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高橋 ゆうこ

更新日:2026-09-16

読了目安:13分

「今月のメルマガ開封率は24%」と報告したとき、「それは高いのか」と聞かれて答えに詰まったことはないでしょうか。平均値は検索できますが、配信相手や目的が違えば、同じ24%でも評価は変わります。

本記事では、外部平均と自社基準の使い分けから、原因診断、改善、KPI管理までを解説します。

先に結論

2026年の2つの外部調査では、日本のメルマガ開封率として27.2%33.74%という結果が示されています。

ただし、調査条件が異なるため、これらは市場の水準感をつかむための参考値です。自社のメルマガは、条件をそろえた過去の配信実績を基準に判断します

改善する際は、まず計算方法と計測条件をそろえ、数値が下がった原因を「配信・計測・見せ方・対象」に分けます。そのうえで原因に対応する施策を選び、クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)、商談・売上まで確認してください

メルマガ開封率とは?平均と自社基準をどう判断する?

メルマガ開封率とは、有効に配信されたメールのうち、開封が記録された受信者の割合です。ただし、評価の基準は「誰に・何の目的で送るか」によって大きく異なります。

たとえばB2BとB2Cでは読者の関心や購買プロセスが違うため、単純な比較はできません。比較する際は、配信目的、対象者、計測環境などの条件をそろえる必要があります。

B2BとB2Cで開封率の基準が異なるのはなぜ?

開封率が同じ24%でも、その後に商談が生まれたB2Bのセミナー案内と、購入につながらなかったECのセール告知とでは、その数値が持つ意味は異なります。

B2BとB2Cの購買プロセスの違いを踏まえると、前者では複数関係者による長期検討、後者では個人による比較的短い購買行動を想定する必要があります。

比較項目 B2B B2C 開封率を見るときの注意
メールの役割 見込み客育成 販促・購入促進 開封後の行動も確認
配信対象 企業属性、検討段階 購買履歴、関心 条件の異なる配信対象を分けて評価する
後続成果 資料閲覧、商談 商品クリック、購入 開封率だけで決めない

B2Bでは、一度のメールで購入を決めてもらうより、課題への理解を深めてもらい、資料閲覧やセミナー参加を経て商談につなげる配信が多くなります。配信対象も、担当者の役職、企業規模、検討段階などで分かれます。

開封率が全体平均を下回っていても、狙った企業の担当者がクリックし、その後に商談が生まれているなら、施策として価値がある可能性があります。

B2C、とくにECの販促メールでは、開封後の商品閲覧、クーポン利用、購入までが比較的短時間で起こります。ただし、新規会員向けの初回購入促進と、既存顧客向けの再購入案内では反応の出方が違います。B2BかB2Cかという区分だけでなく、誰に何をしてもらうメールなのかまで合わせて評価することが重要です。

2026年の平均値と自社基準の作り方

blastmailの2026年上半期の国内データでは、全体平均が27.2%、19業種の平均開封率の中央値が28.3%と報告されています。一方、Benchmark Emailの2026年版レポートでは、地域別集計における日本の開封率は33.74%、全体平均は25.54%という結果が示されています。

このように、利用サービスや集計対象によって結果が異なります。したがって、外部の数値だけで自社の開封率の良し悪しを判断せず、市場のおおよその傾向を知るための参考値として捉えることが大切です。

では、自社の開封率は何を基準に判断すればよいのでしょうか。そこで比較対象にしたいのが、配信目的や対象者などの条件が共通する自社の過去配信です。

例えば、全顧客向けの月次ニュースと休眠顧客向けメールでは、受信者の関心度が異なります。両者の開封率を直接比べると、対象者による反応の差を、件名や内容の効果によるものと誤認しかねません。

比較できる基準を作るには、まず配信を目的別・対象別に分け、差出人や集計時間などの条件もそろえます。そのうえで、複数回の中央値と推移を確認しましょう。つまり、外部平均を上回ったかどうかよりも、同じ条件の自社配信が以前より改善し、クリックやCVにつながっているかを重視します。

