avatar

佐藤 健一

更新日:2026-03-11

12384 閲覧数, 6 min 読む

テクノロジーの進化により、コミュニケーションは瞬時に行える時代になりました。あらゆる企業が、顧客と最適な形でつながる方法を模索しています。テキストメッセージは顧客の携帯端末に直接届くため、高い可視性とエンゲージメントを確保できる有効な手段です。

さらに、グローバルSMS戦略を構築すれば、世界中のユーザーへアプローチできます。

しかし、大きな影響力には責任も伴います。

世界のほぼすべての地域には、遵守すべきSMS規制が定められています。本記事では、SMSコンプライアンスの基本を解説します。あわせて、国際SMSキャンペーンを成功させるための実践ポイントをご紹介します。

SMSコンプライアンスとは

SMSコンプライアンスとは、SMSマーケティングを規制する法律・規則・ガイドラインを遵守することを指します。これらのSMS規制は、迷惑メッセージや不正なテキストから消費者を守り、プライバシーを保護する目的で定められています。

そのため、企業は各国のSMS規制を正しく理解する必要があります。そして、自社のマーケティング施策を合法かつ適切に運用することが求められます。

SMSコンプライアンスと各国のSMS規制の概要図

「SMSコンプライアンスは自社にとってどれほど重要なのか」と疑問に感じる方もいるかもしれません。

実際には、単なる法令遵守以上のメリットがあります。主な効果は次の通りです。

法的リスクの回避:SMS規制を遵守することで、罰金や制裁といった法的リスクを回避できます。各国の法律に違反した場合、高額な罰金が科されることがあります。企業経営に大きな打撃を与える可能性も否定できません。

顧客からの信頼獲得:適切な同意取得(オプトイン)を実施することで、企業がプライバシーを尊重している姿勢を示せます。その結果、顧客は安心し、ブランドへの信頼やエンゲージメントが高まります。信頼を高めるオプトイン文言の設計も重要です。

運用効率の向上:SMS規制を理解し、ガイドラインに沿って運用することで、配信設計を最適化できます。その結果、通信事業者によるブロックのリスクが減少します。到達率の向上や配信トラブルの削減にもつながります。

ブランド価値の保護:コンプライアンス違反は、ブランドイメージに深刻なダメージを与えます。

インターネットやSNSではネガティブな情報が急速に拡散します。そのため、一度の不適切な配信でも信頼回復は容易ではありません。不適切な配信手法が公になれば、大量の登録解除や顧客離れを招くことがあります。

各国のSMS規制の概要

SMS規制は世界共通ではありません。国や地域ごとに異なる法律が存在します。

そのため、グローバルSMS施策を実施する際は、対象国のSMS規制を事前に調査することが不可欠です。本章では、主要地域における規制の概要を整理します。

#1 アメリカ合衆国

米国における国際SMS規制(CTIA)

米国におけるSMSコンプライアンスは、主に電話消費者保護法(TCPA)によって規定されています。これに加えて、米国携帯通信業界協会(CTIA)もSMSに特化した独自のルールを定めています。これらのSMS規制は、企業から送信される望ましくない通信から消費者を保護するため、厳格なガイドラインを設けています。

米国におけるSMS規制の主なポイントは以下のとおりです。

  • 同意:企業が顧客にプロモーションSMSを送信することは可能ですが、キャンペーン配信前に受信者から明確な同意を取得することが必須です。同意はオンラインフォームやテキストキーワード送信など、複数のチャネルを通じて取得できます。いずれの場合も、適切なオプトイン文言を明示する必要があります。
  • オプトアウト:ブランドから送信されるすべてのメッセージは、受信者が返信できる双方向設計であることが求められます。受信者が簡単に配信停止できる仕組みを提供する必要があります。たとえば、顧客が「STOP」と返信することで、今後のプロモーションメッセージを解除できるようにしなければなりません。
  • コンテンツ制限:米国でのSMS配信においては、送信内容には一定の制限があります。ギャンブル、薬物、アルコール、アダルトコンテンツ、一部の金融商品、銃器を含む、またはこれらを促進するキャンペーンは送信できません。

