RCSとSMSの違いは、送信できる内容と対応範囲にあります。RCSは画像、動画、ボタンなどを使った双方向のコミュニケーションに向き、SMSは対応端末が広く、短い通知を届けたい場面に適しています。
企業が選ぶ際は、どちらが優れているかではなく、配信目的で判断することが大切です。商品紹介や予約受付にはRCS、認証コードや重要通知にはSMSというように、併用する方法もあります。
- 表現力と双方向性を重視するならRCS、対応範囲の広さを重視するならSMSが適しています。
- RCS未対応の端末や回線もあるため、重要な通知では、SMSへのフォールバックをあらかじめ設計しておく必要があります。
RCSとは
RCSとは「Rich Communication Services」の略称で、携帯通信事業者の業界団体「GSMA」に標準化されているメッセージ規格です。RCSを通じて、携帯電話番号を宛先に使いながら、SMSより多くの機能を利用できます。
対応環境では、長文、高画質の写真や動画、ファイル、グループチャット、既読表示、入力中表示などを利用できます。送受信には、モバイルデータ通信またはWi-Fiが必要です。
RCSビジネスメッセージとは
RCSビジネスメッセージは、企業が顧客へRCSを送るための仕組みです。個人間のRCSとは異なり、ブランド名やロゴを表示し、画像、動画、リッチカード、返信候補、操作ボタンなどを組み込めます。
例えば、商品の画像から購入ページを開く、配送通知から受取日時を変更する、予約案内から空き状況を確認するといった導線をメッセージ内に設けられます。通知だけでなく、次の行動まで促しやすい点が特徴です。
企業名の表示や認証マークには、ブランド確認と通信事業者などによる審査が必要です。利用できる機能、配信地域、対応回線は、契約するRCS事業者や通信事業者によって異なります。
iPhoneもRCSに対応
RCSはAndroid専用ではありません。AppleはiOS 18以降でRCSに対応しており、iPhoneからAndroidなどの他社製端末へ、高解像度の写真や動画、リンクを送信できます。
ただし、iPhone本体が対応していても、契約中の通信事業者と料金プランがRCSに対応していなければ利用できません。提供状況や必要なOSのバージョンは、地域、回線、プランによって変わります。
最新の条件は、 AppleのRCSサポート情報 と契約中の通信事業者の案内で確認してください。iMessage、RCS、SMSの表示や機能の違いは、 iMessageとSMSの比較記事 でも解説しています。
SMSとは
SMSとは「Short Message Service」の略称です。携帯電話番号を宛先として、通信事業者のモバイルネットワーク経由でテキストを送受信します。インターネット接続を必要としない点がRCSとの大きな違いです。
SMSはスマートフォンだけでなく、フィーチャーフォンを含む幅広い端末で利用できます。企業では、ワンタイムパスワード(OTP)、決済通知、配送連絡、予約リマインド、障害連絡などに使われています。
送信できる内容は原則としてテキストです。URLを記載してWebページへ誘導できますが、RCSのように画像や操作ボタンをメッセージ内へ組み込むことはできません。文字数や分割、料金の数え方は、配信サービスと送信先によって異なります。
RCSとSMSの違いを比較
RCSとSMSは、どちらも電話番号を宛先に使います。一方、通信方式、コンテンツ、対応環境、効果測定には明確な違いがあります。まずは比較表で全体像を確認します。
| 比較項目 | RCS | SMS |
|---|---|---|
| 宛先 | 携帯電話番号 | 携帯電話番号 |
| 通信方式 | モバイルデータ通信またはWi-Fi | 通信事業者のモバイルネットワーク |
| 対応環境 | RCS対応の端末、アプリ、回線、プランが必要 | 幅広い携帯電話と回線に対応 |
| コンテンツ | テキスト、画像、動画、音声、ファイルなど | 原則としてテキスト |
| 操作導線 | リッチカード、返信候補、ボタンなどに対応 | 本文内のURLや電話番号で誘導 |
| ブランド表示 | 企業名、ロゴ、ブランドカラーなどを表示可能 | 送信元番号またはSender IDを表示 |
| 双方向性 | 返信、選択肢、会話形式のやり取りに対応 | 返信可否はサービスや送信方式によって異なる |
| 既読確認 | 対応環境では確認可能 | 原則として不可 |
| 到達範囲 | 対応端末・回線に限定 | RCSより広い |
| 主な法人用途 | 販促、商品案内、予約、アンケート、顧客対応 | OTP、重要通知、取引連絡、リマインド |
RCSを「常にエンドツーエンド暗号化される」とは限りません。Googleの RCS for Businessのセキュリティ情報 では、企業と利用者のメッセージはエンドツーエンド暗号化の対象外です。SMSも同様に機密情報の送信には向かないため、認証コードや個人情報の扱いを含めて設計する必要があります。
RCSのメリット・デメリット
RCSのメリット
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画像、動画、カードを使い、商品やサービスを視覚的に伝えられる
