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佐藤 健一

更新日:2026-05-28

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カスタマージャーニーメールとは、顧客の行動や検討段階に合わせて、必要な情報を適切なタイミングで届けるメール施策です。単発のメルマガを一斉配信するのではなく、会員登録、資料請求、カゴ落ち、購入後、休眠などの状態に応じて、メール内容や配信タイミングを設計します。

本記事では、カスタマージャーニーメールの意味、メルマガ・ステップメール・トリガーメールとの違い、代表的なシナリオ、作り方、KPI、メール自動化ツールを使うときの確認点を整理します。

カスタマージャーニーメールの自動化とシナリオ設計を示す図

カスタマージャーニーメールとは

カスタマージャーニーメールは、顧客が商品やサービスを知り、検討し、購入し、継続利用するまでの流れに合わせてメールを設計する方法です。一般的なカスタマージャーニーマップが顧客接点全体を整理するのに対し、カスタマージャーニーメールでは、メールでどの情報を、どのタイミングで届けるかに焦点を当てます。

なお、カスタマージャーニーメールは「メールマーケティングにおけるカスタマージャーニー」や「メールジャーニー」と呼ばれることもあります。ただし、本記事では特定のツール機能ではなく、顧客の状態に合わせてメール内容・タイミング・配信条件を設計する考え方として解説します。

一般的なカスタマージャーニーマップでは、広告、検索、Webサイト、営業、サポートなど複数の接点を整理します。一方、カスタマージャーニーメールでは、その中でもメールが担う役割を明確にし、顧客が次の行動に進みやすい情報を届けることが目的になります。

たとえば、登録直後には使い方を案内するウェルカムメールを送り、商品をカートに入れたまま離脱したユーザーにはカゴ落ちメールを送り、購入後にはレビュー依頼や関連商品の案内を送る、といった設計が考えられます。

顧客の段階 メールの役割 メール例
認知・登録直後 第一印象を作り、次の行動を案内する ウェルカムメール、使い方ガイド、初回特典案内
比較・検討 不安や疑問を解消し、判断材料を届ける 導入事例、FAQ、比較ポイント、資料案内
購入・申し込み前 離脱を防ぎ、行動を後押しする カゴ落ちメール、フォーム離脱フォロー、期限付き案内
購入・利用開始後 使い始めを支え、満足度を高める 購入後フォロー、初期設定ガイド、レビュー依頼
継続・休眠 再訪や継続利用のきっかけを作る 活用提案、関連商品の案内、休眠復帰メール

メルマガ・ステップメール・トリガーメールとの違い

カスタマージャーニーメールを理解するには、メルマガ、ステップメール、トリガーメール、シナリオメールとの違いを整理しておくと分かりやすくなります。特に、配信の起点が「配信者の都合」なのか、「登録日などの時間軸」なのか、「顧客の行動」なのかによって、設計の考え方が変わります。

種類 配信の起点 主な役割 向いている場面
メルマガ 配信者が決めた日時 最新情報やキャンペーンを一斉に届ける ニュース、セール、新着情報の案内
ステップメール 登録日、資料請求日、購入日など 決めた順番で段階的に理解を深める 資料請求後の育成、講座、オンボーディング
トリガーメール 顧客の行動や状態 関心が高いタイミングで自動フォローする カゴ落ち、購入完了、閲覧後フォロー
シナリオメール 行動、属性、反応などの条件 反応に応じて次に送る内容を分岐する 見込み客育成、休眠復帰、アップセル
カスタマージャーニーメール 顧客の段階と行動 メール体験全体を顧客の流れに合わせる 単発配信ではなく、継続的に顧客体験を改善したい場合

ステップメールは、登録日などを起点に決まった順番で配信するメールです。一方、トリガーメールは、カゴ落ちや購入完了、資料請求などの行動をきっかけに配信します。シナリオメールでは、開封・クリック・未反応などの条件に応じて、次に送る内容を分岐させます。

カスタマージャーニーメールは、これらの配信方法を顧客の検討段階に合わせて組み合わせる考え方です。そのため、「ステップメールだけ」「トリガーメールだけ」で完結させるのではなく、顧客が次の行動に進みやすい流れになっているかを見ることが重要です。