ECメルマガの比較方法については、ECメルマガにおける開封率と自社実績の見方も参考になります。

外部平均を参考値とし、条件をそろえた自社実績を判断基準にする考え方

メルマガ開封率の正しい計算方法と計測誤差

メルマガ開封率の計算式と具体例

基本式は次のとおりです。

計算式

メルマガ開封率(%)= ユニーク開封数 ÷ 有効配信数 × 100

1,000件に配信し、20件がバウンス、245人が開封した場合、有効配信数は980件、開封率は「245÷980×100=25.0%」です。1,000件を分母にすると未配信分まで含まれるため、利用サービスの定義も確認しましょう。

ここでいう有効配信数は、一般に配信要求数からハードバウンスなどの未配信分を除いた件数です。ただし、管理画面上の項目名や計算方法はサービスによって異なります。社内の月次レポートを作る際は、数字だけを転記せず、「どの項目を分母・分子にしたか」「配信から何時間後に集計したか」も残しておくと、担当者やツールが変わっても比較できます。

ユニーク開封と総開封の違い

ユニーク開封数は、同じ受信者が何度開いても1件です。245人が合計420回開いた場合、開封率の分子は245、総開封数は420となります。

総開封数が増えること自体に意味がないわけではありません。後で読み返す必要がある資料案内などでは、再開封の増加が関心の表れである可能性もあります。

しかし、総開封数を分子にすると、一人の繰り返し閲覧によって開封率が100%を超えることもあり、到達した人のうち何人が反応したかを判断できません。開封率にはユニーク開封数、再閲覧の参考には総開封数と役割を分けます。

CTR・CVR・CTORの計算式も統一する

後続指標もメール配信ツールによって分母・分子が異なる場合があるため、比較前に定義を統一します。本記事では、受信者単位の反応を見るため、次の式を用います。

指標 本記事で使用する計算式 注意点
開封率 ユニーク開封数 ÷ 有効配信数 × 100 総開封数は使わない
CTR ユニーククリック人数 ÷ 有効配信数 × 100 総クリック数を使う定義と区別する
CVR CV数 ÷ ユニーククリック人数 × 100 有効配信数やLP訪問者数を分母にする定義もある
CTOR ユニーククリック人数 ÷ ユニーク開封人数 × 100 開封計測の誤差を引き継ぐ

CTRには総クリック数を使うサービスもあり、CVRも配信数、クリック人数、ランディングページ訪問者数のどれを分母にするかで値が変わります。そのため、社内レポートには指標名だけでなく計算式も記載し、異なる定義の数値を直接比較しないようにしましょう。

計測環境によって開封率に誤差が生じる

開封は通常、HTMLメール内の小さな画像の読み込みで計測します。画像非表示やプレーンテキストでは、読まれても捉えられない場合があります。

一方、Appleのメールプライバシー保護は、操作にかかわらずリモートコンテンツをバックグラウンドで読み込むため、閲覧なしでも開封として記録され得ます。ボットも数値を押し上げます。開封率は「読了率」ではなく観測値であり、計測環境の違う配信は単純比較できません。

したがって、開封率が高いからといって「多くの人が本文を読んだ」とは断定できません。Apple Mail利用者の割合やボット除外設定が変わった月は、開封率の前月比だけで成功・失敗を決めず、同じ定義で算出したCTRやCVRも併せて確認します。反対に開封率が低くても、画像を表示しない受信環境が増えただけなら、件名を変えても問題は解決しません。

開封率が低い原因を4段階で切り分ける

開封率が下がっても、すぐ件名を変えるのは早計です。ユニーク開封率、観測時間、配信目的、セグメントをそろえ、順に変化を探します。

  • 1

    配信を確認する

    ドメイン別状況、バウンス、迷惑メール報告、認証や差出人の変更を確認します。配信済み件数が安定していても、迷惑メールフォルダに入っている可能性は残ります。詳しくはメールが届かない原因と到達率の改善方法を参照してください。
  • 2

    計測を確認する

    Apple Mail比率、画像読み込み、ボット処理、計測設定を調べます。有効配信数の増減を考慮しても、開封率だけが急変し、同じ定義で算出したCTRやCVRが横ばいなら計測条件を疑います。
  • 3

