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高橋 ゆうこ

更新日:2026-07-27

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RCSとSMSの違いは、送信できる内容と対応範囲にあります。RCSは画像、動画、ボタンなどを使った双方向のコミュニケーションに向き、SMSは対応端末が広く、短い通知を届けたい場面に適しています。

企業が選ぶ際は、どちらが優れているかではなく、配信目的で判断することが大切です。商品紹介や予約受付にはRCS、認証コードや重要通知にはSMSというように、併用する方法もあります。

結論を先に
  • 表現力と双方向性を重視するならRCS、対応範囲の広さを重視するならSMSが適しています。
  • RCS未対応の端末や回線もあるため、重要な通知では、SMSへのフォールバックをあらかじめ設計しておく必要があります。
APNsとは

RCSとは

RCSとは「Rich Communication Services」の略称で、携帯通信事業者の業界団体「GSMA」に標準化されているメッセージ規格です。RCSを通じて、携帯電話番号を宛先に使いながら、SMSより多くの機能を利用できます。

対応環境では、長文、高画質の写真や動画、ファイル、グループチャット、既読表示、入力中表示などを利用できます。送受信には、モバイルデータ通信またはWi-Fiが必要です。

RCSビジネスメッセージとは

RCSビジネスメッセージは、企業が顧客へRCSを送るための仕組みです。個人間のRCSとは異なり、ブランド名やロゴを表示し、画像、動画、リッチカード、返信候補、操作ボタンなどを組み込めます。

例えば、商品の画像から購入ページを開く、配送通知から受取日時を変更する、予約案内から空き状況を確認するといった導線をメッセージ内に設けられます。通知だけでなく、次の行動まで促しやすい点が特徴です。

企業名の表示や認証マークには、ブランド確認と通信事業者などによる審査が必要です。利用できる機能、配信地域、対応回線は、契約するRCS事業者や通信事業者によって異なります。

iPhoneもRCSに対応

RCSはAndroid専用ではありません。AppleはiOS 18以降でRCSに対応しており、iPhoneからAndroidなどの他社製端末へ、高解像度の写真や動画、リンクを送信できます。

ただし、iPhone本体が対応していても、契約中の通信事業者と料金プランがRCSに対応していなければ利用できません。提供状況や必要なOSのバージョンは、地域、回線、プランによって変わります。

最新の条件は、 AppleのRCSサポート情報 と契約中の通信事業者の案内で確認してください。iMessage、RCS、SMSの表示や機能の違いは、 iMessageとSMSの比較記事 でも解説しています。

SMSとは

SMSとは「Short Message Service」の略称です。携帯電話番号を宛先として、通信事業者のモバイルネットワーク経由でテキストを送受信します。インターネット接続を必要としない点がRCSとの大きな違いです。

SMSはスマートフォンだけでなく、フィーチャーフォンを含む幅広い端末で利用できます。企業では、ワンタイムパスワード(OTP)、決済通知、配送連絡、予約リマインド、障害連絡などに使われています。

送信できる内容は原則としてテキストです。URLを記載してWebページへ誘導できますが、RCSのように画像や操作ボタンをメッセージ内へ組み込むことはできません。文字数や分割、料金の数え方は、配信サービスと送信先によって異なります。

RCSとSMSの違いを比較

RCSとSMSは、どちらも電話番号を宛先に使います。一方、通信方式、コンテンツ、対応環境、効果測定には明確な違いがあります。まずは比較表で全体像を確認します。

APNsとは
比較項目 RCS SMS
宛先 携帯電話番号 携帯電話番号
通信方式 モバイルデータ通信またはWi-Fi 通信事業者のモバイルネットワーク
対応環境 RCS対応の端末、アプリ、回線、プランが必要 幅広い携帯電話と回線に対応
コンテンツ テキスト、画像、動画、音声、ファイルなど 原則としてテキスト
操作導線 リッチカード、返信候補、ボタンなどに対応 本文内のURLや電話番号で誘導
ブランド表示 企業名、ロゴ、ブランドカラーなどを表示可能 送信元番号またはSender IDを表示
双方向性 返信、選択肢、会話形式のやり取りに対応 返信可否はサービスや送信方式によって異なる
既読確認 対応環境では確認可能 原則として不可
到達範囲 対応端末・回線に限定 RCSより広い
主な法人用途 販促、商品案内、予約、アンケート、顧客対応 OTP、重要通知、取引連絡、リマインド
セキュリティ上の注意