使い分けに迷う場合は、次のように考えると整理しやすくなります。

  • 定期的に同じ情報を届けたい: メルマガが向いています。
  • 登録後に順番どおり情報を届けたい: ステップメールが向いています。
  • 特定の行動にすぐ反応したい: トリガーメールが向いています。
  • 反応に応じて次の内容を変えたい: シナリオメールやMA(マーケティングオートメーション)の条件分岐が向いています。

カスタマージャーニーメールで使われる主なシナリオ

カスタマージャーニーメールは、顧客の状態に合わせて複数のシナリオを用意します。最初から複雑に作るよりも、よく使うシナリオから小さく始める方が運用しやすくなります。

どのシナリオを優先するかは、業種や商品特性によって変わります。ECではカゴ落ちメールや購入後フォロー、BtoBでは資料請求後の検討促進メール、アプリやSaaSではオンボーディングや休眠復帰メールが重要になりやすいです。すべてを一度に作るのではなく、顧客の離脱が多い場面や、売上・商談・継続利用に近い場面から優先すると改善しやすくなります。

  • ウェルカムメール: 会員登録、メルマガ登録、無料トライアル開始直後などに送るメールです。サービスの価値、最初に見るべき情報、次に取ってほしい行動を簡潔に案内します。
  • 検討促進メール: 資料請求、料金ページ閲覧、事例ページ閲覧などに応じて、比較材料や導入事例、FAQを届けます。BtoBや高単価商材では、検討中の不安を減らす役割が大きくなります。
  • カゴ落ちメール・フォーム離脱フォロー: 商品をカートに入れたまま離脱したユーザーや、申し込みフォームの途中で離脱したユーザーに再訪を促します。ECでは特に重要ですが、割引だけに頼らず、送料、在庫、よくある不安の解消なども検討します。
  • 購入後フォローメール: 注文確認やお礼だけでなく、使い方、初期設定、レビュー依頼、関連商品の案内などで購入後体験を支えます。ただし、注文確認のような重要通知と販促メールは役割を分けて考えることが大切です。
  • 休眠復帰メール・リエンゲージメントメール: 一定期間反応がないユーザーに、再訪理由や限定案内を届けます。休眠理由や過去の反応に合わせて内容を変えることで、リエンゲージメントメールとして再訪や継続利用につなげやすくなります。

カゴ落ちメールのように検討直後の熱量が高いシナリオでは、早めのリマインドが有効な場合があります。一方で、BtoB商材や高単価商材では、すぐに購入を迫るよりも、比較資料やFAQ、相談導線を届けた方が自然な場合もあります。

カスタマージャーニーメールの作り方

カスタマージャーニーメールは、先にメール本文を作るのではなく、顧客の段階、行動、目的、配信条件を整理してから設計します。

はじめからすべての段階を自動化しようとすると、シナリオが複雑になりすぎます。最初は「登録直後」「カゴ落ち」「購入後フォロー」「休眠復帰」など、成果を確認しやすい1〜2個の流れから始めると改善しやすくなります。

MAでシナリオを設計するときは、「誰に」「いつ」「何を」「どの条件で次に進めるか」を決めると整理しやすくなります。たとえば、資料請求をしたユーザーにはお礼メールを送り、数日後に事例やFAQを案内し、クリックしたユーザーには個別相談や次の案内を出す、といった流れです。

このように、顧客の反応に応じて次のメールを変える設計は、シナリオメールの考え方に近いものです。ただし、最初から細かい分岐を増やしすぎると改善しにくくなるため、まずは主要な行動だけを条件にするのがおすすめです。

  • 1

    目的を決める

    新規登録後の利用開始、資料請求後の商談化、カゴ落ち回収、継続利用など、改善したい行動を1つ決めます。
  • 2

    顧客の段階を分ける

    認知、検討、購入、継続、休眠など、メールを届ける相手の状態を整理します。
  • 3

    トリガーを設定する

    登録、資料請求、特定ページの閲覧、クリック、未開封、購入、一定期間ログインなしなど、配信のきっかけを決めます。あわせて、「開封した場合」「クリックしなかった場合」などの分岐条件も整理します。
  • 4