    見せ方を確認する

    件名、差出人名、プリヘッダー、送信時間を確認します。全セグメントで落ちていれば、見え方が共通原因かもしれません。
  • 4

    対象を確認する

    特定セグメントだけが低い場合は、登録経路、属性、最終反応日、配信頻度を確認します。休眠層の増加や内容とのずれが考えられます。

複数の変化が見つかっても、最初に検証する主因は一つに絞ります。原因が曖昧なまま複数要素を変えると、数値が戻っても何が効いたのか判断できません。

たとえば開封率が25%から18%へ下がったとします。

Gmail向けだけバウンスや苦情が増えていれば、全読者向けの件名より「配信」状態を先に確認します。有効配信数の増減を考慮しても、開封率だけが下がり、同じ定義で算出したCTRやCVRがほぼ変わらず、同時期に計測設定が変わっていれば、「計測」上の変化が有力です。

すべてのセグメントで開封もクリックも下がり、直前に差出人名を変更していたなら「見せ方」、休眠顧客層だけが低下していれば「対象」の問題として次の施策を選べます。

この順序の利点は、打ち手を増やすことではなく、不要な施策を減らせることです。配信や計測に問題がある状態で件名テストをしても、件名の差を正しく評価できません。逆に配信・計測条件が安定していると確認できれば、受信トレイ上の表現やセグメントに検証対象を絞れます。

開封率が低い原因別の改善策とA/Bテストの方法

前節の「配信→計測→見せ方→対象」は、原因を切り分けるための確認順です。改善施策をこの順番ですべて実行するという意味ではありません。

配信と計測に問題がないことを確認したら、診断で見つかった主因に対応する施策を選びます。休眠ユーザーの増加が原因なら、件名から順番に試すのではなく、セグメントを直接見直します。

以下では、EngageLab Emailを例に、原因に応じた改善とA/Bテストの進め方を説明します。基本的な考え方は、ほかのメール配信サービスを利用する場合や、手動でテストを行う場合にも共通します。

問題の種類 判断の手がかり 対応する施策
配信 特定ドメインでバウンスや苦情が増加 認証、レピュテーション、リスト品質、ドメイン別状況を点検
計測 開封率だけが変化し、計測設定やApple Mail比率にも変化 指標の定義、集計時間、MPP・ボット処理を統一
見せ方 複数セグメントで低下し、件名や差出人名などに変更履歴 該当する件名、差出人名、プリヘッダー、配信時間を検証
対象 特定セグメントだけ低下、休眠ユーザーの割合が上昇 属性、登録経路、関心、最終反応日、配信頻度を見直す

配信や計測の異常が疑われる場合は、A/Bテストに進まず、まず到達状況や集計条件を正常な状態に戻します。件名、差出人名、プリヘッダー、本文、CTA、配信時間など、自社で変更できる要素が原因と考えられる場合にA/Bテストを行います。

対象者の構成や選び方に原因がある場合は先にセグメントを見直し、そのうえで同じセグメント内の受信者を分けてテストしましょう。

A/Bテストを始める前に押さえる3つの原則

A/Bテストで原因と結果を正しく結び付けるには、次の3点をそろえます。

  • 1

    一度に変える要素は一つにする

    件名を検証するなら、本文、差出人名、プリヘッダー、配信時間など、それ以外の条件は変えません。
  • 2

    同じ母集団から重複しないA・B群を作る

    配信目的や属性が共通する受信者を原則としてランダムに分け、両群のユーザー構成をできるだけそろえます。同じ受信者に両案を送ると、重複接触や受信順の影響が加わります。
  • 3

    観測時間と勝者を決める指標を先に決める

    両案を同じ時間帯に配信し、24時間後のユニーク開封率など、いつ、どの指標で判断するかを配信前に決めます。
一つの母集団から重複しないA群とB群を作り、同じ時間で両群の結果を比較する流れ

開封率を改善したい場合は件名、差出人名、プリヘッダー、配信時間、クリック率を改善したい場合は本文やCTAというように、診断結果とKPIに合わせて検証項目を選びます。

詳しくはメルマガA/Bテストのやり方を参照してください。配信時間を検証する場合も、万人共通の最適時刻を決めつけず、メールの最適な送信時間を判断する方法を参考に自社データで確認します。

EngageLabでは、公式APIを利用してテスト対象の割合、判定時間、勝者を決める指標を設定し、勝った案を残りの対象者へ配信するA/Bテストも実行できます。本節では、マーケティング担当者が取り組みやすい管理画面での進め方を中心に説明します。

