アプリやWebサイトでプッシュ通知を配信しているものの、「自社の許諾率は低いのか、それとも平均的なのか」「どうすれば許可してもらえるのか」と判断に迷っていないでしょうか。
本記事では、プッシュ通知の許諾率の計算方法と平均値の見方、許可されない原因を整理したうえで、App PushとWeb Pushそれぞれの改善策と、効果を検証する手順を解説します。
プッシュ通知の許諾率とは?計算方法と平均値の見方
許諾率の意味と計算方法
プッシュ通知の許諾率とは、ユーザーが通知の受信を許可した割合のことです。「許可率」「オプトイン率」と呼ばれることもあり、本記事では同じ指標として「許諾率」に統一します。通知の仕組みや設定方法の基本は、プッシュ通知の解説記事をご覧ください。実務では、次の2つを分けて扱います。
いま通知を受け取れる状態にあるユーザーの割合です。
OS・ブラウザに通知の許可を求めたユーザーのうち、新たに許可したユーザーの割合です。
期間別や施策別に比較するときは、分母をアクティブユーザー、インストール端末、登録端末、許諾リクエストを表示したユニークユーザーのどれにするかを統一してください。分母が変わると、施策の効果とは無関係に数字が動きます。
許諾率の平均値・自社数値の見方
許諾率の平均値は、Batch社の「The Great Push Notifications & Mobile Engagement Benchmark 2025」が参考になります。
App Pushの平均許諾率は全体61%、Android 67%、iOS 56%、Web Pushは約3%です。この数値は、2024年7月から2025年7月に、1万のアプリ・Webサイトから世界のユーザーへ送られた通知を集計した国際サンプルの参考値で、日本市場の平均値ではありません。なお、公開資料に分母の記載はなく、App PushとWeb Pushの数値は単純に比べられません。
国内の傾向を知る手がかりには、アイリッジが2025年12月に全国の15〜69歳の男女4,016名へ行ったインターネットリサーチ「スマートフォンアプリのプッシュ通知に関するアンケート(2025年度)」があります。
通知を許可しているアプリとして多く挙がったのは銀行・証券会社やポイント系で、小売3業種ではドラッグストアが最も高い傾向でした。もっとも、これは回答者に許可しているアプリを選んでもらった結果で、各アプリの利用者を分母にした実測の許諾率とは別物です。
自社の数値は、App PushかWeb Pushか、OSは何かといった条件を確認したうえで、条件の近い参考値と自社の過去データの両方と比べます。平均値との差だけで良否を判断せず、同じ条件での推移を重視してください。
※調査の数値は、2026年9月時点で各社が公開している資料で確認しています。
プッシュ通知の許諾率が低い原因
許諾率が低いといっても、つまずく場所は2つあります。そもそも通知が許可されないのか。一度は許可した人が、後から通知をオフにしているのか。どちらかで見直す箇所が変わるので、当てはまりそうな項目から疑ってみてください。
許諾を得られない原因
- 通知の内容や、受け取るメリットがユーザーに伝わっていない
- サービスの価値を理解する前や、操作の途中など、タイミングの悪い場面で案内している
- 「通知が多そう」「設定が面倒そう」といった心理的・操作上の負担がある
許諾後に通知をオフにされる原因
- 配信頻度が高く、ユーザーの負担になっている
- 興味や行動に合わない通知や、似た内容の通知を繰り返している
- 早朝や深夜など、不適切な時間に届いている
- 配信内容や頻度を選べず、すべてオフにする以外の選択肢がない
前者は許諾案内の設計に、後者は許諾後の運用に見直す余地があると考えられます。どちらでつまずいているかを切り分けてから、次章の改善策に進みましょう。
【アプリ・Web別】プッシュ通知の許諾率を上げる方法
共通する改善原則
| 段階 | 原因 | 主に見直す施策 |
|---|---|---|
| 許諾前 | 通知内容や受け取るメリットが伝わっていない | 「許可してください」で終わらせず、何が届くのか(発送のお知らせ、値下げ情報など)を伝える |
| 許諾前 | 許諾案内を表示するタイミングが悪い | サービスの良さを感じてもらえた後に案内する |
| 許諾前 | 通知許可に心理的・操作上の負担がある | 自社の画面で先に説明し、許可までの流れを見せる |
| 許諾後 | 配信頻度や時間帯が不適切 | 配信頻度と配信時間を見直す |
| 許諾後 | 趣味に合わない通知や似た通知が届く | 属性や行動に合わせて内容を調整し、重複を避ける |
| 許諾後 | 受け取る内容や頻度を選べない | 可能であれば、通知の種類や頻度を選べるようにする |
特に許諾前の施策では、OSやブラウザが出す許可画面の文言を自社で変更できない点に注意が必要です。手を入れられるのは、その画面を出す前の「いつ、どこで、何を伝えるか」です。以下では、アプリとWebに分けて具体的な方法を紹介します。
アプリ:利用シーンに合わせて通知の許諾を促す
アプリの起動直後にOSの許可画面を出すと、ユーザーは通知の用途を知らないまま判断を迫られます。オンボーディングの途中で通知の役割を説明した後や、お気に入り登録・注文完了など、通知のメリットを具体的に想像できる機能を使った直後に案内するほうが、許可する理由が伝わります。
まずアプリ内の画面で「何を、どんなときに届けるか」を説明し、ユーザーが同意の操作をしてからOSの通知許可を求める二段構えが基本です。事前案内に使えるアプリ内メッセージの種類や活用シーンは、アプリ内通知の記事にまとめています。
