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佐藤 健一

更新日:2026-05-27

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先に結論

エンゲージメントマーケティングとは、顧客との継続的な接点を作り、関心・信頼・再利用につなげるマーケティングの考え方です。広告やキャンペーンで一度だけ接触するのではなく、メール、プッシュ通知、SMS、Webサイト、アプリ、SNSなどを組み合わせ、顧客の状態に合わせて関係を深めていきます。

商品やサービスを知ってもらうだけでは、継続利用やリピート購入にはつながりにくくなっています。ユーザーが必要なタイミングで役立つ情報を受け取り、企業との顧客接点に価値を感じられるかどうかが、顧客エンゲージメントを高めるうえで重要です。

本記事では、エンゲージメントマーケティングの意味、顧客エンゲージメントやカスタマーエンゲージメントとの関係、主な施策、KPI・効果測定、始め方、ツール選びのポイントを整理します。

エンゲージメントマーケティングで顧客との関係を深める施策とKPIを解説するバナー

エンゲージメントマーケティングとは?

エンゲージメントマーケティングとは、企業やブランドが顧客と継続的にコミュニケーションを取り、関係性を深めていくマーケティング手法です。単に商品やキャンペーンを案内するだけでなく、顧客の行動、関心、利用状況に合わせて、役立つ情報や体験を届けることを重視します。

なお、ここでいうエンゲージメントは、SNS投稿の「いいね」やコメント数だけを指すものではありません。SNS上のエンゲージメント率は一つの指標ですが、エンゲージメントマーケティングでは、再訪、継続利用、購入、問い合わせ、紹介など、顧客との関係が深まっているかを広く見ていきます。

たとえば、初回登録後のオンボーディングメール、アプリ利用状況に応じたプッシュ通知、購入後のフォローアップ、休眠ユーザーへの再訪促進メッセージなどが、エンゲージメントマーケティングの一例です。

目的は一時的な反応を得ることだけではありません。顧客に「このサービスは自分に合っている」「必要なタイミングで役立つ情報が届く」と感じてもらい、継続利用、再購入、紹介、ロイヤルティ向上につなげることが重要です。

顧客エンゲージメント・カスタマーエンゲージメントとの関係

顧客エンゲージメントは、顧客が企業やブランドに対して持つ関心、信頼、愛着、継続的な関わりの強さを表す考え方です。カスタマーエンゲージメントも近い意味で使われ、顧客との関係性や接点の質を高める文脈で使われます。

顧客体験から顧客エンゲージメントにつながる流れ

エンゲージメントマーケティングは、その顧客エンゲージメントを高めるための施策や運用プロセスと捉えると理解しやすくなります。

用語 意味 見るポイント
エンゲージメントマーケティング 顧客との関係を深めるためのマーケティング施策や運用方法 どの接点で、どのようなメッセージや体験を届けるか
顧客エンゲージメント 顧客が企業やブランドに対して持つ関心や信頼、継続的な関わり 再訪、継続利用、購入、問い合わせ、レビュー、紹介などの行動
顧客満足度 商品やサービスを利用した時点で、顧客がどれくらい満足しているか 満足度調査、問い合わせ内容、レビュー、サポート後の評価
顧客体験(CX) 購入前、利用中、サポート、購入後フォローまでを含めた顧客の体験全体 サイトやアプリの使いやすさ、問い合わせ対応、購入後のフォロー、一貫した接点設計
顧客ロイヤルティ 企業やブランドを継続的に選びたい、すすめたいと感じる度合い リピート購入、継続率、NPS(推奨度)、紹介、他社への乗り換えにくさ

従来型マーケティングとの違い

従来型マーケティングは、企業から顧客へ情報を届ける一方向のコミュニケーションになりがちです。一方、エンゲージメントマーケティングでは、顧客の反応や行動データをもとに、次の接点やメッセージを調整します。

  • 目的:短期的な反応だけでなく、継続利用やLTV(顧客生涯価値)向上を重視します。
  • 接点:広告や単発配信だけでなく、メール、アプリ、Web、サポートなど複数の接点を組み合わせます。
  • 改善方法:顧客の反応や行動データをもとに、内容やタイミングを継続的に見直します。

エンゲージメントマーケティングが重要な理由

エンゲージメントマーケティングが重要視される背景には、広告だけで新規顧客を獲得し続けることが難しくなっていること、既存顧客との関係を深める重要性が高まっていることがあります。