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返信候補やボタンを配置し、購入、予約、問い合わせなどへ誘導できる
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企業名やロゴを表示し、受信者が送信元を判断しやすくなる
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配信、既読、ボタン操作などを計測し、施策を改善しやすい
RCSのデメリット
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端末、アプリ、回線、プランのいずれかが未対応だと送れない
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モバイルデータ通信またはWi-Fiに接続できない環境では利用しにくい
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企業向け配信ではブランド確認、審査、システム連携が必要になる
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未対応ユーザーへ届けるには、SMSなどのフォールバックが必要になる
RCSの強みは、メッセージ画面から離れずに商品理解や手続きを進めやすいことです。ブランドの世界観を伝える販促や、複数の選択肢から回答してもらう場面に向いています。
一方、配信対象の全員がRCSを利用できるとは限りません。重要な連絡でRCSだけに依存すると未達が生じるため、送信前の対応判定とSMSへの切り替えを含める配信設計が必要です。
SMSのメリット・デメリット
SMSのメリット
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RCSより対応端末と回線が広く、多くの携帯電話番号へ送信できる
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インターネット接続を前提とせず、短い通知をすばやく届けやすい
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専用アプリのインストールやアカウント登録を受信者に求めない
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OTP、取引通知、予約リマインドなどの定型メッセージに使いやすい
SMSのデメリット
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画像や動画を本文内に表示できず、視覚的な商品訴求が難しい
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文字数が増えると分割や料金に影響する場合がある
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配信済みかは確認できても、開封や閲覧を直接計測しにくい
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送信元表示や返信可否が、国、回線、配信経路によって異なる
SMSは情報量より到達範囲を優先する場面に向いています。
ただし、送信できたことと、受信者が内容を読んだことは同じではありません。SMSの配信効果は、クリック率、認証完了率、予約確認率など、配信目的に合った指標で評価してください。
法人向けの送信方法やAPI連携については、 SMS送信方法の選び方 も参考にしてください。
ビジネスではRCSとSMSをどう使い分ける?
RCSとSMSを使い分ける際は、配信内容、緊急性、配信対象者のRCS対応状況、測定したい成果を確認してください。目的が異なるメッセージを、すべて同じチャネルから送る必要はありません。
RCSが向いている場面
- 商品・サービスの紹介:画像、動画、カルーセルを使って特徴を伝える
- キャンペーン:クーポン取得、商品閲覧、購入などのボタンを配置する
- 予約・手続き:希望日時や選択肢をメッセージ内で案内する
- アンケート:返信候補を表示し、回答までの操作を減らす
- 顧客対応:問い合わせ内容に応じて、会話形式で案内する
RCSマーケティングでは、コンテンツを増やすだけでなく、受信者に取ってほしい行動を1つに絞ることが重要です。商品画像、説明、ボタンの役割を整理し、スマートフォンの画面で読みやすい構成にします。
SMSが向いている場面
- 本人認証:ログインや取引確認のOTPを送る
- 重要通知:決済、口座、セキュリティ、障害などを知らせる
- 予約リマインド:来店、診療、宿泊、面談の日時を再通知する
- 注文・配送連絡:受付、発送、配達予定、受取方法を伝える
- 広範囲への連絡:端末やアプリの違いを問わず、短い情報を届ける
SMS通知では、送信元、用件、期限、必要な操作が一目で分かる文面が適しています。URLを記載する場合は、企業名やサービス名との関係が分かるドメインを使い、不自然な短縮URLを避けると、受信者がリンク先を判断しやすくなります。