#2 欧州連合(EU)

EUにおける国際SMS規制(GDPR)

欧州連合では、一般データ保護規則(GDPR)がSMSマーケティングに対して厳格なルールを定めています。GDPRは、本質的に世界でも最も包括的なデータ保護規制の一つとされています。

特に重要なのは、その効力がEU加盟27カ国すべてに及ぶ点です。そのため、顧客基盤が欧州にある企業は、GDPRの適用対象となる可能性が高いと考えられます。

欧州におけるSMSマーケティング規制の主なポイントは以下のとおりです。

  • オプトイン:GDPRでは、SMSコンプライアンスの中心に明確な同意取得が位置づけられています。企業は、同意の目的や個人データの利用方法について、明確かつ詳細な情報を提供する必要があります。これらの情報は、プライバシーポリシーにおいても容易に確認できる形で提示しなければなりません。
  • オプトアウト:オプトインと同様に、すべての企業は受信者がSMSキャンペーンを容易に配信停止できる手段を提供する必要があります。
  • データ保護:GDPRのもう一つの重要な要素は、企業が個人データを適切に取り扱い、安全に保管することを確保する点です。そのため、企業はデータ保護措置を実施し、個人データ侵害記録を管理するなどの対応が求められます。
  • データ最小化:企業は、自社の業務運営に必要な範囲のデータのみを収集することが認められています。

#3 日本

日本では、SMSや電子メールなどのメッセージ配信に関して、「特定電子メール法」による厳しい規制が設けられています。これはアメリカのTCPAやEUのGDPRと同様に、通信の健全性や個人のプライバシーを守るためのルールです。

日本における規制の主な要素は以下の通りです:

  • 送信者情報を表示:特定電子メール法では、営業目的のSMSには必ず送信者名(個人名または法人名)を明記しなければなりません。これにより、受信者がメッセージの送り主を簡単に確認でき、信頼性の向上やトラブル防止に役立ちます。
  • オプトイン:営業メッセージを送るには、受信者から事前に明確な同意を得ることが必須です。例えば、ウェブサイト上での同意チェックボックスの設置や、利用規約への同意などが該当します。なお、同意をデフォルトで入れておくなどの不正な方法は認められていません。受信者自身が意図的に同意した場合のみ、メッセージを送信できます。
  • オプトアウト:受信者がいつでもメッセージ配信を停止できる仕組みの提供も法律で求められています。たとえば、「STOP」や「配信停止」といった指示方法を明示し、停止の申し出があれば速やかに対応しなければなりません。一度配信停止の意思表示があった場合、再度同意を得ない限りメッセージ送信は禁止されます。

#4 中国

中国では、SMS規制が非常に厳格です。これは、同国がデータプライバシーとセキュリティを重視していることを反映しています。

そのため、プロモーションSMSを顧客に送信する前に、SMSマーケティングに適用される法令を事前に十分確認する必要があります。

中国における主な規制ポイントは以下のとおりです。

  • テンプレート登録:すべての企業は、連絡先リストへ送信する前にメッセージテンプレートを事前登録する必要があります。未登録のテンプレートは送信が拒否されるため、所定の手続きを確実に行うことが重要です。
  • ロングコード:企業はロングコードを使用してプロモーションSMSを送信する必要があります。また、ブロックを回避するため、少なくとも1つの中国語署名を含めることが求められます。UNICODEの【】括弧を用いる方法は、実務上の対応策の一つとして活用されています。
  • コンテンツ規制:米国と同様、中国でも宣伝が認められていない内容があります。具体的には、ギャンブルやアダルト関連、暴力、ローン、移民関連、政治関連などが該当します。
  • 同意取得:中国では、プロモーションSMSを送信する前に受信者の同意取得が必要です。SMSオプトイン文面を用いて、必要な情報を明確に提示することが求められます。