RCSを「常にエンドツーエンド暗号化される」とは限りません。Googleの RCS for Businessのセキュリティ情報 では、企業と利用者のメッセージはエンドツーエンド暗号化の対象外です。SMSも同様に機密情報の送信には向かないため、認証コードや個人情報の扱いを含めて設計する必要があります。

RCSのメリット・デメリット

RCSのメリット

  • メリット 画像、動画、カードを使い、商品やサービスを視覚的に伝えられる
  • メリット 返信候補やボタンを配置し、購入、予約、問い合わせなどへ誘導できる
  • メリット 企業名やロゴを表示し、受信者が送信元を判断しやすくなる
  • メリット 配信、既読、ボタン操作などを計測し、施策を改善しやすい

RCSのデメリット

  • デメリット 端末、アプリ、回線、プランのいずれかが未対応だと送れない
  • デメリット モバイルデータ通信またはWi-Fiに接続できない環境では利用しにくい
  • デメリット 企業向け配信ではブランド確認、審査、システム連携が必要になる
  • デメリット 未対応ユーザーへ届けるには、SMSなどのフォールバックが必要になる

RCSの強みは、メッセージ画面から離れずに商品理解や手続きを進めやすいことです。ブランドの世界観を伝える販促や、複数の選択肢から回答してもらう場面に向いています。

一方、配信対象の全員がRCSを利用できるとは限りません。重要な連絡でRCSだけに依存すると未達が生じるため、送信前の対応判定とSMSへの切り替えを含める配信設計が必要です。

SMSのメリット・デメリット

SMSのメリット

  • メリット RCSより対応端末と回線が広く、多くの携帯電話番号へ送信できる
  • メリット インターネット接続を前提とせず、短い通知をすばやく届けやすい
  • メリット 専用アプリのインストールやアカウント登録を受信者に求めない
  • メリット OTP、取引通知、予約リマインドなどの定型メッセージに使いやすい

SMSのデメリット

  • デメリット 画像や動画を本文内に表示できず、視覚的な商品訴求が難しい
  • デメリット 文字数が増えると分割や料金に影響する場合がある
  • デメリット 配信済みかは確認できても、開封や閲覧を直接計測しにくい
  • デメリット 送信元表示や返信可否が、国、回線、配信経路によって異なる

SMSは情報量より到達範囲を優先する場面に向いています。

ただし、送信できたことと、受信者が内容を読んだことは同じではありません。SMSの配信効果は、クリック率、認証完了率、予約確認率など、配信目的に合った指標で評価してください。

法人向けの送信方法やAPI連携については、 SMS送信方法の選び方 も参考にしてください。

ビジネスではRCSとSMSをどう使い分ける?

RCSとSMSを使い分ける際は、配信内容、緊急性、配信対象者のRCS対応状況、測定したい成果を確認してください。目的が異なるメッセージを、すべて同じチャネルから送る必要はありません。

RCSが向いている場面

  • 商品・サービスの紹介:画像、動画、カルーセルを使って特徴を伝える
  • キャンペーン:クーポン取得、商品閲覧、購入などのボタンを配置する
  • 予約・手続き:希望日時や選択肢をメッセージ内で案内する
  • アンケート:返信候補を表示し、回答までの操作を減らす
  • 顧客対応:問い合わせ内容に応じて、会話形式で案内する

RCSマーケティングでは、コンテンツを増やすだけでなく、受信者に取ってほしい行動を1つに絞ることが重要です。商品画像、説明、ボタンの役割を整理し、スマートフォンの画面で読みやすい構成にします。

SMSが向いている場面

  • 本人認証:ログインや取引確認のOTPを送る
  • 重要通知:決済、口座、セキュリティ、障害などを知らせる
  • 予約リマインド:来店、診療、宿泊、面談の日時を再通知する
  • 注文・配送連絡:受付、発送、配達予定、受取方法を伝える
  • 広範囲への連絡:端末やアプリの違いを問わず、短い情報を届ける

SMS通知では、送信元、用件、期限、必要な操作が一目で分かる文面が適しています。URLを記載する場合は、企業名やサービス名との関係が分かるドメインを使い、不自然な短縮URLを避けると、受信者がリンク先を判断しやすくなります。

RCSとSMSを併用する場合

RCSを優先し、未対応の宛先にはSMSを送る方法があります。RCSでは画像やボタンを使った詳しい案内を送り、SMSでは要点とWebページのURLを送れば、対応状況が異なる顧客にも情報を届けられます。