RCSとSMSを併用する場合
RCSを優先し、未対応の宛先にはSMSを送る方法があります。RCSでは画像やボタンを使った詳しい案内を送り、SMSでは要点とWebページのURLを送れば、対応状況が異なる顧客にも情報を届けられます。
重要な通知では、RCSが一定時間内に届かなかった場合にSMSへ切り替える設計も有効です。二重送信を避けるため、配信結果、メッセージの有効期限、フォールバックを開始する条件を事前に決めてください。
SMSの未達原因や代替チャネルの考え方は、 SMSが届かない原因と対策 で詳しく解説しています。
日本でのRCS対応状況と「+メッセージ」との関係
日本のRCS提供状況は、2025年以降に大きく変化しています。2026年7月23日時点では、auがAndroidとiPhone向けにRCSを提供し、ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMOも2026年3月に提供を開始しています。
NTTドコモは、2026年8月以降にRCSを開始すると案内しています。対応時期、対象端末、必要なOS、申し込みの有無は各社で異なるため、企業が配信対象を見積もる際は最新情報の確認が必要です。
日本には、ドコモ、au、ソフトバンクが提供する「+メッセージ」もあります。+メッセージも電話番号を使い、写真、動画、スタンプ、企業公式アカウントなどを利用できるサービスです。
標準メッセージアプリ向けRCSと+メッセージでは、利用するアプリ、対応回線、企業向け配信の契約や機能が同一ではありません。導入時は「RCS対応」だけで判断せず、配信先の回線とアプリまで確認してください。
RCSとSMSの料金の違い
法人向けのRCSとSMSは、配信量などに応じて料金が発生するのが一般的ですが、課金単位や料金体系はサービスによって異なります。RCSは個人間の送受信で追加料金がかからない場合がありますが、企業が配信サービスを通じて送るRCSまで無料になるわけではありません。
| 比較項目 | RCS | SMS |
|---|---|---|
| 主な課金単位 | メッセージ単位、一定時間内の会話単位など | 送信通数(文字数によって複数通として計算される場合あり) |
| 料金に影響する要素 | 契約先、配信先、課金区分(メッセージ/会話)、契約条件 | 文字数、配信先、送信通数、契約条件 |
| 導入時の費用 | 公式アカウントの審査・設定、API連携など | 初期設定、API連携、送信元番号の利用など |
| 未対応端末への配信 | SMSへ切り替えた場合、SMS配信料が発生 | そのままSMSとして配信 |
| 受信者側の費用 | データ通信料 | 国内での受信は原則無料 |
SMSは、本文が長くなると複数通分として計算され、料金が上がる場合があります。料金区分と文字数は配信サービスによって異なるため、文面を作成する前に確認してください。詳しくは、SMSの文字数制限と料金の解説で紹介しています。
RCSの課金方法は、サービスや契約によって異なります。1通単位だけでなく、画像・動画を含むメッセージや一定時間内の会話を課金対象とする場合もあります。たとえば、GoogleのRCS for Businessでは、メッセージ単位と会話単位の課金区分が設けられています。
課金の仕組みが異なるため、RCSとSMSの料金を1通あたりの単価だけで単純比較することはできません。
また、配信目的に合った指標で比較し、販促配信ではクリック1件・購入1件あたり、認証や重要通知では配信完了1件あたりの費用を算出し、実際の費用対効果確認したうえで判断してください。
RCS・SMS配信サービスを選ぶ5つのポイント
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1
用途と優先順位を決める
販促、認証、取引通知、顧客対応など、配信目的を整理します。表現力、到達範囲のどれを優先するかで、適したチャネルが変わります。 -
2
対応回線と端末を確認する
配信対象に含まれる国、通信事業者、端末、OS、メッセージアプリを確認します。RCSでは、対応ユーザーを事前に判定できるかも選定条件です。 -
3
フォールバックを設計する
RCS未対応や未達の場合に、SMS、Email、AppPushなどへ切り替える条件を決めます。通知の期限を過ぎた後に古い内容を届けない設定も必要です。 -
4
料金と運用負荷を比較する
1通あたりの料金だけでなく、初期設定、ブランド審査、API開発、テンプレート作成、効果測定にかかる作業まで含めて比較します。 -
5
同意・配信停止・セキュリティを確認する
販促メッセージでは、受信同意と配信停止の方法を用意します。取り扱うデータ、保存期間、アクセス権限、監査ログも社内基準に照らして確認してください。
まとめ
RCSとSMSの違いは、表現力と対応範囲です。RCSは画像やボタンを使った販促、予約、顧客対応に向き、SMSはOTP、取引通知、リマインドなど、短く重要な情報を広く届ける場面に適しています。
RCSがSMSを全面的に置き換えるのではなく、両者は当面併用されます。配信目的、対象者の対応状況、緊急性、計測方法、費用を整理し、RCS未対応時のSMSフォールバックまで設計することが重要です。