#5 ラテンアメリカ

ラテンアメリカは複数の国で構成される地域であり、EUのように規制が統一されているわけではありません。ただし、各国のSMS規制を確認すると、いくつかの共通点が見えてきます。

主なポイントは以下のとおりです。

  • SMS同意取得: 世界の多くの地域と同様に、事前の同意取得が不可欠です。すべてのブランドは、メッセージ送信前に受信者から明確かつ明示的な同意を取得する必要があります。
  • ショートコード: ブラジルやコロンビアなどでは、企業はショートコードを利用してプロモーションSMSを送信できます。専用ショートコードと共有ショートコードのいずれも利用可能で、特別な制限は設けられていません。
  • 配信停止(オプトアウト): ラテンアメリカの多くの国では、受信者が各メッセージから容易に配信停止できる仕組みを提供する必要があります。

#6 中東

中東地域では、プロモーションを行う対象国によってSMS規制が大きく異なります。一方で、各国に共通する基本的な考え方も存在します。

主なポイントは以下のとおりです。

  • 各国法の確認:中東諸国ではSMS規制の内容が大きく異なるため、各国の法令を個別に調査することが不可欠です。自社施策が法令に適合しているかを事前に把握しておきましょう。
  • コンテンツ制限:SMSキャンペーンの内容には特に注意が必要です。一部の国では特定の内容が厳しく規制されています。例えば、サウジアラビアやアルジェリアではギャンブルが禁止されています。加えて、政治や宗教、アダルト関連も規制対象となる場合があります。
  • 送信者ID規制:モロッコでは、ブランドの送信者IDは11文字以内である必要があります。また、特殊文字や数字、スペースを含めることは認められていません。

グローバルSMSコンプライアンスガイド

特定の国や地域におけるSMS規制の確認は、国際的なSMSキャンペーンを設計するうえでの出発点にすぎません。本セクションでは、SMSコンプライアンスを確実に守るために押さえておきたいポイントと、注意すべき行為をわかりやすく整理します。

確認すべきポイント:

  • 確認すべきポイントアイコン 明示的な同意取得: 最も重要なのは、受信者がメッセージ受信に明確に同意していることを確認することです。SMSでオプトイン文言を提示し、配信内容や取得データの利用目的をあらかじめ分かりやすく伝えましょう。
  • 確認すべきポイントアイコン 明確なオプトアウト手段: 受信者が簡単かつ即時に配信停止できる方法を用意することも欠かせません。例えば「配信停止はSTOPと返信」といった一文をSMSに含めることで、希望者がスムーズに解除できるようにします。
  • 確認すべきポイントアイコン 透明性のある送信者ID: 受信者が一目で自社からのSMSだと認識できる状態が理想です。そのため、すべてのメッセージにおいて事業者名を明確に表示しましょう。
  • 確認すべきポイントアイコン 配信時間帯への配慮: グローバルSMSキャンペーンを設計する際は、受信者のタイムゾーンにおける深夜帯の配信を避けることが重要です。これはプライバシーへの配慮を示すものであり、過度な印象を与えないコミュニケーションにつながります。
  • 確認すべきポイントアイコン ローカライズされたコンテンツ: 国際的なマーケティング施策ではローカライズが不可欠です。現地の法律やSMS規制を遵守するだけでなく、文化的背景や慣習にも配慮したメッセージ設計が求められます。

避けるべき行為:

  • 避けるべき行為アイコン リストの購入: 電話番号リストを販売する第三者も存在します。しかし、このような行為は倫理的に問題があるだけでなく、違法となるケースも少なくありません。法的トラブルに発展するリスクがあります。
  • 避けるべき行為アイコン 誤解を招く情報の提示: オプトインを促す際に重要な情報を隠すことは避けましょう。受信者にとって価値のある情報を提供し、納得のうえで登録してもらう姿勢が重要です。
  • 避けるべき行為アイコン 過度な配信: 受信者に負担を感じさせないSMS戦略を設計することが重要です。過剰な配信は逆効果となり、ブランド評価の低下につながる可能性があります。
  • 避けるべき行為アイコン データ保護法の軽視: 各国のSMS規制やデータ保護法を十分に理解し、確実に遵守することが不可欠です。