APNsとは

重要な通知では、RCSが一定時間内に届かなかった場合にSMSへ切り替える設計も有効です。二重送信を避けるため、配信結果、メッセージの有効期限、フォールバックを開始する条件を事前に決めてください。

SMSの未達原因や代替チャネルの考え方は、 SMSが届かない原因と対策 で詳しく解説しています。

日本でのRCS対応状況と「+メッセージ」との関係

日本のRCS提供状況は、2025年以降に大きく変化しています。2026年7月23日時点では、auがAndroidとiPhone向けにRCSを提供し、ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMOも2026年3月に提供を開始しています。

NTTドコモは、2026年8月以降にRCSを開始すると案内しています。対応時期、対象端末、必要なOS、申し込みの有無は各社で異なるため、企業が配信対象を見積もる際は最新情報の確認が必要です。

日本には、ドコモ、au、ソフトバンクが提供する「+メッセージ」もあります。+メッセージも電話番号を使い、写真、動画、スタンプ、企業公式アカウントなどを利用できるサービスです。

標準メッセージアプリ向けRCSと+メッセージでは、利用するアプリ、対応回線、企業向け配信の契約や機能が同一ではありません。導入時は「RCS対応」だけで判断せず、配信先の回線とアプリまで確認してください。

RCSとSMSの料金の違い

法人向けのRCSとSMSは、配信量などに応じて料金が発生するのが一般的ですが、課金単位や料金体系はサービスによって異なります。RCSは個人間の送受信で追加料金がかからない場合がありますが、企業が配信サービスを通じて送るRCSまで無料になるわけではありません。

比較項目 RCS SMS
主な課金単位 メッセージ単位、一定時間内の会話単位など 送信通数(文字数によって複数通として計算される場合あり)
料金に影響する要素 契約先、配信先、課金区分(メッセージ/会話)、契約条件 文字数、配信先、送信通数、契約条件
導入時の費用 公式アカウントの審査・設定、API連携など 初期設定、API連携、送信元番号の利用など
未対応端末への配信 SMSへ切り替えた場合、SMS配信料が発生 そのままSMSとして配信
受信者側の費用 データ通信料 国内での受信は原則無料

SMSは、本文が長くなると複数通分として計算され、料金が上がる場合があります。料金区分と文字数は配信サービスによって異なるため、文面を作成する前に確認してください。詳しくは、SMSの文字数制限と料金の解説で紹介しています。

RCSの課金方法は、サービスや契約によって異なります。1通単位だけでなく、画像・動画を含むメッセージや一定時間内の会話を課金対象とする場合もあります。たとえば、GoogleのRCS for Businessでは、メッセージ単位と会話単位の課金区分が設けられています。

課金の仕組みが異なるため、RCSとSMSの料金を1通あたりの単価だけで単純比較することはできません。

また、配信目的に合った指標で比較し、販促配信ではクリック1件・購入1件あたり、認証や重要通知では配信完了1件あたりの費用を算出し、実際の費用対効果確認したうえで判断してください。

RCS・SMS配信サービスを選ぶ5つのポイント

  • 1

    用途と優先順位を決める

    販促、認証、取引通知、顧客対応など、配信目的を整理します。表現力、到達範囲のどれを優先するかで、適したチャネルが変わります。
  • 2

    対応回線と端末を確認する

    配信対象に含まれる国、通信事業者、端末、OS、メッセージアプリを確認します。RCSでは、対応ユーザーを事前に判定できるかも選定条件です。
  • 3

    フォールバックを設計する

    RCS未対応や未達の場合に、SMS、Email、AppPushなどへ切り替える条件を決めます。通知の期限を過ぎた後に古い内容を届けない設定も必要です。
  • 4

    料金と運用負荷を比較する

    1通あたりの料金だけでなく、初期設定、ブランド審査、API開発、テンプレート作成、効果測定にかかる作業まで含めて比較します。
  • 5

    同意・配信停止・セキュリティを確認する

    販促メッセージでは、受信同意と配信停止の方法を用意します。取り扱うデータ、保存期間、アクセス権限、監査ログも社内基準に照らして確認してください。

まとめ

RCSとSMSの違いは、表現力と対応範囲です。RCSは画像やボタンを使った販促、予約、顧客対応に向き、SMSはOTP、取引通知、リマインドなど、短く重要な情報を広く届ける場面に適しています。

RCSがSMSを全面的に置き換えるのではなく、両者は当面併用されます。配信目的、対象者の対応状況、緊急性、計測方法、費用を整理し、RCS未対応時のSMSフォールバックまで設計することが重要です。