    メール内容と順番を決める

    1通ごとの役割を明確にし、情報提供、比較、行動促進、フォローの流れを作ります。
  • 5

    KPIを決めて改善する

    開封率、クリック率、コンバージョン率、配信停止率、フェーズ移動率などを見ながら改善します。

BtoBの場合は、資料請求後のお礼メールだけで終わらせず、導入事例、FAQ、ウェビナー案内、個別相談への案内などを段階的に届けると、検討中の見込み顧客をフォローしやすくなります。反応が高いユーザーを営業やカスタマーサクセスにつなぐ設計にしておくと、メール施策を商談や継続利用にもつなげやすくなります。

配信タイミング・頻度・KPIの決め方

カスタマージャーニーメールでは、何を送るかだけでなく、いつ送るか、どのくらいの頻度で送るかも成果に影響します。配信頻度が高すぎると配信停止につながり、低すぎると検討タイミングを逃しやすくなります。

開封率やクリック率の平均値は参考になりますが、業種、配信リストの質、メールの目的によって大きく変わります。そのため、一般的な目安だけで判断するのではなく、自社の過去配信やシナリオごとの変化を見ながら改善することが重要です。

確認したいこと 見る指標 改善の考え方
メールが届いているか 配信成功率、不達率、バウンス率 宛先リストの品質、送信ドメイン認証、エラーアドレスの整理を確認する
メールを開いてもらえているか 開封率 件名、差出人名、プレビューテキスト、配信タイミングを見直す
本文から行動につながっているか クリック率、クリックしたリンク CTA(行動を促すボタン・リンク)の位置、リンク先、メール本文と遷移先の内容が合っているか確認する
目的の成果につながっているか コンバージョン率、資料請求数、購入数、商談化数 メール単体ではなく、シナリオ全体で次の行動に進んだかを見る
配信頻度が負担になっていないか 配信停止率、スパム報告、未開封の増加、苦情 送信間隔を空ける、対象を絞る、反応がないユーザーを別シナリオに分ける
顧客の段階が進んでいるか 再訪率、利用開始率、継続率、休眠復帰率 カスタマージャーニー上で、次の段階へ進んだかを確認する

配信頻度は、すべてのメールで同じにする必要はありません。ウェルカムメールやカゴ落ちメールのように反応が早いシナリオでは短い間隔で送る場合がありますが、メルマガや検討促進メールでは、読者に負担をかけない頻度を見ながら調整します。配信停止率や未開封が増えている場合は、頻度を下げるだけでなく、対象セグメントや内容の見直しも必要です。

件名やCTAの改善には、メールのA/Bテストも有効です。ただし、開封率だけが高くても、クリックや購入、資料請求、商談化につながらなければ、シナリオ全体の成果は高いとはいえません。メールごとの数値と、顧客が次の段階へ進んだかをあわせて確認しましょう。

カスタマージャーニーメールで避けたい失敗

  • すべてのユーザーに同じメールを送る: 顧客の状態が違うのに同じ内容を送ると、メールの関連性が下がります。特に休眠顧客へのメールでは、離脱理由や過去の反応に合わせて内容を変えないと、再訪につながりにくくなります。
  • 最初からシナリオを複雑にしすぎる: 分岐が多すぎると、管理や改善が難しくなります。
  • 配信頻度を固定してしまう: すべてのユーザーに同じ頻度で送り続けると、関心が低いユーザーには負担になりやすくなります。反応が高いユーザー、検討中のユーザー、休眠に近いユーザーで頻度や内容を分けることが大切です。
  • 配信停止・同意管理を軽視する: メールマーケティングでは、許諾、配信停止、送信者情報などの確認が重要です。広告・宣伝目的のメールを送る場合は、受信者が配信停止を選べる導線を分かりやすく用意し、配信停止ユーザーを除外する必要があります。
  • メールだけで完結させようとする: アプリ通知、SMS、Web Push、WhatsAppなど、ユーザーの状態に応じてチャネルを分けた方がよい場合もあります。

なお、広告・宣伝メールの配信ルールは、商材やメール内容によって確認すべき点が変わる場合があります。詳しいルールは、消費者庁の特定電子メール法に関する情報や、総務省の特定電子メール法のポイントなど、公式情報も確認しておくと安心です。