多くの商品やサービスを比較しやすくなった現在では、価格や機能だけで選ばれ続けることは簡単ではありません。購入前だけでなく、利用中、購入後、問い合わせ時などの接点で「この企業は自分のことを理解してくれている」と感じてもらえるかが、継続利用や紹介につながります。

そのため、エンゲージメントを高めるには、単発のキャンペーンだけでなく、Webサイト、アプリ、メール、サポート、購入後フォローなど、複数の接点で一貫した体験を作ることが重要です。

  • 継続利用につながる:顧客に合ったタイミングで案内やサポートを届けることで、再訪や継続利用を促しやすくなります。
  • LTV向上につながる:一度の購入や登録で終わらせず、利用頻度や購入回数を高める施策につなげられます。
  • 口コミや紹介につながる:顧客がブランドに信頼や愛着を持つと、レビュー投稿やSNSでの共有、知人への紹介につながる可能性があります。
  • 顧客理解が深まる:開封、クリック、購買、利用頻度、問い合わせ内容などをもとに、顧客の関心や課題を把握しやすくなります。
  • 施策改善がしやすい:配信結果や行動データをもとに、メッセージ、タイミング、チャネルを継続的に改善できます。

エンゲージメントマーケティングの主な施策・チャネル

エンゲージメントマーケティングでは、1つのチャネルだけで完結させるのではなく、顧客の状態や目的に合わせて複数の接点を組み合わせることが重要です。

ただし、すべてをメッセージ配信で解決しようとする必要はありません。役立つ記事や動画、SNSでの返信、コミュニティ運営、問い合わせ後のフォローなども、顧客との関係を深める大切な接点になります。

施策を選ぶときは、「双方向のコミュニケーションを増やす」「顧客に合った体験を届ける」「顧客の声を集めて改善する」「購入後や利用中のサポートを強化する」など、目的別に整理すると考えやすくなります。

施策・チャネル 向いている場面 活用例
メール 詳細情報を届けたいとき、購買後フォローやナーチャリングを行いたいとき ウェルカムメール、購入後フォロー、休眠顧客向けメール
アプリプッシュ通知 アプリ利用者にリアルタイムで行動を促したいとき カゴ落ち通知、再訪促進、イベント通知、機能利用の案内
Webプッシュ通知 Webサイト訪問者に再訪を促したいとき 新着記事、セール案内、予約リマインド、資料閲覧後の案内
SMS 重要度が高く、短く確実に届けたい情報があるとき 認証コード、予約通知、重要なお知らせ、期限リマインド
WhatsApp / チャット 海外顧客や問い合わせ対応で、会話型の接点を作りたいとき 問い合わせ対応、見込み客フォロー、注文確認、サポート対応
SNS / コンテンツ / コミュニティ 共感、参加、口コミ、ファン化を促したいとき 投稿、コメント返信、役立つ記事、レビュー促進、ユーザー参加型キャンペーン
アンケート / レビュー / 顧客の声 顧客の不満や期待を把握し、サービス改善につなげたいとき 満足度アンケート、レビュー依頼、問い合わせ内容の分析、改善内容の共有

エンゲージメントマーケティングの活用シーン

活用シーンは業種によって異なりますが、共通しているのは「顧客が離れやすい場面を見つけ、次の行動につながる接点を作る」ことです。業種名だけで考えるより、登録後、購入後、利用停滞時、問い合わせ後など、顧客の状態から考えると施策に落とし込みやすくなります。

  • EC:閲覧履歴や購入履歴をもとに、おすすめ商品、カゴ落ち通知、再購入リマインドを届ける。
  • アプリ:オンボーディング、機能利用促進、休眠ユーザーの復帰、継続利用を促す通知を設計する。
  • SaaS:無料トライアル中の利用状況に応じて、活用ガイドやサポート案内を出し分ける。
  • 金融・予約サービス:重要通知、期限リマインド、本人確認、問い合わせ対応を組み合わせて顧客体験を安定させる。

有名企業の事例をそのまま真似する必要はありません。自社で活用する場合は、「どの接点で顧客が離れやすいか」「どのタイミングで役立つ情報を届けられるか」「改善後にどのKPIを見るか」を先に決めると、施策を小さく始めやすくなります。