SMS配信のベストプラクティス

これまでのパートでは、各国のSMS規制を踏まえた国際SMSキャンペーンの基本設計について解説してきました。本セクションでは、より具体的な実例をご紹介します。

以下は、SMS戦略に活用できる効果的なテキストメッセージの例です。

国際SMSの同意確認メッセージ例

1つ目の例は、ユーザーが配信リストに登録した際に確認メッセージを送信する方法です。これにより登録意思を再確認でき、ブランドへの誤解や不信感を防ぐことにつながります。

初回メッセージには、配信停止方法も明記しておくと安心です。

国際SMSの送信元明示例

もう1つの重要なポイントは、メッセージ内に必ず企業名を明記することです。一般的には、メッセージの冒頭に[ブランド名]を記載する方法がよく採用されています。

国際SMSの配信停止方法記載例

すべてのメッセージには、明確な配信停止方法を記載する必要があります。効果的な例として、メッセージの末尾に簡潔な配信停止手順を記載する方法があります。

この例では、「STOP」と返信することで配信停止が可能です。

国際SMSのパーソナライズ例

エンゲージメントを高め、受信者の配信停止を防ぐためには、パーソナライズ要素を取り入れることが効果的です。

さらに、注文状況など、顧客にとって関連性の高い情報のみを配信することで、満足度の向上につながります。

グローバルSMSコンプライアンスを確実に遵守する方法

成功する国際SMSキャンペーンを構築するには、さまざまな観点からの配慮が必要です。各国のSMS規制を理解するだけでなく、ターゲットに適した内容設計も欠かせません。

適切なオプトイン文言を使用することで、顧客が安心してSMS配信に登録しやすくなります。

EngageLab は、国際的な顧客層へのリーチを支援するプラットフォームです。

200以上の国と地域の通信キャリアに対応しているため、所在地に関わらず顧客へSMSを届けることが可能です。各地域のSMSマーケティング規制を遵守することで、より高い成果が期待できます。

無料で始める

EngageLabは、直感的に操作できるインターフェースを備えています。テンプレートの作成からSMS配信まで、数ステップで進めることが可能です。本セクションでは、SMS規制に準拠したテンプレートの作成手順を解説します。

EngageLab SMSの使い方

EngageLabでアカウントを登録すると、管理コンソール画面に移動します。画面内の「SMS」を選択します。

EngageLab管理画面でSMSを選択する画面

サイドバーの「送信関連」をクリックするとメニューが展開されます。「テンプレート」を選択します。

EngageLab管理画面でSMSテンプレートメニューを開く手順

この画面には、作成済みのSMSテンプレート一覧が表示されます。新規作成する場合は「テンプレート作成」をクリックします。

コンテンツタイプを選択します。識別しやすいテンプレート名を入力し、本文を作成します。「署名名」をクリックするとメッセージ冒頭にブランド名を追加できます。内容を確認後、「保存してレビューに送信」をクリックして保存して審査申請を行います。

EngageLab管理画面でSMSテンプレートを作成し審査申請する画面

まとめ

SMSコンプライアンスへの対応は、グローバルに事業を展開するうえで重要な要素です。各国のSMS規制を理解し遵守することで、世界中の顧客に向けて適切にSMSマーケティングを実施できます。本ガイドでは、キャンペーン作成時に押さえておきたい実務ポイントを整理しました。コンプライアンス対応済みテンプレートを備えたツールの一例として、EngageLabが挙げられます。

EngageLabの機能を確認し、SMS施策の運用改善にお役立てください。