不動産チャットボットは、Webサイトやメッセージングアプリから届く定型的な問い合わせに応答し、相談内容を整理する仕組みです。営業時間外や外国語の問い合わせにも一次対応できますが、物件ごとの提案、契約条件の確認、交渉などは有人担当者へ引き継ぐ必要があります。
この記事では、こうした課題への対応例として、海外投資家向けに東京の不動産投資と物件管理を支援するAxios Management Inc.(アクシオス・マネジメント株式会社)の導入事例を紹介します。EngageLab LiveDeskのAI機能による多言語の一次対応と、有人担当者への引き継ぎを中心に解説します。
不動産チャットボットの導入事例:Axios Management Inc.
Axios Management Inc.は、海外投資家向けに東京の不動産投資と物件管理を支援しています。海外からの問い合わせは、同社の営業時間外にも届きます。担当者が出社してから内容を確認する運用では、初回対応までに時間がかかり、多言語での返信にも個別の作業が必要でした。
導入前の課題:営業時間外と多言語の問い合わせ
同社には、購入手続きや物件管理など、似た内容の質問が繰り返し届いていました。担当者が毎回内容を確認し、外国語で返信する体制では、営業や個別提案に使える時間が少なくなります。
また、問い合わせの件数だけでなく、相談内容の緊急度や検討状況も異なります。定型的な質問と、担当者が早めに確認すべき相談を分けなければ、対応の優先順位を付けにくくなります。
また、問い合わせ窓口が複数ある場合、会話履歴が分散し、担当者が変わった際に過去のやり取りを確認しにくくなることがあります。
こうした課題を解決するには、AIによる一次対応と有人担当者への引き継ぎを組み合わせた運用設計が必要です。
導入した仕組み:AIの一次対応から有人担当者への引き継ぎ
同社は、EngageLab LiveDeskに組み込まれたAI機能を利用し、WebサイトやWhatsAppから届く問い合わせに多言語で一次対応する仕組みを導入しました。AIは定型的な質問に回答し、相談の目的や希望条件を整理します。個別判断が必要な問い合わせは、会話履歴とともに有人担当者へ引き継ぎます。
Axios Management Inc.の事例における問い合わせ対応の流れ。AIによる一次対応は、EngageLab LiveDeskに組み込まれた機能です。
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WebサイトやWhatsAppで問い合わせを受け付ける
顧客は、利用しやすい窓口から相談を送ります。営業時間外や外国語の問い合わせでも、AIが一次対応を開始できる状態を整えます。 -
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AIが一次対応し、相談内容を整理する
AIは、あらかじめ用意した情報を基に定型的な質問へ回答します。同時に、希望エリア、相談目的、所有物件の有無や管理に関する希望など、担当者が次の対応を判断するための情報を整理します。 -
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個別判断が必要な相談を有人担当者へ引き継ぐ
物件ごとの提案、契約条件、交渉など、担当者の判断が必要な相談は有人対応へ切り替えます。担当者は、それまでの会話内容を確認したうえで対応を続けます。
導入後に確認された変化と顧客の評価
導入初週に確認された結果
導入後の初週には、海外投資家2名との取引と、都内3物件の管理受託が確認されました。ROIは、同期間の対象収益と導入費用を基に算出し、37.5%となりました。
Axios Management Inc.からは、導入後の問い合わせ状況について、次の評価が寄せられました。
徐々にウェブサイトからの問い合わせが増えているので、期待していた方向に進んでいるようです。色々とありがとうございます。御社のマーケティングツールを活用しながら、新規の案件を増やせると確信しています。
Axios Management Inc. 引地氏
上記の顧客メッセージは、Webサイト経由の問い合わせ状況に関する導入後の評価です。メッセージ内の「マーケティングツール」は顧客による表現であり、EngageLab MAの導入実績を示すものではありません。
不動産の問い合わせ対応でAIと有人担当者をどう分けるか