もう一つ重要なのが、まだ許可画面を見ていない「未許諾(not determined)」と、すでに断った「拒否済み(denied)」を区別することです。iOSの場合、一度「許可しない」を選んだユーザーに、同じ許可画面をアプリから出し直す方法はありません。拒否済みのユーザーには、通知のメリットを伝えたうえで端末の設定画面へ案内する導線を検討します。
文言は、何がいつ届くのかが一読で分かる長さに収めます。ECアプリなら、たとえば次のような一文です。
- 「ご注文の商品が発送されたら、すぐにお知らせします」
- 「お気に入りの商品が値下がりしたら、通知でお知らせします」
Web:通知の価値が伝わる案内と許諾導線を設計する
Web Push(Webプッシュ通知)では、ページを開いた瞬間にブラウザの許可画面が表示されるケースが今も見られます。訪問者はまだサイトの内容を読んでおらず、通知を受け取る理由がありません。
ニュースサイトなら記事を読み終えたとき、ECサイトなら在庫切れの商品を確認したときなどが、案内する場面の候補になります。行動に合わせて場所とタイミングを選ぶと、通知を受け取る理由が伝わりやすくなります。
許可までの流れは2段階です。1段階目はサイト内のバナーやボタンで、通知の中身を自社の言葉で説明できます。訪問者が「受け取る」を押したときに開くのが、2段階目のブラウザの許可画面です。前者は自由に作り込めますが、後者の文言や見た目は、サイト側では変更できません。しかも一度「ブロック」を選ばれると、そのサイトからは許可画面を出し直せなくなります。
そこで、事前案内の段階で「今は受け取らない」を選べるようにしておきます。サイト内の事前案内で「後で」を選んだだけなら、ブラウザで通知を拒否したわけではありません。数日空けるか、次に訪れたときに、もう一度声をかければよいのです。反対に、ブロックした人にバナーを出し続けても許可画面は開きません。この人たちには「受け取るにはブラウザの設定変更が必要です」と伝えれば十分です。
事前案内の文言例は次のとおりです。
- 「新着記事を公開したときに、ブラウザ通知でお知らせします」
- 「セール開始と再入荷を通知で受け取る(いつでも解除できます)」
Web Pushの仕組みや導入手順そのものは、Webプッシュ通知の記事を参照してください。
許諾率の改善効果を測定・検証する方法
計測する指標と比較条件をそろえる
取得できる範囲で、許諾案内の表示数、許諾リクエストを行ったユニークユーザー数、新たに通知を許可したユーザー数の3つを確認します。比較するときは、分母、集計単位、対象者、期間の条件をそろえてください。
第1章で定義した「通知許諾率(通知オン率)」と「許諾獲得率(許諾案内の転換率)」は、それぞれ別の指標として追います。許諾案内の改善は主に後者に表れ、前者はアンインストールや通知オフの影響も受けるためです。
一つの要素を変え、改善効果を検証する
改善は「仮説→変更→検証」の順に進めます。ポイントは、一度に変更する要素を一つに絞ることです。文言と表示タイミングを同時に変えると、どちらが効いたのか分からなくなります。
たとえば、「通知のメリットが伝わっていない」という仮説を立てたなら、表示するタイミングや場所はそのままに、訴求文言だけを差し替えて比較します。結果は、率と人数をセットで見ます。案内を出す相手を絞れば、率は上がっても、新たに許可した人の数は減ることがあるからです。結果を踏まえ、施策を継続するか、別の要素を見直すかを判断します。
EngageLabで通知権限の状況と推移を確認する
EngageLabのApp Pushでは、管理画面でAndroid・iOSなどのOS別に、通知のオン/オフの状況を確認できます。
Web Pushでも、通知オン/オフの割合を把握できます。両製品の管理画面で通知設定状態の推移を確認し、施策を実施した時期と照らし合わせれば、どの施策の後に数字が動いたのかを追加検証する手掛かりになります。
プッシュ通知の許諾率に関するよくある質問
プッシュ通知の許諾率は、何%を目標にすればよいですか?
一律の目標値はありません。アプリ・Web、OS、業種、分母の定義によって数値が変わるためです。条件の近い調査データを参考にしつつ、自社の過去の実績を基準に目標を設定しましょう。国際調査の平均値を、そのまま自社の目標にする必要はありません。
通知の許可は、アプリの初回起動時に求めるべきですか?
初回起動時に求めることが、必ずしも最適とは限りません。通知の用途やメリットを理解してもらえる場面を選びましょう。例えば、オンボーディングでの説明後や、お気に入り登録・注文完了後などが候補になります。
通知を拒否したユーザーに、もう一度許可を求めることはできますか?
OS・ブラウザや拒否の状態によって異なります。iOSでは、一度拒否されると同じ許可画面を再表示できないため、受信を希望するユーザーには端末の設定変更を案内します。Webでも、ブラウザでブロックされている場合は設定変更が必要です。サイト内の事前案内を見送っただけの場合とは区別しましょう。
許諾率の改善効果は、どのくらいの期間で判断すればよいですか?
必要な期間は、対象ユーザー数や利用頻度によって異なります。検証前に期間と必要なサンプル数を決め、曜日やキャンペーンなどの影響も考慮しましょう。数日間の少数データだけで結論を出さず、同じ計測条件で許諾獲得率と新たに許可した人数を確認することが大切です。
まとめ
許諾率の改善は、文言を磨くところからではなく、計測条件の確認から始まります。見ているのは通知オン率か許諾獲得率か、分母は何か。次に、許可されないのか、後からオフにされるのかを切り分け、原因に合いそうな施策を一つだけ試します。結果を同じ条件で測り、次の仮説へ進みます。
まずは今の許諾率を、同じ条件で測れる状態に整えましょう。アプリの通知運用を見直すならEngageLabのApp Pushを、WebサイトならEngageLabのWeb Pushをぜひご覧ください。
アプリ・Webの通知権限の状況と推移を把握し、許諾率の改善に活かしましょう。







