかを確認する アプリ、SaaS、会員サービス
チャーンレート・解約率 解約や離脱の割合を把握する SaaS、サブスクリプション
契約更新率 契約期間の終了後も継続して利用しているかを確認する BtoB、SaaS、サブスクリプション
再購入率 初回購入後に再び購入しているかを見る EC、小売、D2C
LTV 顧客1人あたりの長期的な売上価値を確認する EC、SaaS、BtoB
メール開封率・クリック率 リテンション施策への反応を確認する メールマーケティング、MA
休眠復帰率 休眠ユーザーが再訪・再利用した割合を見る アプリ、EC、会員サービス

なお、チャーンレートやリテンション率は検索需要が大きい指標ですが、本記事では概要に留めます。計算式や改善方法まで詳しく扱うと主題が広がりすぎるため、ここではリテンションマーケティングで見るべき代表的なKPIとして整理します。

まずは計算式を細かく覚えるよりも、測定する期間と対象をそろえること。たとえば「登録後30日」「契約更新前」「初回購入から90日後」のように基準を決めると、施策ごとの変化を比較しやすくなります。

リテンションマーケティングを始める手順

リテンションマーケティングは、最初から複雑なシナリオを作る必要はありません。 まずは対象顧客と目的を絞り、効果を測定しながら改善することが大切です。

  • 1

    対象顧客を決める

    初回購入者、休眠ユーザー、継続利用中ユーザーなど、施策の対象を明確にします。
  • 2

    目的とKPIを決める

    再購入、継続利用、休眠復帰、アップセルなど、何を改善するかを決めます。
  • 3

    チャネルを選ぶ

    メール、アプリプッシュ通知、Webプッシュ通知、SMS、WhatsAppなどから適切な接点を選びます。
  • 4

    シナリオを設計する

    顧客の行動や期間に応じて、いつ・誰に・何を届けるかを決めます。
  • 5

    効果を測定して改善する

    開封率やクリック率だけでなく、再購入率、継続率、LTVへの影響も確認します。

はじめて取り組む場合は、すべての顧客に複雑なシナリオを作るよりも、まずは1つの対象に絞ると始めやすくなります。たとえば「初回購入後のフォロー」「30日以上利用がないユーザーへの再訪促進」「契約更新前の案内」など、目的が明確な場面から設計すると効果を確認しやすくなります。

BtoB・SaaSでリテンション施策を行うポイント

BtoBやSaaSでは、単発購入よりも継続利用や契約更新が重要になります。そのため、登録直後、導入初期、利用停滞、契約更新前など、顧客の状態に応じたフォローが必要です。

カスタマーサクセスは、顧客がサービスを使いこなし、成果を出せるように支援する活動です。リテンションマーケティングでは、その支援をメールや通知、コンテンツ配信、利用状況に応じたフォローとして設計します。

BtoBでは、利用者、決裁者、管理者など複数の関係者がいることも多いため、1人の反応だけで判断しないことも大切です。導入担当者向けには使い方、管理者向けには利用状況、決裁者向けには成果や更新判断に必要な情報を届けるなど、相手に合わせて内容を分けるとフォローしやすくなります。

  • 導入初期:オンボーディングメールや使い方ガイドで、早期の利用定着を支援する
  • 利用停滞時:ログインや利用頻度が下がった顧客に、活用方法やサポート情報を届ける
  • 契約更新前:成果レポート、活用事例、追加提案を届ける
  • アップセル時:利用状況に合わせて、上位機能や関連サービスを提案する

EngageLabでリテンション施策を自動化する

リテンションマーケティングでは、顧客の状態に応じて継続的にコミュニケーションを行う必要があります。 しかし、すべてを手作業で管理すると、配信漏れや対応遅れが発生しやすくなります。

EngageLabでは、メール、アプリプッシュ通知、Webプッシュ通知、SMS、WhatsAppなどを組み合わせ、購入後フォロー、休眠復帰、再購入促進、アップセル案内などのリテンション施策を自動化できます。

たとえば、マーケティングオートメーションを活用すると、購入後、休眠前、再訪後などのタイミングに合わせて、顧客ごとに異なるフォローを設計しやすくなります。

下の例のように、一定期間アプリやサイトを訪問していないユーザーにはメールやSMSで再訪を促し、訪問済みのユーザーにはアプリプッシュ通知やWebプッシュ通知で次の行動を案内するなど、状態に応じたフォローを設計できます。

リテンション施策を自動化するユーザージャーニー例

ユーザーの状態に応じて、メール・SMS・プッシュ通知を出し分ける例

施策ごとに使いやすいチャネルは異なるため、目的に合わせて組み合わせることが大切です。

  • メール:購入後フォロー、休眠復帰、アップセル提案に活用
  • アプリプッシュ通知:アプリ利用促進、再訪促進、重要なお知らせに活用
  • Webプッシュ通知:Webサイト訪問者への再訪促進に活用
  • SMS・WhatsApp:重要度の高い通知やグローバル顧客との接点に活用
  • マーケティングオートメーション:顧客行動に応じたシナリオ配信に活用

リテンション施策の自動化について相談する

リテンションマーケティングに関するよくある質問

リテンションマーケティングとは何ですか?

リテンションマーケティングとは、既存顧客との関係を深め、継続購入、継続利用、再購入、休眠復帰などにつなげるマーケティング施策です。

ビジネス用語でリテンションとはどういう意味ですか?

ビジネス用語のリテンションは、「維持」や「継続」を意味します。マーケティングでは既存顧客の維持や再購入促進、人事領域では従業員の定着を指すことがあります。

リテンション施策にはどのようなものがありますか?

購入後フォロー、パーソナライズ配信、再購入リマインド、休眠ユーザーの再エンゲージメント、アップセル提案、満足度調査、オンボーディング、ロイヤルティ施策などがあります。

リテンションメールとは何ですか?

リテンションメールとは、既存顧客の継続利用や再購入を促すために送るメールです。購入後フォロー、再購入リマインド、定期フォロー、休眠復帰メール、アップセル提案などが含まれます。

リテンションマーケティングで見るべきKPIは何ですか?

代表的なKPIには、リテンション率、チャーンレート、契約更新率、再購入率、LTV、メール開封率・クリック率、休眠復帰率などがあります。施策の目的に合わせて選ぶことが重要です。

BtoBでもリテンションマーケティングは必要ですか?

BtoBでも重要です。資料請求後のナーチャリング、商談後フォロー、導入後オンボーディング、契約更新前のフォローなどにより、商談化率や継続率の向上を目指せます。

リテンションマーケティングとリレーションシップマーケティングの違いは何ですか?

リレーションシップマーケティングは、顧客との長期的な関係づくり全体を指す考え方です。リテンションマーケティングは、その中でも既存顧客の継続利用、再購入、休眠復帰などに重点を置いた施策として整理できます。

まとめ

リテンションマーケティングは、既存顧客との関係を深め、継続購入・継続利用・休眠復帰・アップセルにつなげるための重要な取り組みです。

まずは対象顧客、目的、KPIを明確にし、メールやプッシュ通知、SMS、WhatsApp、マーケティングオートメーションなどを組み合わせて、無理なく継続できる施策から始めることが大切です。