EngageLab Emailの管理画面でA/Bテストを行う5ステップ

ここでは、セミナー告知メールの件名を比較するケースを例にします。

  • 1

    検証内容と判定条件を決める

    今回変更する要素を「件名」だけに絞り、配信から24時間後のユニーク開封率で勝者を決めます。クリック率を改善したい場合は、本文またはCTAのどちらか一方をテスト対象にします。
  • 2

    受信者をA・Bの2群に分ける

    同じ条件の受信者を人数や構成が偏らないように分け、それぞれに「件名テスト_A」「件名テスト_B」のタグを一括で付与します。同じ受信者が両方に含まれていないことも確認します。
    EngageLab Emailのセグメント作成画面で配信対象の抽出条件を設定する様子
  • 3

    比較するA・B案を用意する

    本文、差出人名、プリヘッダー、CTAは変えず、件名だけを「A案:無料セミナーのお知らせ」「B案:MA導入で失敗しないための3つのポイント」に設定した2つのテンプレートを作成します。
    EngageLab Emailのテンプレート作成画面。テンプレート名と件名を入力する欄
  • 4

    二つのキャンペーンを配信する

    Campaign AにはA案とAタグ、Campaign BにはB案とBタグを指定します。差出人と配信日時をそろえて配信します。
  • 5

    同じ時点のレポートを比較する

    配信から24時間後など、同じ経過時間で両キャンペーンのユニーク開封率を確認します。CTRやCVRも併せて確認し、次回以降の配信に結果を反映します。
    EngageLab Emailのデータセンターで配信済み件数や無効なメール数を確認する画面

管理画面で進める場合は、対象者の振り分けと二つのキャンペーン結果の比較を手動で行います。メールの読了や、その後の商談・売上まで自動的に判断できるわけではないため、最終的な成果はCRMやWeb解析のデータと合わせて確認しましょう。

EngageLab Emailで、次回の件名テストを始める

対象者を分けて2案を配信し、結果を比較してみましょう。

開封率・CTR・CVR・事業成果を長期KPIとして管理する

開封率は入口の反応であり、最終成果ではありません。

前述の計算式で指標の定義をそろえたら、それぞれの数値を単独で見るのではなく、受信トレイから事業成果までの流れに沿って確認します。

例えば件名を変えて開封率が22%から29%へ上がっても、CTRとCVRが変わらなければ、期待を集めただけで本文やオファーにつながっていない可能性があります。反対に開封率が横ばいでも、クリックや商談、購入が増えたなら、事業への貢献は改善しています。

指標は、受信トレイから事業成果までのどこで読者が止まったかを探すために使います。

開封率が低ければ配信状態や見せ方、開封率は高いのにCTRが低ければ件名と本文の整合性やCTA、クリックは多いのにCVRが低ければ遷移先の内容やフォームを確認します。数字を横並びにすることで、「開封率を上げる」という曖昧な目標を、改善すべき具体的な地点に変えられます。

管理段階 主な指標 判断すること
配信の健全性 配信済み率、バウンス、苦情、配信停止 有効な対象へ安定して届けられているか
受信トレイ上の反応 ユニーク開封率 自社基準からどのように変化したか
本文・遷移先の反応 CTR、CVR 内容とCTAが次の行動につながったか
事業成果 商談、案件、購入、売上、費用対効果 メール施策が目的に貢献したか

一定周期で、配信目的とセグメント別に指標を並べます。B2Bなら資料閲覧、セミナー、商談・案件、B2Cなら商品閲覧、購入、売上まで確認しましょう。CTORは開封数の誤差も引き継ぐため、MPPの影響が大きい配信ではCTR、CVR、事業成果を優先します。

月次レビューでは、各指標の数値に加え、前回から変更した要素と計測環境の変化を記録します。開封率が上がった月に件名、差出人、配信時間をすべて変えていれば、翌月に再現できません。

「仮説」「変更した一要素」「結果」「後続KPI」「次回の判断」を一組にして残すと、担当者の感覚ではなく、自社データに基づく改善知識が蓄積されます。

まとめ

メルマガ開封率を改善する第一歩は、平均値を目標にすることではなく、比較条件をそろえることです。外部平均で市場の位置をつかみ、自社の同種配信で変化を判断したうえで、原因を「配信・計測・見せ方・対象」に切り分けます。その後、原因に対応する要素を一つずつ検証し、CTR・CVR・事業成果まで追えば、開封率の上下だけに振り回されない運用ができます。