不動産の問い合わせ対応を自動化する際は、AIに任せる範囲と、有人担当者が判断する範囲を先に決めます。すべての相談をAIだけで完結させるのではなく、定型的な確認と個別判断を分けることが重要です。
AIに任せやすい問い合わせ
AIに任せやすいのは、回答の根拠と範囲を事前に整理できる問い合わせです。質問の内容が定型化されていれば、営業時間外の一次対応や、担当者へ渡す情報の収集に活用できます。
- 営業時間、対応エリア、サービス範囲などの基本情報
- 問い合わせから相談開始までの一般的な流れ
- 相談目的、希望エリア、予算などの初期情報の確認
- 利用言語や連絡方法の確認
- 担当者へ引き継ぐ前に必要な情報の整理
有人担当者へ切り替える問い合わせ
個別の提案や責任を伴う判断は、有人担当者へ切り替えます。切り替え条件を事前に決めておけば、AIが回答を続けるべきではない場面で、担当者が対応を引き継ぎやすくなります。
- 特定の物件、契約条件、価格、税務などに関する個別判断
- 顧客の条件に合わせた提案や交渉
- AIが回答根拠を確認できない質問
- 顧客が有人対応を希望した場合
- 苦情、緊急連絡、優先度の高い商談
- 個人情報や機密情報の取り扱いについて確認が必要な場合
引き継ぎ時に共有する情報
有人担当者が同じ質問を最初から聞き直さないように、引き継ぐ情報をそろえます。会話の全文だけでなく、担当者が次の行動を判断するための要点も必要です。
- 問い合わせの入口、受付時刻、利用言語
- 顧客の連絡先と相談目的
- 希望エリア、予算、物件種別などの条件
- AIが回答した内容と未回答の事項
- 有人対応が必要と判断した理由
- 担当者が対応すべき期限や優先度
不動産チャットボットを導入する手順
導入時は、ツールを先に決めるのではなく、現在の問い合わせ内容と担当者の動きを整理します。回答範囲、情報の更新、有人対応への切り替えを順に決めると、運用開始後の対応漏れを防ぎやすくなります。
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自動化する問い合わせの範囲を決める
まず、問い合わせの対象を整理します。新規顧客、既存顧客、入居者、オーナーでは、質問内容と必要な対応が異なります。過去の問い合わせを確認し、件数が多く、回答内容を定型化できる質問から候補を絞ります。個別判断が必要な質問は、この段階で自動回答の対象外にします。 -
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回答に使う情報と更新担当者を決める
FAQ、サービス資料、手続き案内など、AIが回答に使う情報をそろえます。資料ごとに更新担当者と確認頻度を決め、古い情報を回答に使わない運用を整えます。物件や契約に関する情報は、どこまで回答対象にするかを関係部門と確認します。 -
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問い合わせチャネルと有人引き継ぎの条件を設定する
Webサイト、WhatsAppなど、実際に利用する窓口を決めます。次に、顧客が有人対応を希望した場合、AIが回答できない場合、特定の相談内容が含まれる場合など、切り替え条件を設定します。担当者への通知方法、対応時間、担当者が不在の場合の扱いも決めておきます。 -
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テストしてから対応範囲を広げる
本番公開前に、通常の質問、情報が不足した質問、対象外の質問、有人対応を希望する質問を使って動作を確認します。多言語で運用する場合は、主要な質問と重要な案内を各言語で確認します。回答精度と引き継ぎが安定した後に、対象となる質問やチャネルを段階的に広げます。
不動産向けチャットボットを選ぶ際の確認項目
不動産向けチャットボットを比較する際は、回答機能の多さだけでなく、有人対応を含む運用全体を確認します。導入前のデモでは、自社で想定している問い合わせを実際に入力し、回答から引き継ぎまでの流れを確認すると判断しやすくなります。
- 問い合わせ窓口:自社が利用するWebサイトやメッセージングアプリに対応しているかに加え、会話履歴の管理場所も明確にします。
- AIと有人担当者の連携:有人対応へ切り替えた後も、それまでの会話と取得した情報を担当者が参照できることが必要です。転記が必要な場合は、運用件数が増えたときの負担も見積もります。