エンゲージメントマーケティングのKPI・効果測定

エンゲージメントマーケティングでは、開封率やクリック率だけでなく、再訪、継続率、購入回数、LTVなど、顧客との関係が深まっているかを確認する指標も重要です。

エンゲージメントマーケティングの施策とKPIの関係

KPIは、メッセージへの反応を見る「チャネル指標」と、継続利用や売上への影響を見る「事業指標」に分けて考えると整理しやすくなります。

目的 見るべきKPI 確認したいこと
メッセージへの反応を見る 開封率、クリック率、反応率 顧客にとって内容やタイミングが適切か
継続利用を見る 継続率、休眠率、解約率、再訪率、アクティブ率 施策が定着や再利用につながっているか
売上への影響を見る コンバージョン率(CVR)、購入回数、平均注文額、LTV(顧客生涯価値) 関係構築が成果につながっているか
顧客体験を見る 問い合わせ数、満足度、レビュー、NPS、問い合わせ解決率 顧客が不満なく利用を続けられているか

たとえばSNS施策ではエンゲージメント率が参考になります。Webサイトやアプリでは、Google アナリティクスのユーザー エンゲージメントエンゲージメント率も確認できます。ただし、それだけで顧客との関係が深まったとは判断できません。短期的な反応を見る指標と、継続率、購入回数、LTV、NPSなどの中長期的な指標を組み合わせて確認することが大切です。

また、数値だけでは顧客がなぜ離脱したのか、なぜ継続しているのかまでは分からない場合があります。アンケート、レビュー、問い合わせ内容などの顧客の声もあわせて確認すると、次に改善すべき接点を見つけやすくなります。

エンゲージメントマーケティング戦略の立て方・始め方

エンゲージメントマーケティングは、最初から複雑なシナリオを作る必要はありません。まずは目的、対象顧客、チャネル、KPIを整理し、小さく始めて改善することが大切です。

その際は、最終的に改善したい指標と、途中で確認する指標を分けて考えると進めやすくなります。たとえば、最終目標が継続率やLTVの向上であれば、途中では開封率、クリック率、再訪率、利用頻度などを確認します。

たとえば、休眠ユーザーへの再訪促進、購入後のフォロー、無料トライアル中の活用支援など、成果を確認しやすい1つの場面から始めると、過度に複雑な運用になりにくくなります。

  1. 1

    目的を決める

    継続率を高めたいのか、休眠ユーザーを戻したいのか、購入後フォローを改善したいのかを明確にします。
  2. 2

    顧客セグメントを整理する

    新規登録者、初回購入者、休眠ユーザー、リピート顧客など、状態別に必要なコミュニケーションを考えます。
  3. 3

    チャネルを選ぶ

    詳細説明はメール、即時性が必要な案内はプッシュ通知やSMS、問い合わせ対応はチャットなど、目的に合わせて使い分けます。
  4. 4

    シナリオを設計する

    登録、閲覧、購入、未利用、問い合わせなどの行動を起点に、次に届けるメッセージを決めます。
  5. 5

    KPIを見ながら改善する

    開封率やクリック率だけでなく、継続率、CVR、LTVなども見ながら、内容、タイミング、チャネルを調整します。

エンゲージメントマーケティングで避けたいこと

顧客との接点を増やすことは重要ですが、接点が多ければよいというわけではありません。顧客にとって必要なタイミングか、内容に価値があるかを確認しながら運用することが大切です。

  • 配信頻度を増やしすぎる:通知やメールが多すぎると、かえって解除や離脱につながる可能性があります。
  • 短期指標だけで判断する:クリック率やエンゲージメント率が高くても、継続利用や売上につながっていない場合があります。
  • 顧客理解が浅いまま出し分ける:名前を差し込むだけのパーソナライズではなく、行動や関心に合った内容にすることが重要です。

エンゲージメントマーケティングツール・プラットフォームの選び方

ツールを選ぶときは、単にメッセージを送れるかどうかだけでなく、顧客データ、セグメント配信、複数チャネル、シナリオ自動化、効果測定を一連の流れで扱えるかを確認します。

エンゲージメントマーケティングツールや顧客エンゲージメントプラットフォームは、顧客データをもとに、適切な相手へ、適切なタイミングでコミュニケーションを届けるための仕組みです。メール配信、プッシュ通知、顧客管理(CRM)、マーケティングオートメーション(MA)、チャット、顧客サポートなど、目的によって必要な機能は異なります。

小規模な施策であれば、まずは既存のメール配信やSNS運用から始めることもできます。一方で、顧客数が増え、複数チャネルをまたいだ配信や効果測定が必要になった場合は、マーケティングオートメーションや顧客エンゲージメントプラットフォームを検討するとよいでしょう。