メール自動化・MAツールを選ぶときの確認点

カスタマージャーニーメールを継続的に運用する場合は、メール配信だけでなく、セグメント、トリガー、シナリオ分岐、効果測定、他チャネル連携を確認する必要があります。

ツールを選ぶときは、機能名だけで判断するのではなく、自社の顧客行動に合わせて「誰に、いつ、何を、どの条件で送るか」を無理なく設定できるかを見ることが大切です。

単にメールを予約配信できるだけでは、カスタマージャーニーメールの運用には不十分な場合があります。顧客の行動を起点に配信を開始できるか、反応に応じて分岐できるか、シナリオ全体の成果を確認できるかを見ておきましょう。

  • トリガー設定: 資料請求、ページ閲覧、クリック、未開封、購入などを起点に配信を開始できるか。
  • シナリオ設計: 顧客の反応に応じて、次に送るメールや案内を分岐できるか。
  • セグメント: 属性、行動、購買履歴、反応状況で対象を分けられるか。
  • 効果測定: メール単体だけでなく、シナリオ全体の成果を確認できるか。
  • 配信停止・除外リスト管理: 配信停止を希望したユーザーや、一定期間反応がないユーザーを適切に除外・管理できるか。
  • チャネル連携: メール以外にSMS、プッシュ通知、WhatsAppなどへ切り替えられるか。
  • 営業・CRM連携: BtoBの場合、反応が高い見込み顧客を営業担当に通知したり、CRM上の情報と合わせて確認できるか。
  • 運用しやすさ: マーケターが無理なく設定・改善できる画面か。

メール配信だけで十分な場合もありますが、複数の条件分岐やチャネル連携が必要になる場合は、MAメールやマーケティングオートメーションの活用も検討しやすくなります。

EngageLabでカスタマージャーニーメールを自動化する

EngageLabでは、メール配信を起点に、App Push(アプリプッシュ通知)やWeb Push(Webプッシュ通知)、SMS、WhatsAppなどを組み合わせたマーケティングオートメーションを設計できます。たとえば、資料請求直後にお礼メールを送り、その後の行動や反応に応じて、アプリプッシュ通知など別チャネルでフォローするシナリオを作成できます。

新規ユーザー向けのオンボーディングでは、メール送信後の行動に応じて、未完了ユーザーにはリマインド通知を送り、完了ユーザーには次の案内を出すような分岐を設計できます。

メールとアプリプッシュを組み合わせたEngageLabのカスタマージャーニー自動化フロー画面

メール施策を一斉配信から、行動ベースのシナリオ配信へ移行したい場合は、最初から複雑な分岐を作る必要はありません。カスタマージャーニーを整理したうえで、資料請求後のフォロー、カゴ落ち、休眠復帰など、成果を確認しやすい小さな自動化フローから始めると運用しやすくなります。

カスタマージャーニーメールに関するよくある質問

ジャーニーメールとは何ですか?

ジャーニーメールとは、顧客の行動や検討段階に合わせて、適切なタイミングで自動配信するメールのことです。カスタマージャーニーメールとほぼ同じ意味で使われることがありますが、特定のツール機能名として使われる場合もあります。

カスタマージャーニーメールとメルマガの違いは何ですか?

メルマガは同じ内容をまとめて配信することが多いのに対し、カスタマージャーニーメールは顧客の段階や行動に合わせて内容やタイミングを変える点が異なります。

カスタマージャーニーメールはステップメールと同じですか?

同じではありません。ステップメールは、登録日や資料請求日などを起点に、決めた順番で複数のメールを送る方法です。カスタマージャーニーメールでは、ステップメールに加えて、トリガーメールやシナリオメールも組み合わせ、顧客の段階や反応に合わせてメール体験全体を設計します。

MAシナリオとは何ですか?

MAシナリオとは、顧客の行動や属性に応じて、「誰に、いつ、何を送るか」を決め、自動で実行する流れのことです。メールだけでなく、営業担当への通知や別チャネルでのフォローを含める場合もあります。

まとめ

カスタマージャーニーメールは、単発のメール配信ではなく、顧客の行動や検討段階に合わせて、必要な情報を適切なタイミングで届けるための設計です。メルマガ、ステップメール、トリガーメール、シナリオメールの違いを理解したうえで、自社の顧客体験に合う形で組み合わせることが重要です。

最初から複雑な自動化フローを作る必要はありません。まずはウェルカムメール、検討促進メール、カゴ落ちメール、購入後フォロー、休眠復帰メールなど、成果を確認しやすいシナリオから始め、KPIを見ながら改善していくと運用しやすくなります。