- 切り替え条件と通知:顧客の希望、質問内容、AIの回答状況に応じて有人対応へ切り替えられるかを見ます。誰に、どの方法で通知するかも決めます。
- 多言語の回答品質:対応言語の数だけで判断せず、自社で頻出する不動産用語や案内文を使って回答を確認します。誤答が見つかったときに、誰がどの情報を修正するかも決めます。
- 既存システムとの連携:顧客情報、物件情報、対応履歴をどのシステムから取得し、どこへ保存するかを整理します。必要なデータを連携できない場合は、手作業が残る範囲を確認します。
- 導入と運用の支援範囲:初期設定、回答情報の整理、テスト、運用開始後の修正について、自社とベンダーの担当範囲を分けます。料金だけでなく、自社側に必要な担当者と作業時間も比較します。
問い合わせデータをMAの追客に活用する方法
Axios Management Inc.の事例で確認できるのは、AIによる多言語の一次対応と、有人担当者への引き継ぎです。以下は、問い合わせ時に取得した情報をMAへ連携する場合の拡張例であり、同社で実施済みの内容ではありません。
MAは、顧客の属性、行動、業務上のイベントを条件に、フォローの開始、待機、分岐、終了を設定する仕組みです。不動産の追客で利用する場合は、送信対象と開始条件だけでなく、有人担当者の対応開始や配信停止などの終了条件まで設計します。
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フォローする対象者を決める
初回問い合わせ後に商談へ進んでいない顧客、希望条件に合う案内がなく保留になった顧客など、対象となる状態を定義します。継続的な連絡に必要な同意を得ているか、配信停止になっていないかも確認します。 -
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開始条件を設定する
最終接触日、希望エリア、予算、物件種別、顧客ステータスなど、利用できる情報を整理します。物件情報や価格変更を条件に使う場合は、既存システムから必要なデータを取得できるかを先に確認します。 -
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待機時間と分岐を設定する
問い合わせ直後に同じ案内を重ねて送らないように、待機時間を設けます。その後、顧客の反応、有人担当者の対応状況、新しい案内情報の有無に応じて、次の案内を送るか、再度待機するか、フォローを終了するかを分けます。 -
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連絡チャネルを選ぶ
顧客が連絡を希望したチャネルと、企業側で運用できるチャネルを確認します。メール、SMS、WhatsAppなどを利用する場合は、連絡先の有効性、配信同意、担当者との連絡が重複しないことを確認します。 -
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終了条件を設定する
契約済み、配信停止、連絡不要、有人担当者による対応開始などを終了条件に設定します。終了条件がないと、商談中の顧客へ自動案内を重ねて送るおそれがあります。
EngageLabで支援できる問い合わせ対応と追客
EngageLab LiveDeskには、AIによる一次対応機能が組み込まれています。WebサイトやWhatsAppから届く問い合わせに対し、AIが定型的な質問への回答と相談内容の整理を行い、個別判断が必要な相談は会話履歴とともに有人担当者へ引き継ぎます。
導入時は、現在の問い合わせ窓口、回答に使う情報、有人対応への切り替え条件を整理します。Axios Management Inc.の事例では、日本語での要件整理から導入まで、担当チームが支援しました。
問い合わせ情報を問い合わせ後のフォローに利用する場合は、EngageLabのマーケティングオートメーションを使った設計も検討できます。実際に利用できるデータ、連携方法、配信チャネルは、既存システムと運用条件に応じて確認します。
不動産の問い合わせ対応を見直したい方へ
営業時間外や多言語の問い合わせへの一次対応、有人担当者への引き継ぎ、初回対応後のフォローについて、自社の業務フローに合う範囲を整理します。現在の問い合わせ窓口と運用上の課題をご共有ください。