目的 向いているツールの例 確認したいこと
見込み顧客を育成したい MA、CRM、メール配信ツール フォーム、メール配信、スコアリング、営業連携が必要か
アプリやWebの再訪を促したい アプリプッシュ通知、Webプッシュ通知、カスタマーエンゲージメントプラットフォーム 行動データをもとに、タイミングよく通知や案内を出せるか
購入後フォローやリピートを強化したい MA、CRM、メール、SMS、WhatsApp 購入履歴や利用状況に合わせて、フォローやリマインドを自動化できるか
問い合わせ対応も含めて改善したい チャット、CRM、カスタマーサポートツール 問い合わせ履歴や顧客の声を、次の改善やフォローに活かせるか
  • 目的に合っているか:リード育成、再訪促進、購入後フォロー、解約防止、問い合わせ対応など、自社が改善したい場面に合う機能があるかを確認します。
  • 複数チャネルに対応しているか:メール、アプリプッシュ通知、Webプッシュ通知、SMS、WhatsAppなどを目的別に使い分けられるかを確認します。
  • 行動データをもとに配信できるか:登録、購入、閲覧、休眠などの行動を起点にしたシナリオ設計ができるかが重要です。
  • 効果測定しやすいか:チャネルごとの反応だけでなく、継続率やCVへの影響を見やすいかを確認します。
  • 運用しやすいか:マーケティング担当者が継続的に改善できる管理画面、テンプレート、サポートがあるかも確認しましょう。

EngageLabで顧客エンゲージメント施策を自動化する

EngageLabでは、メール、アプリプッシュ通知、Webプッシュ通知、SMS、WhatsAppなどのチャネルを組み合わせ、顧客の行動や状態に応じたメッセージ配信を自動化できます。

特に、複数チャネルでの通知・メッセージ配信、行動に応じたシナリオ配信、休眠ユーザーや既存顧客への継続的な接点づくりを重視する場合に活用しやすい構成です。

たとえば、新規登録後のオンボーディング、購入後フォロー、カゴ落ちリマインド、休眠ユーザーへの再訪促進、重要通知などを、顧客接点に合わせて設計できます。エンゲージメントマーケティングを一度きりの配信ではなく、継続的な顧客体験改善として運用したい場合に役立ちます。

関連する考え方は、EngageLabのマーケティングオートメーションでも確認できます。

エンゲージメントマーケティングに関するよくある質問

エンゲージメントマーケティングと顧客エンゲージメントの違いは?

顧客エンゲージメントは、顧客が企業やブランドに対して持つ関心や信頼、継続的な関わりの強さを表します。エンゲージメントマーケティングは、その顧客エンゲージメントを高めるための施策や運用方法です。

顧客エンゲージメントと顧客満足度の違いは?

顧客満足度は、商品やサービスを利用した時点でどれくらい満足しているかを見る指標です。一方、顧客エンゲージメントは、満足に加えて、継続利用、再購入、レビュー、紹介など、企業やブランドとの関わりが続いているかを含めて考えます。

エンゲージメントマーケティングで最初に見るべきKPIは?

目的によって異なります。まずは開封率、クリック率、再訪率、継続率、CVRなどを確認し、継続利用や売上に近い指標とあわせて見ることが大切です。

エンゲージメントマーケティングの効果測定では何を見ればよいですか?

まずは、施策への反応を見る指標と、継続利用や売上に近い指標を分けて確認します。開封率、クリック率、再訪率などで短期的な反応を見ながら、継続率、購入回数、LTV、NPS、問い合わせ内容などもあわせて見ると、顧客との関係が深まっているかを判断しやすくなります。

エンゲージメントマーケティングに専用ツールは必要ですか?

最初から専用ツールが必須というわけではありません。小規模であれば、既存のメール配信、SNS、問い合わせ対応、アンケートなどから始められます。ただし、顧客数やチャネルが増え、行動に応じた配信や効果測定を継続的に行いたい場合は、MAや顧客エンゲージメントプラットフォームを検討すると運用しやすくなります。

エンゲージメントマーケティングはBtoBでも使えますか?

BtoBでも活用できます。資料請求後のフォロー、セミナー参加者への案内、トライアル中の活用支援、休眠リードの再接点づくりなどに使えます。

まとめ

エンゲージメントマーケティングは、顧客との接点を継続的に作り、関心、信頼、再利用につなげるためのマーケティング手法です。

メール、アプリプッシュ通知、Webプッシュ通知、SMS、Webサイト、アプリ、チャットなどを組み合わせ、顧客の状態に合わせてメッセージを届けることで、継続率やLTVの向上を目指しやすくなります。まずは目的とKPIを決め、小さなシナリオから改善を重ねていくことが重要です。